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マルコス・マイダナ対エリック・モラレスの暫定王座決定戦

WBA世界スーパーライト級暫定王座決定戦

元WBA暫定世界スーパー
ライト級チャンピオン
マルコス・マイダナ(アルゼンチン)
戦績:31戦29勝27KO2敗
元3階級制覇
チャンピオン
エリック・モラレス(メキシコ)
戦績:57戦51勝35KO6敗

マルコス・マイダナ対エリック・モラレスの試合内容

一撃必殺の強打とパワフルな連打でKOを積み重ねてきたマルコス・マイダナと4階級制覇を目指すメキシコが生んだ人気ボクサーのエリック・モラレスが暫定タイトルをかけて激突します。新旧対決を制して、激戦区のスーパーライト級で存在感をアピールするボクサーはどちらでしょうか?

試合は左右のフックを振りまわしながら距離を詰めるマルコス・マイダナに対して、エリック・モラレスが左ジャブで距離を測りながら力強い右ストレートと左フックを打って応戦する展開で始まります。エリック・モラレスが予想以上に打ち合いに応じていますね。4階級制覇へ向けた意気込みが感じられる立ち上がりです。

「モラレスは持ち前の負けん気の強さが出てるよ。マイダナも完全にKO狙いだね。ものすごい打撃戦になりそうだぞ」と思っていると、1ラウンド中盤、マルコス・マイダナが強烈な左アッパーを振り抜き、このパンチがエリック・モラレスの右目をかすります。見る見るうちにエリック・モラレスの右目が腫れあがってきました。

「モラレスの右目はほとんど見えてないんじゃないかな?マイダナ相手に、これはキツイよ」と4階級制覇を狙うエリック・モラレスの状態を心配する管理人。2ラウンドに入ると、超攻撃型ファイターのマルコス・マイダナが体重を乗せたパンチを振りまわしながらエリック・モラレスに襲い掛かります。エリック・モラレスに休む暇を与えない、凄まじいラッシュです。

3ラウンド、4ラウンドもマルコス・マイダナが前進を続ける展開が続きますが、少しずつスタミナが切れてきたのか、序盤の勢いはなくなってきました。一方のエリック・モラレスはマルコス・マイダナの前進を止めるため、左ジャブから右ストレートのワンツーを連打。序盤に比べて、エリック・モラレスのパンチが入るようになってきましたね。

5ラウンドに入ると、マルコス・マイダナが立ち上がりからラッシュを仕掛けます。このラッシュに対して、エリック・モラレスも闘志を前面に押し出しながらパンチを連打して応戦。マルコス・マイダナの動きが鈍って来た影響でしょうか?エリック・モラレスのクリーンヒットも目立つようになってきましたね。特に右ストレートが的確に決まっています。

「マイダナもモラレスも相当苦しい状態で打ち合ってるよ。後半に向けて我慢比べになりそうだぞ」と両者の状態を確認する管理人。スタミナが切れ始めて苦しいマルコス・マイダナ。ダメージの蓄積で苦しいエリック・モラレス。どちらが倒れてもおかしくない壮絶な試合になってきました。

7ラウンドに入ると、マルコス・マイダナが肩で呼吸をするようになり、一気に失速。一方のエリック・モラレスは鋭い左ジャブから右ストレート、左アッパー、左ボディブローを的確に急所へ打ち込み、ポイントを奪い返します。試合の流れを読む能力は、さすが百戦錬磨のエリック・モラレスですね。

「マイダナ、完全に疲れちゃったな。モラレスはチャンスだよ。ダメージと疲労の蓄積があるけど、攻撃に行けるかな?」と思っていると、8ラウンド開始から左ジャブをボディーに集めていたエリック・モラレスが突然マルコス・マイダナの顔面をめがけて左フックを強振し、マルコス・マイダナのアゴを打ち抜きます。

「めちゃめちゃ効いた!」と思わず叫ぶ管理人。この試合一番のエリック・モラレスのパンチをもらったマルコス・マイダナはおぼつかない足でエリック・モラレスにしがみついて反撃を回避。タフなマルコス・マイダナでなければ、ダウンしてもおかしくない完璧な左フックでしたね。

「これは完全に分からなくなってきたよ。どっちも苦しい状態で、どうやって終盤の主導権を握ることができるかな?」と試合の行方に注目する管理人。すると、9ラウンド開始直後、マルコス・マイダナが猛烈なラッシュをみせ、エリック・モラレスに襲い掛かります。マルコス・マイダナは主導権を奪い返そうと力を振り絞って勝負を仕掛けてきましたね。

ラスト3ラウンドはどちらもダメージと疲労を抱える状態で一進一退の打ち合いとなります。お互いのプライドと闘志がぶつかり合う壮絶な打撃戦が続き、どちらも力を出し切った状態で、12ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。

結果は1人のジャッジが引き分け、2人のジャッジがマルコス・マイダナを支持。激闘の末、手数で上回ったマルコス・マイダナが4階級制覇を狙ったエリック・モラレスに2-0の判定勝ちを収め、暫定タイトルを獲得しました。

マルコス・マイダナもエリック・モラレスも持ち味を発揮した素晴らしい打撃戦でしたね。結果は序盤のリードを生かしたマルコス・マイダナが逃げ切る形になりましたが、勝ったマルコス・マイダナだけでなく、敗れたエリック・モラレスにも大きな拍手を送りたい内容でした。

正直なところ、エリック・モラレスのボクシングには驚きました。引退から復帰後、3戦3勝で今回の暫定王座決定戦のチャンスをつかんだエリック・モラレスですが、復帰後3戦の出来は良くなかったんです。明らかにスピード不足で、パンチにキレもありませんでした。

今回の試合が決まったとき、管理人は「マイダナが5ラウンド以内に仕留めるんじゃない?モラレスがボコボコに負ける姿はもう観たくないんだけどな」と生意気なことを思っていたのですが、今は「エリック・モラレス様、すみません。私が本当に浅はかでした」という心境です。

この試合のエリック・モラレスは本当に素晴らしかったと思います。全盛期のスピードはありませんが、右目がふさがった状態で的確なパンチを上下に打ち分け、マルコス・マイダナと真っ向から勝負できるボクサーが何人いるでしょうか?勇敢なメキシコの英雄が戻ってきましたね。

引退から復帰したスーパースターがボコボコに負けちゃう姿を目にすると、本当に悲しい気持ちになります。でも、この試合のエリック・モラレスのボクシングを観ると、4階級制覇を期待しちゃいますね。さすがは「恐怖の男」エリック・モラレス。ボクシングの奥深さを学んだ印象に残る試合でした。

マルコス・マイダナ対エリック・モラレスの試合結果

試合結果 マルコス・マイダナが12ラウンド2-0の判定勝ちで暫定タイトル獲得。管理人の採点は116-112でマルコス・マイダナの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 116-112
  • 116-112
  • 114-114
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