WBA世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
チャンピオン | ミゲール・コット(プエルトリコ) 戦績:37戦35勝28KO2敗 |
挑戦者 | リカルド・マヨルガ(ニカラグア) 戦績:38戦29勝23KO7敗1分1無効試合 |
ミゲール・コット対リカルド・マヨルガの試合内容
3階級制覇を達成した「カリブの倒し屋」ミゲール・コットが、2階級制覇を達成した実績を持つ「ニカラグアの悪童」リカルド・マヨルガを迎えて初防衛戦を行います。万能型ボクサーの代表格であるミゲール・コットと、変則型ボクサーの代表格であるリカルド・マヨルガの対極的な特徴を持つボクサー同士の対決ですね。
ミゲール・コットもリカルド・マヨルガもKO勝ちを美学とするファイトスタイルを貫く好戦的なボクサーです。KO必至のファイター対決を制して勝利を手にするボクサーは、力強いパンチを連打して相手を倒すミゲール・コットでしょうか?それとも一撃必殺の強打で相手を沈めるリカルド・マヨルガでしょうか?世界中のボクシングファンが注目する大一番が幕を開けます。
試合は左ジャブで先手を取りながら得意の左フック、右ストレートを狙うチャンピオンのミゲール・コットに対して、挑戦者のリカルド・マヨルガが自慢の強打を振り回し、相打ち覚悟でパンチを叩き込もうとする展開で始まります。リカルド・マヨルガは右ストレート、左フックを思い切り振り回していますね。
リカルド・マヨルガはガードの上からでもいいので、とにかくパンチを当てて、ミゲール・コットを乱打戦に巻き込もうという作戦のようです。しかし、チャンピオンのミゲール・コットはガードを高く構えながら、インサイドからコンパクトなパンチを叩き込んでいますね。特にミゲール・コットが得意とする左ボディーブローが効果的です。
「驚異的なタフネスを誇るマヨルガだけど、さすがにコットのボディーブローは苦しそうだぞ」と思っていると、3ラウンド中盤、リカルド・マヨルガが自らコーナーへ下がり、ミゲール・コットに「ここで戦おうぜ。さあ打ってこいよ」と挑発。リカルド・マヨルガはとにかく流れを変えたいようです。しかし、ミゲール・コットは全く挑発に乗らず、上下にパンチを打ち分けます。
試合前はミゲール・コットが完敗を喫したマニー・パッキャオ戦のように「コットがマヨルガのボクシングに巻き込まれて無理に打ち合う可能性があるかも」と思っていたのですが、ミゲール・コットはリカルド・マヨルガの強打を警戒しながら、ディフェンスを大事に戦う本来のファイトスタイルで冷静に戦っていますね。
4ラウンドと7ラウンドこそ、リカルド・マヨルガのパンチを振り回して前へ突進する強引なボクシングに後退し、連打をもらってしまったミゲール・コットですが、その後は左ジャブとフットワークを使って距離を保ち、試合の主導権を握ります。一発のパンチ力はリカルド・マヨルガが一枚上手ですが、ボクシングをすると、ミゲール・コットが一枚上手ですね。
序盤から紙一重の打ち合いが繰り広げられ、お互いにスタミナと神経をすり減らす戦いが続いたため、終盤はミゲール・コットがアウトボクシングに徹して前へ出て打ち合いたいリカルド・マヨルガをかわす展開で進みます。「このまま判定かな?」と思い始めた12ラウンド、ミゲール・コットの伝家の宝刀が火を噴きます。
開始直後、リカルド・マヨルガが左右のフックを連打し、逆転KOを狙いますが、ミゲール・コットはガードを固めてリカルド・マヨルガのパンチを防ぎ、一瞬のスキを突いて、左フックのカウンターをリカルド・マヨルガのアゴに叩き込みます。
ヨロヨロと後退したリカルド・マヨルガはヒザをついてダウン。リカルド・マヨルガはパンチのダメージもあると思うのですが、それ以上に左手を痛めたのか、脱臼したのか、苦悶の表情を浮かべています。
ダウンから立ち上がったリカルド・マヨルガですが、ミゲール・コットが一気に畳みかけ、強烈な左ジャブでリカルド・マヨルガをコーナーへ追い詰めたところで、リカルド・マヨルガが試合を放棄。ミゲール・コットが12ラウンドTKO勝ちを収め、タイトルの初防衛に成功しました。
ミゲール・コットが最初から最後までディフェンスを大事にして戦いながらリカルド・マヨルガのパワーを封じた試合でしたね。特にミゲール・コットの鋭く力強い左ジャブと上下に打ち分ける左フックが効果的だったと思います。改めてミゲール・コットのボクシングセンスを感じた試合でした。勝ったミゲール・コットだけでなく、敗れたリカルド・マヨルガにも大きな拍手を送りたい内容でしたね。
ミゲール・コット対リカルド・マヨルガの試合結果
試合結果 | ミゲール・コットが12ラウンドTKO勝ちでタイトルの初防衛に成功。 |