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技巧派のアンセルモ・モレノと一撃強打のビック・ダルチニャンが激突

WBA世界バンタム級タイトルマッチ

チャンピオン アンセルモ・モレノ(パナマ)
戦績:33戦31勝11KO1敗1分
挑戦者 ビック・ダルチニャン(オーストラリア・アルメニア出身)
戦績:41戦37勝27KO3敗1分

アンセルモ・モレノ対ビック・ダルチニャンの試合内容

最高峰のテクニックを武器に防衛を重ねるアンセルモ・モレノと軽量級屈指の強打を誇るビック・ダルチニャンが激突するWBA世界バンタム級タイトルマッチです。アンセルモ・モレノもビック・ダルチニャンもサウスポーですが、ボクシングの特徴は正反対。好対照な実力者が激突する興味深い試合ですね。

チャンピオンのアンセルモ・モレノはサウスポーの特徴を最大限に生かしたボクシングで8度のタイトル防衛に成功しています。一撃の破壊力こそビック・ダルチニャンに劣りますが、パンチを当てる技術に優れ、体の柔らかさを生かしたディフェンスは天下一品。ディフェンスを大事にしながら、相手の長所を消し去るボクシングに徹する強みがあります。

一方のビック・ダルチニャンは一撃強打で対戦相手をリングに沈めてきたハードヒッター。得意の左ストレートをブンブン振り回し、自慢の強打を叩き込もうとするアグレッシブなボクシングは世界中のボクシングファンを熱狂させています。「当たれば勝ち」を実践する強打者の代表格です。

正反対の特徴を持つ2人のサウスポー。激戦のバンタム級で主役の座に躍り出るボクサーは、テクニシャンのアンセルモ・モレノでしょうか?それとも、ハードヒッターのビック・ダルチニャンでしょうか?バンタム級戦線の行方を占うサウスポー対決の幕が開けます。

試合は、序盤からKOを狙って自慢の左ストレートを振り回す挑戦者のビック・ダルチニャンに対して、チャンピオンのアンセルモ・モレノがドッシリと構え、力強い右ジャブからカウンターの左ストレート、左アッパーで反撃するスリリングな展開で始まります。

「おおお!モレノがパンチを打ってダルチニャンの前進を止めようとしてるぞ。下がって戦うより打ち合うほうが安全だと判断したのかな?これは予想外だよ」とアンセルモ・モレノのボクシングに注目する管理人。アンセルモ・モレノは「下がってかわすボクシング」ではなく、「打ちながら止めるボクシング」でビック・ダルチニャンの突進を封じ込める作戦のようです。

軽量級離れした強打で数々の強豪をリングに沈めてきたビック・ダルチニャン。しかし、この試合は自慢の強打がことごとく空を切り、アンセルモ・モレノの術中にはまってしまいます。ビック・ダルチニャンが懐に飛び込んで左ストレートを打ち込もうとするタイミングで、アンセルモ・モレノがコンパクトなカウンターを顔面に叩き込むので、ビック・ダルチニャンはリズムに乗ることができません。

序盤はアンセルモ・モレノの左ストレートと左アッパーのカウンターが効果的にビック・ダルチニャンの出鼻をくじく展開が続きます。試合中盤に入ると、アンセルモ・モレノがビック・ダルチニャンのみぞおちを狙って右アッパーを多用し始め、ビック・ダルチニャンのフットワークを止める作戦を実行します。

「モレノのボクシングは芸術的だよ。小さなモーションでダルチニャンの強打をかわして、打ち終わった瞬間にパンチを集めることができるもんな。すごい技術だよ」とアンセルモ・モレノに拍手を送る管理人。ビック・ダルチニャンの懐で勝負することができる勇気とテクニックは超一級品ですね。

試合終盤は、アンセルモ・モレノがビック・ダルチニャンの強打を封じ込めながら、上下にコンパクトなパンチを打ち込む展開が続き、12ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。結果は3人のジャッジがすべてアンセルモ・モレノを支持。アンセルモ・モレノがビック・ダルチニャンの3階級制覇を阻止し、9度目の防衛に成功しました。

アンセルモ・モレノのテクニックがビック・ダルチニャンのパワーを完全に封じ込めた試合でしたね。今回の防衛戦は、管理人が観戦したアンセルモ・モレノのベストファイトです。強打を誇るビック・ダルチニャンの懐で、ガードを下げてボディブローを連打できるボクサーがどれだけいるでしょうか?テクニックと勇気がないと実行できない作戦を、完璧に遂行したアンセルモ・モレノに脱帽です。

ビック・ダルチニャンをワンサイドの内容で撃破したアンセルモ・モレノ。ビック・ダルチニャンにボクシングのレッスンをしてバンタム級ナンバーワンのテクニシャンであることを証明しましたね。サウスポーの教科書のようなボクシングだったなあ。

アンセルモ・モレノ対ビック・ダルチニャンの試合結果

試合結果 アンセルモ・モレノが3-0の判定勝ちで9度目のタイトル防衛に成功。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 120-107
  • 117-110
  • 116-111
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