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ルスラン・チャガエフとアレクサンデル・ポベトキンのヘビー級王座決定戦

WBA世界ヘビー級王座決定戦

ランキング1位 ルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン)
戦績:29戦27勝17KO1敗1分
ランキング2位 アレクサンデル・ポベトキン(ロシア)
戦績:21戦全勝15KO

ルスラン・チャガエフ対アレクサンデル・ポベトキンの試合内容

ランキング1位のルスラン・チャガエフとランキング2位のアレクサンデル・ポベトキンがWBA世界ヘビー級タイトルをかけて王座決定戦で激突します。WBAチャンピンのデビッド・ヘイとIBF・WBOチャンピオンのウラディミール・クリチコが王座統一戦を行うことになり、勝者はWBAスーパーチャンピオンとなるため、今回の王座決定戦が実現しました。

ウズベキスタン出身のルスラン・チャガエフは2001年のアマチュア世界王者でプロ転向後、ヘビー級の頂点にのぼりつめたサウスポー。一方、ロシア出身のアレクサンデル・ポベトキンは2003年のアマチュア世界王者で、2004年に出場したアテネ・オリンピックではスーパーヘビー級で金メダルを獲得しています。

アマチュア世界王者がプロのリングで激突するWBA世界ヘビー級王座決定戦。元世界チャンピオンのルスラン・チャガエフが王座返り咲きを果たすのでしょうか?それとも、全勝のアレクサンデル・ポベトキンが悲願の初戴冠を果たすのでしょうか?ヘビー級の行方を左右する大一番のゴングが鳴り響きます。

試合は、お互いが力強いジャブを突き合う展開で始まります。サウスポーのルスラン・チャガエフは右ジャブから左ストレート、アレクサンデル・ポベトキンは左ジャブから右ストレートを狙っています。お互いアマチュア出身らしいきれいなボクシングですね。

2ラウンドに入ると、アレクサンデル・ポベトキンがいきなり右ストレートで威嚇。一方のルスラン・チャガエフも左ストレートを中心に応戦します。どちらも上半身を小刻みに振りながらワンツーを狙っています。ハイレベルな心理戦、フェイント合戦が続いています。

3ラウンドに入ると、アレクサンデル・ポベトキンがプレッシャーを強めます。ルスラン・チャガエフの鉄壁のガードを打ち破るため、ワンツーに加えて、左右のアッパーと左ボディーブローを使い始めます。ラウンド中盤には、アレクサンデル・ポベトキンのコンパクトな左アッパーがルスラン・チャガエフの鼻っ柱をこすりあげます。

「少しずつポベトキンのペースになってきたかな?」と思ったのですが、4ラウンドに入ると、ルスラン・チャガエフがプレッシャーをかけて主導権を握り返そうとします。どちらも一歩も引かない激しい試合になってきました。

「チャガエフもポベトキンも手数が多いのに、クリーンヒットをほとんどもらってないよ。めちゃめちゃディフェンスが上手いな」とボクシング技術の高さに驚く管理人。数多くのアマチュア世界チャンピオンを輩出している旧ソ連で培ったテクニックはさすがですね。

5ラウンドは、体を密着させて打ち合う接近戦が展開されます。ガードを固めて打ち終わりを待つルスラン・チャガエフに対して、アレクサンデル・ポベトキンがガードの隙間を狙ってコンパクトなアッパーを打ち込んでいます。

「接近戦はポベトキンが一枚上手かな?接近戦になると、ポベトキンの連打がチャガエフのカウンターを上回ってる印象だもんね」と両者のボクシングに注目する管理人。

サウスポーの長所を生かし、相手の良さを消し去るボクシングを得意とするルスラン・チャガエフですが、この試合はアレクサンデル・ポベトキンの的確な連打に手を焼いていますね。

