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ニコライ・ワルーエフとイベンダー・ホリフィールドの歴史的ヘビー級対決

WBA世界ヘビー級タイトルマッチ

チャンピオン ニコライ・ワルーエフ(ロシア)
戦績:51戦49勝34KO1敗1無効試合
挑戦者 イベンダー・ホリフィールド(アメリカ)
戦績:53戦42勝27KO9敗2分

試合内容

一体、誰がこのタイトルマッチの実現を予想したでしょうか?身長213センチ、体重140キロ。ヘビー級史上最も長身で、最も重い「ロシアの大巨人」、ニコライ・ワルーエフは、初防衛の相手として、「真実の男」、46歳のイベンダー・ホリフィールドを指名したのです。

一体、どれほどの記録がこのタイトルマッチにかかっているでしょうか?46歳のイベンダー・ホリフィールドが勝てば、ジョージ・フォアマンが持つ最年長世界タイトル獲得記録(45歳9か月)を更新します。さらに、ヘビー級5度目のタイトル奪取となり、シュガー・レイ・ロビンソン(ヘビー級)、マヌエル・メディナ(フェザー級)が持つ、同一階級の世界チャンピオン返り咲き記録に並びます。

試合開催地はスイス。試合前の選手紹介では、チャンピオンのニコライ・ワルーエフよりも挑戦者のイベンダー・ホリフィールドに対する声援のほうが大きく、ある種異様な緊張感が漂っています。「真実の男」が、46歳で5度目の戴冠を果たし、新たな歴史を築くのか?それとも、「ロシアの大巨人」が「戦う伝説」を踏み台にするのでしょうか?永世中立国、スイスに戦いのゴングが鳴り響きます。

序盤、試合の主導権を握ったのは、挑戦者のイベンダー・ホリフィールド。フットワークを使いながら、左右に大きく動き、チャンピオンのニコライ・ワルーエフをかく乱します。「スピードで勝負する作戦だなあ。でも、ちょっと離れ過ぎてない?」と思ったのですが、1ラウンド中盤には、飛び込んで強烈な右フックをニコライ・ワルーエフの顔面へ叩き込みます。

「おおお!パンチが届いてる」と驚く管理人。試合前、「リングの上のことはすべて知っている」と話したイベンダー・ホリフィールドの言葉が頭をよぎります。2ラウンド以降も、リング中央で構えるニコライ・ワルーエフに対して、イベンダー・ホリフィールドが左右に動きながら、飛び込んで左右のフックを顔面へクリーンヒットさせる展開が続きます。

試合序盤、完全にスピード負けしたニコライ・ワルーエフですが、5ラウンドから手数を増やし、プレッシャーを強めます。6ラウンドに入ると、イベンダー・ホリフィールドの動きに慣れてきたのか、懐に入ってくるところへ、右ストレートを打ちおろして挑戦者を威嚇します。

7ラウンドには、イベンダー・ホリフィールドがニコライ・ワルーエフの右ストレートを我慢して懐へ飛び込み、左右のフックを顔面へ叩き込みますが、離れ際に、チャンピオンが右フック、右アッパーで反撃。これまで左ジャブを顔面だけへ打っていたニコライ・ワルーエフですが、顔面へ打つと見せかけて、ボディーへ打つなど、戦い方を変え、少しずつペースを握ります。

ラウンドが進むにつれて手数が増えるニコライ・ワルーエフに対して、46歳のイベンダー・ホリフィールドは少しずつ動きの幅が小さくなり、チャンピオンのパンチをもらう場面が増えてきます。「このままワルーエフのペースになりそうだな」と思った10ラウンド。「真実の男」が勝負に出ます。

イベンダー・ホリフィールドは、ラウンド開始から左ジャブを突き、懐へ飛び込むチャンスをうかがいます。この試合、これだけ左ジャブを突いたのは初めてですね。ニコライ・ワルーエフも右ストレートのカウンターを狙っているのですが、イベンダー・ホリフィールドが打っては離れを繰り返し、1分過ぎには、いきなりの右フックを顔面へ叩き込み、クリーンヒットを奪います。

「ポイント、めちゃめちゃ競っているよ。残りの2ラウンド取れば、ホリフィールドが勝つんじゃない?」と偉業達成の期待が高まります。しかし、11ラウンド、12ラウンドはチャンピオンのニコライ・ワルーエフが意地をみせ、試合の決着は3人のジャッジに委ねられます。

管理人の採点は114-114のドローですが、「ホリフィールドが取ったラウンドが6ラウンドはあるよ。競ったラウンドのポイントがホリフィールドに流れれば、偉業達成かも」とドキドキしながら、採点を聞きます。しかし、結果は2-0でニコライ・ワルーエフの勝利。「えー」と深いため息をつく管理人。この瞬間、「真実の男」の新伝説は夢と終わりました。

際どい判定で敗れはしましたが、イベンダー・ホリフィールドは「これしかない!」というボクシングでしたね。なお、この試合の採点は物議を醸しているため、両者は再戦することになりそうです。「終わらない46歳の挑戦」。「真実の男」は「もう一度世界ヘビー級チャンピオンに返り咲く」という夢を実現することができるでしょうか?

試合結果

試合結果 ニコライ・ワルーエフが12ラウンド2-0の僅差の判定勝ちで初防衛に成功。物議を醸した判定で、再戦が噂されています。管理人の採点は114-114のドローでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 116-112
  • 115-113
  • 114-114
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