WBC世界ヘビー級タイトルマッチ
チャンピオン | ビタリ・クリチコ(ウクライナ) 戦績:41戦39勝37KO2敗 |
挑戦者 | アルバート・ソスノウスキー(ポーランド) 戦績:48戦45勝27KO2敗1分 |
試合内容
圧倒的な強さで防衛を重ねるビタリ・クリチコが、欧州ヘビー級チャンピオンのアルバート・ソスノウスキーを迎えて4度目の防衛戦を行います。相手を懐に入らせない左ジャブと強烈な右ストレートで対戦相手をねじ伏せるビタリ・クリチコは、世界タイトル初挑戦でタイトル奪取に燃えるアルバート・ソスノウスキー相手にどんなボクシングをみせてくれるでしょうか?
試合は序盤からチャンピオンのビタリ・クリチコのペースで進みます。懐で勝負したいアルバート・ソスノウスキーに対して、ビタリ・クリチコは重い左ジャブを連打して距離を保ち、アルバート・ソスノウスキーの動きが止まると、強烈な右ストレートを叩き込みます。ビタリ・クリチコは2メートルを超える身長とリーチを生かした理想的な戦い方ですね。
アルバート・ソスノウスキーはガードを固めて距離を詰め、懐に飛び込んでパンチを連打したいと思うのですが、ビタリ・クリチコのパンチが先に飛んでくるので、懐までたどり着けません。アルバート・ソスノウスキーも身長189センチと決して小柄なボクサーではないのですが、ビタリ・クリチコの懐の深さに戸惑っている様子ですね。
6ラウンドには、ビタリ・クリチコの3連打でアルバート・ソスノウスキーの動きが止まります。何とか挽回したいアルバート・ソスノウスキーは単発ながら右ストレートや右フックで反撃を試み、ガードを下げて戦うビタリ・クリチコの左サイドを狙ってパンチを打ち込みます。しかし、パンチが浅く、ビタリ・クリチコに致命的なダメージを与えることはできません。
そして迎えた10ラウンド、ビタリ・クリチコの強打が火を噴きます。ダメージを抱えながら何とか反撃を試みるアルバート・ソスノウスキーにジワリジワリとプレッシャーをかけると、残り1分、ビタリ・クリチコの強烈な右ストレートがアルバート・ソスノウスキーのテンプルをとらえ、アルバート・ソスノウスキーがフラフラになります。
さらに畳みかけるビタリ・クリチコはアルバート・ソスノウスキーをコーナーへ追い詰め、右ストレートの打ちおろしをアルバート・ソスノウスキーのテンプルへ打ち込みます!ボクサーの本能でダウンを拒否するアルバート・ソスノウスキーですが、約1秒、体の動きが停止するほどの破壊力です。
「あああ、もうストップしたほうがいいよ」と思った瞬間、ビタリ・クリチコのワンツーがアルバート・ソスノウスキーの顔面をとらえ、これまで我慢してきたアルバート・ソスノウスキーがその場に崩れ落ちます。レフェリーはアルバート・ソスノウスキーがダウンした瞬間、ノーカウントで試合をストップ。ビタリ・クリチコがアルバート・ソスノウスキーに10ラウンドTKO勝ちを収め、4度目の防衛に成功しました。
ビタリ・クリチコの強さが際立った試合でしたね。ビタリ・クリチコが1ラウンドからアルバート・ソスノウスキーにダメージを与え続けた内容でした。勝ったビタリ・クリチコはもちろんですが、敗れたアルバート・ソスノウスキーにも大きな拍手を送りたいと思います。
最近、クリチコ兄弟と戦うボクサー(挑戦者)が、ディフェンス重視で全く攻撃に行かないケースが増えています。しかし、敗れはしましたが、アルバート・ソスノウスキーは勇敢に自分の攻撃ボクシングを貫き、ときどき右ストレートや右フックをビタリ・クリチコにヒットさせ、「お!」という場面を作ってくれました。
アルバート・ソスノウスキーが攻撃姿勢を貫いてくれたおかげで「タイミングが合えば、懐の深いビタリ・クリチコの顔面にもパンチが届くよ」とわかりました。ビタリ・クリチコはガードを下げて戦うボクサーなので、「スピードもパンチ力もあるWBA世界ヘビー級チャンピオンのデビッド・ヘイなら、もしかすると…」と期待を抱かせてくれる試合でしたね。ビタリ・クリチコ、アルバート・ソスノウスキーの両者に拍手です!
試合結果
試合結果 | ビタリ・クリチコが10ラウンドTKO勝ちで4度目の防衛に成功。 |