WBC世界ヘビー級タイトルマッチ
チャンピオン | ビタリ・クリチコ(ウクライナ) 戦績:46戦44勝40KO2敗 |
挑戦者 | マヌエル・チャー(ドイツ) 戦績:21戦全勝11KO |
ビタリ・クリチコ対マヌエル・チャーの試合内容
41歳を迎えた「ヘビー級のボス」ビタリ・クリチコが9度目の防衛戦で全勝挑戦者のマヌエル・チャーと激突します。政界進出を予定しているビタリ・クリチコは、10月の選挙に向けて弾みをつける勝利を手にすることができるでしょうか?
それとも、全勝のマヌエル・チャーが得意のフックを一閃し、初の世界タイトルマッチで悲願のチャンピオンベルトを手にするのでしょうか?世界中のボクシングファンが注目するヘビー級決戦の開始を告げるゴングが鳴り響きます。
試合は、ビタリ・クリチコが開始直後から「パンチを打つぞ、打つぞ」とフェイントをかけながら距離を詰め、マヌエル・チャーにプレッシャーをかける展開で始まります。ビタリ・クリチコは立ち上がりから倒しに行っていますね。
一方のマヌエル・チャーはガードをガッチリと固めて、ビタリ・クリチコの左ジャブと右ストレートをブロックしながら、打ち終わりを待って、左右のフックを強振します。ブロックしながら「打ってこい」とアピールするところは強気な性格が表れていますね。
2ラウンドに入ると、ビタリ・クリチコが手数を増やし、マヌエル・チャーのガードのすき間を狙ってパンチを上下に打ち分けます。マヌエル・チャーはガードを固めながら前進しますが、ガードに追われ、なかなか反撃することができません。
「もしかして、チャーは後半勝負を狙っているのかな?まずはビタリにパンチを打たせてスタミナを消耗させる作戦かも。この作戦が吉と出るかな?凶と出るかな?」と思っていると、2ラウンド残り10秒、マヌエル・チャーがパンチを連打して、ビタリ・クリチコをロープに詰めます。
「お、チャーはチャンスじゃない?」と思った瞬間、ビタリ・クリチコが右ストレートのカウンターをマヌエル・チャーの頭に当て、マヌエル・チャーが前のめりに倒れ込みます。ビタリ・クリチコが的確なカウンターでダウンを奪いましたね。
「ビタリはチャーが出てきたところへ上手くタイミングを合わせたね。チャーの突進を避けながら打ったショートの右ストレートだったんで、それほど効いてないと思うんだけど、ダメージはどうだろう?」とマヌエル・チャーの状態に注目する管理人。
ダウンを奪われたマヌエル・チャーですが、3ラウンドが始まるとガードを固めて前進し、積極的に左右のフックを狙います。ダウンを奪われたマヌエル・チャーが、主導権を渡さないよう、勝負に出てきましたね。
「チャーのパンチも当たってるね。もう一歩踏み込んで、深く当てられるかな?チャーはガードの上を打たせながら前へ出てるんで、ダメージが蓄積する前に勝負したいよ」とマヌエル・チャーのボクシングに注目する管理人。ダウンをきっかけに、試合が一気にヒートアップしてきました。
「チャーが我慢しながら懐へ入る回数が増えてきたよ。ビタリがガードを下げてるんで、左フックが当たりそうな雰囲気になってきたよ」と思い始めた4ラウンド中盤。逆に、ビタリ・クリチコの左フックがマヌエル・チャーの顔面をとらえ、マヌエル・チャーの右まぶたが大きくカットしてしまいます。
「うわ!すごい出血だなあ。チャーは古傷をカットしちゃったね。続行できるかな?これから盛り上がりそうなんで続けてほしいなあ」と願っていたのですが、マヌエル・チャーの傷口を確認したドクターの判断は続行不可能。レフェリーが試合をストップします。
この瞬間、ビタリ・クリチコがマヌエル・チャーに4ラウンドTKO勝ちを飾り、WBC世界ヘビー級タイトルの9度目の防衛に成功しました。一方、不本意な形で敗れ、怒りをあらわにするマヌエル・チャーは無念のプロ初黒星です。
いやー、予想外の結末を迎えましたね。「これからが本当の勝負だよ」と思い始めた矢先のストップに肩すかしを食らってしまった感がありますが、ものすごい出血量だったので「ストップはしょうがないかな」と思います。
勝ったビタリ・クリチコは、10月に行われる母国ウクライナの選挙に出馬することを表明しています。「できるなら戦い続けたい」と語っているように「当選イコール引退」を否定していますが、いずれにしても、しばらくはリングを離れることになりそうです。
9度目の防衛戦は結果的に消化不良となってしまいましたが、「史上最強の兄弟ボクサーのお兄ちゃんは、やっぱり強いなあ」と改めて実感した「ラストマッチ」でした。41歳の年齢を考えると、「このまま引退」の可能性が高いかもしれませんね。
ビタリ・クリチコ対マヌエル・チャーの試合結果
試合結果 | ビタリ・クリチコが4ラウンド2分4秒TKO勝ち。9度目の防衛に成功しました。 |