一方のアレクサンデル・ポベトキンはときどきルスラン・チャガエフの左フックや左ストレートをもらうことがありますが、連打を許さず、すぐにパンチを出して反撃。スタミナを消耗するタフな作戦ですが、試合巧者のルスラン・チャガエフをリズムに乗せないよう、上手く戦っていますね。

ところが、6ラウンド序盤、ルスラン・チャガエフがアレクサンデル・ポベトキンをロープに詰めて強烈な左ストレートを叩き込みます。すぐに距離を取って連打を回避しようとするアレクサンデル・ポベトキン。

しかし、ルスラン・チャガエフがジワリと距離を詰めて強烈な左フックを2連打!まともにもらったアレクサンデル・ポベトキンの動きが一瞬止まる破壊力です。

「これは効いた!チャガエフ、チャンスだよ」とソファーから立ちあがる管理人。一気に主導権を握りたいルスラン・チャガエフは一撃一撃に力を込めて勝負に出ますが、アレクサンデル・ポベトキンが必死に打ち返して応戦し、6ラウンドを何とか耐え抜きます。

「チャガエフはチャンスだったんだけどな。ポベトキンはよく耐えたね」と大熱戦に興奮状態の管理人。「少しでも弱気なところを見せて下がったほうが負ける」凄まじい消耗戦になってきました。6ラウンドを終わった時点で、ルスラン・チャガエフもアレクサンデル・ポベトキンも肩で息をしています。

7ラウンドに入ると、勝負をかけるルスラン・チャガエフがガードを固めて距離を詰め、左フックを強振します。一方のアレクサンデル・ポベトキンは下がりながら左ジャブを突いて距離を取り、コンパクトな右ストレートを打ち込んで応戦。ルスラン・チャガエフはKOを意識して力が入りすぎているのか、手数が少なくなっちゃいましたね。

「チャガエフはチャンスだったんだけどなあ。コンパクトなパンチでも十分効いたと思うんだけど、ちょっと力が入りすぎちゃったね」とルスラン・チャガエフの攻撃に注目する管理人。8ラウンドも、ルスラン・チャガエフがプレッシャーをかけますが、アレクサンデル・ポベトキンがコンパクトな連打で応戦し、少しずつ息を吹き返します。

9ラウンドに入ると、息を吹き返したアレクサンデル・ポベトキンが自分から前へ出て、ルスラン・チャガエフに主導権を与えないボクシングを展開します。その後は、アレクサンデル・ポベトキンが盛り返して一進一退の攻防が続き、どちらも持てる力を出し切った状態で試合終了のゴング。勝敗は3人のジャッジに委ねられます。

結果は3人のジャッジすべてがアレクサンデル・ポベトキンを支持。アレクサンデル・ポベトキンがルスラン・チャガエフに12ラウンド判定勝ちを収め、全勝のパーフェクトレコードのまま悲願の世界タイトル奪取に成功しました。

アレクサンデル・ポベトキンもルスラン・チャガエフも精根尽き果てるまで戦ったすばらしい死闘でしたね。結果的に、手数で上回ったアレクサンデル・ポベトキンが攻勢ポイントでルスラン・チャガエフを退けた内容だったと思います。勝ったアレクサンデル・ポベトキンはもちろん、敗れたルスラン・チャガエフにも大きな拍手を送りたいです。

アマチュアに続き、プロの世界でも頂点を極めたアレクサンデル・ポベトキン。デビッド・ヘイに勝利し、WBAスーパーチャンピオンとなったウラディミール・クリチコと拳を交える王座統一戦が今から楽しみです。

当分は防衛路線になると思いますが、全勝のままウラディミール・クリチコと対戦する日がくると、めっちゃ盛り上がりそうですね。王座統一戦が早く実現しないかな?

ルスラン・チャガエフ対アレクサンデル・ポベトキンの試合結果

試合結果 アレクサンデル・ポベトキンが12ラウンド3-0の判定勝ち。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 117-113
  • 117-113
  • 116-112
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