WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
チャンピオン | ファン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ) 戦績:25戦全勝23KO |
挑戦者 | オリビエ・ロンチ(カナダ・カメルーン出身) 戦績:20戦18勝8KO2分 |
試合内容
25戦全勝23KOの「小さな強打者」、ファン・マヌエル・ロペスがランキング7位の無敗挑戦者、オリビエ・ロンチを迎えて4度目の防衛戦を行います。2009年4月、ジェリー・ペニャロサにTKO勝ちを収め、改めて実力を証明したファン・マヌエル・ロペス。スピード豊かなテクニシャン、オリビエ・ロンチ相手に連勝を続けることができるのでしょうか?
試合は開始直後からチャンピオンのファン・マヌエル・ロペスがプレッシャーをかけながら距離を詰める予想通りの展開。ラウンド中盤には、ファン・マヌエル・ロペスが飛び込んできたオリビエ・ロンチに合わせて右フックを打ち込みます。連勝を続けるチャンピオンが「打っては離れのボクシング」で対抗したい挑戦者の出鼻をくじきます。
2ラウンドに入ると、オリビエ・ロンチが左ジャブ、右ストレートをボディーへ集めて、ファン・マヌエル・ロペスの前進を止めようとします。「お、いい作戦。ロペス相手にボディーを攻めるなんて、ロンチは勇気があるなあ」と世界初挑戦とは思えないオリビエ・ロンチの勝負度胸を絶賛する管理人。ところが、「小さな強打者」、ファン・マヌエル・ロペスがお構いなしに距離を詰め、ラウンド中盤には、オリビエ・ロンチをコーナーに詰めて強烈な右フックをテンプルへ打ち込み、「あっ」と言う間にダウンを奪います。
「うわ!力でなぎ倒したダウンだよ」とファン・マヌエル・ロペスの力強さに驚く管理人。体が柔らかく、相手のパンチを吸収するオリビエ・ロンチでなければ、試合が終わってもおかしくないパンチですね。3ラウンドに入ると、ダウンを奪われたオリビエ・ロンチがこれまで以上に距離を取り、ダメージ回復に努めます。オリビエ・ロンチはスピード豊かで、しかも動きを止めないので、さすがのファン・マヌエル・ロペスもとらえることができません。
5ラウンドに入ると、一発狙いで少しイライラし始めたファン・マヌエル・ロペスの手数が減り、挑戦者のオリビエ・ロンチの良さが目立ち始めます。自慢のスピードを活かしてヒット・アンド・アウェイを実践し、ラウンド中盤には、強烈な右ストレートをファン・マヌエル・ロペスの顔面に叩き込みます。オリビエ・ロンチは、距離を保って戦う作戦が上手くいっていますね。
6ラウンドに入ると、「ちょっとまずいなあ」と感じたのか、チャンピオンのファン・マヌエル・ロペスが作戦を変更。KO狙いの右フックを封印し、右ジャブを使い始め、ワンツー中心の戦術に切り替えます。左ストレートを顔面、ボディーへ散らし、オリビエ・ロンチのフットワークを封じる作戦です。
7ランドに入ると、今度はオリビエ・ロンチが戦術を変更。これまでフットワークを活かして距離を保ちながら戦ってきたオリビエ・ロンチが足を止めて、ファン・マヌエル・ロペスの懐で打ち合います。「え、ロペス相手に打ち合うの?ロンチ陣営は思い切った作戦に出たなあ」と予想外の展開に驚く管理人。セコンドの動きも慌しくなってきましたね。
挑戦者のオリビエ・ロンチが足を止めて打ち合いを挑むと、チャンピオンのファン・マヌエル・ロペスがボディーにパンチを集め、強烈なアッパーを連打します。「上手い!」と思わず叫んでしまう管理人。お互いに力を込めてパンチを打ち込んでいますが、パンチ力で勝るファン・マヌエル・ロペスが少しずつオリビエ・ロンチをロープへ押し込み、連打する場面が増えます。
9ラウンド開始直後には、前へ出るファン・マヌエル・ロペスに、オリビエ・ロンチが渾身の左フックを叩き込みます。しかし、お構いなしに前へ出て距離を詰めるファン・マヌエル・ロペスが強烈な左ストレートをお返し!さらに畳みかけるファン・マヌエル・ロペスはオリビエ・ロンチをロープへ詰めて、左右のフックを連打します。そして、ラウンド中盤、ファン・マヌエル・ロペスのワンツーがオリビエ・ロンチのアゴをとらえてダウン!
チャンピオンの力を抜いたタイミングのパンチで、この試合2度目のダウンを奪われたオリビエ・ロンチですが、その後ファン・マヌエル・ロペスが振り回したおかげで、9ラウンドを何とかしのぎ切ります。「ロンチは本当に頑張っているんだけど、いよいよ厳しくなってきたなあ」と思っていると、9ラウンド終了後、オリビエ・ロンチ陣営が試合を放棄。「これ以上続けても、ダメージが蓄積するだけ」と判断したのでしょうね。選手を助ける賢明なストップだと思います。
9ラウンド終了TKO勝ちで、4度目の防衛に成功したファン・マヌエル・ロペスですが、今回の防衛戦はかなり苦戦しましたね。オリビエ・ロンチの前評判以上のスピード、テクニックにかく乱され、パンチをまともにもらう場面が多く、ボクシングの荒さ、集中力のなさが目立ってしまいました。ただ、ペースを乱されながらも、きっちりと結果を残すところは、さすかスーパースター候補!ファン・マヌエル・ロペス、オリビエ・ロンチのどちらにも大きな拍手を送りたいです。
試合結果
試合結果 | ファン・マヌエル・ロペスが9ラウンド終了TKO勝ちで4度目の防衛に成功。 |