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スピードのザブ・ジュダーとパワーのルーカス・マティセが激突!

NABO北米スーパーライト級王座決定戦

元2階級制覇チャンピオン ザブ・ジュダー(アメリカ)
戦績:47戦39勝27KO6敗2無効試合
WBO世界
スーパーライト級3位
ルーカス・マティセ(アルゼンチン)
戦績:28戦27勝25KO1無効試合

試合内容

スーパーライト級とウェルター級の2階級制覇を制覇したザブ・ジュダーと、無敗の快進撃を続ける強打者のルーカス・マティセが激突するサバイバルマッチです。スピードを武器に戦うザブ・ジュダーとパワーを武器に戦うルーカス・マティセの興味深い対戦ですね。

試合開始のゴングが鳴ると同時にコーナーから飛び出したのはルーカス・マティセ。鋭い左ジャブを突きながら右ストレート、右フックを狙います。一方、サウスポーのザブ・ジュダーはフットワークとブロッキングでルーカス・マティセのパンチをかわし、右ジャブを突きながら左ストレート、右フックを打ち込みます。

「ジュダーもマティセもめちゃめちゃ動きが良いよ。スピードはジュダーのほうが上だけど、パンチ力、体力はマティセのほうが上かな?実力は互角で接戦になりそうだぞ」というのが1ラウンドを観た率直な感想です。

3ラウンド終了間際には、飛び込んできたルーカス・マティセの左フックに合わせて、ザブ・ジュダーが得意の左アッパーを叩き込み、ルーカス・マティセのアゴが跳ね上がります。タフなルーカス・マティセでなければ、倒れてもおかしくないパンチでしたね。

試合序盤はスピードで上回るザブ・ジュダーがKO率9割を超えるルーカス・マティセの強打を上手くかわして試合を有利に進めています。ルーカス・マティセはラウンドが進むにつれて、少しずつザブ・ジュダーのスピードに慣れてきたようですが、まだ対応しきれていないようです。

8ラウンドに入ると、スタミナが切れ始め、スピードが落ちてきたザブ・ジュダーに対して、ルーカス・マティセが今まで以上に深く踏み込んで勝負に出ます。少しずつ戦う距離が縮まり、ルーカス・マティセのパンチが当たるようになってきましたね。

9ラウンドも、ルーカス・マティセが接近戦でザブ・ジュダーにプレッシャーをかけ続け、左ボディーブローを中心にパンチを集めます。ザブ・ジュダは疲れて足が動かなくなったところに、最も苦しいパンチをもらう最悪の展開ですね。

ルーカス・マティセに流れが傾き始めた10ラウンド1分、「アルゼンチンの倒し屋」ルーカス・マティセの右ストレートがザブ・ジュダーのアゴを打ち抜き、ザブ・ジュダーがダウン!ルーカス・マティセはボディー中心の攻撃から、いきなり右ストレートを打ち込む頭脳的な作戦でダウンを奪いましたね。

一気に畳みかけたいルーカス・マティセ。しかし、ザブ・ジュダーはフットワークを使って距離を保ちながら、飛び込んでくるルーカス・マティセに左アッパーや右フックを打ち込んで追撃を何とか防ぎます。さすがは数々の激戦を経験しているザブ・ジュダーです。

11ラウンドに入ると、ルーカス・マティセが得意の右ストレートを連打し、距離を取ろうとするザブ・ジュダーにプレッシャーをかけます。攻撃を仕掛けるルーカス・マティセも耐え抜こうとするザブ・ジュダーのどちらもスタミナが切れ、ギリギリの状態で戦っていますね。

最終ラウンドもギリギリの死闘が続き、お互いフラフラになりながら試合終了のゴングを耳にします。勝敗は3人のジャッジに委ねられ、結果は2人がザブ・ジュダー、1人がルーカス・マティセを支持。ザブ・ジュダーがルーカス・マティセに2-1の僅差の判定勝ちを収め、世界タイトル戦線に生き残りました。

3人のジャッジすべてが114-113という本当に際どい接戦でしたね。前半はザブ・ジュダーがスピードを活かして主導権を握る展開、後半はルーカス・マティセがスピードが鈍ったザブ・ジュダーにパンチを連打して反撃に出る展開。試合の前半と後半で完全に主導権が入れ替わった試合でした。

勝ったザブ・ジュダーはもちろん、敗れたルーカス・マティセも素晴らしかったと思います。特に管理人はルーカス・マティセのボクシングに感心しました。戦績だけを見ると、パワーでゴリゴリ攻めるファイターのようですが、実際は的確なパンチと頭脳的な戦術が融合した見事なボクシングです。

今回はルーカス・マティセが10ラウンドのダウンを奪った後、ザブ・ジュダーがベテランらしい左アッパーのカウンターでルーカス・マティセのラッシュを封じ込め、畳みかけることができませんでした。ここが勝負のポイントだったと思います。

ルーカス・マティセは、前半ザブ・ジュダーのスピードに翻弄されながらもパンチに耐えて、後半ザブ・ジュダーのスピードが鈍ってきたところで勝負を一気に決める作戦を描いていたはずです。ダウンを奪ったところまでは完璧なシナリオだったと思うのですが、最後の最後で経験の差が勝敗を分けましたね。

ただ、この敗戦でルーカス・マティセはもっともっと強くなると思います。「スピードを武器に戦うボクサーが主流」のボクシング界で、パワーと12ラウンドを見据えた戦術で相手を追い詰めるルーカス・マティセの存在は本当に興味深いですよね(ルーカス・マティセと同じアルゼンチン出身のマルコス・マイダナもレアな存在だと思います)。

「ジュダーもマティセもめちゃめちゃ強いけど、世界チャンピオンじゃないもんな。2010年のスーパーライト級戦線は世界中から強豪がそろったボクシング界最強のクラスだよ」と改めた思った試合でした。2011年のスーパーライト級は誰が世界チャンピオンベルトを手にしているのかな?本当に楽しみですね。

試合結果

試合結果 ザブ・ジュダーが2-1の僅差の判定勝ちでタイトル獲得。ルーカス・マティセはプロ初黒星。管理人の採点は114-113でルーカス・マティセの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 114-113(ザブ・ジュダー)
  • 114-113(ザブ・ジュダー)
  • 114-113(ルーカス・マティセ)
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