WBC世界バンタム級タイトルマッチ

山中慎介選手とアルベルト・ゲバラの試合内容

圧巻のKO防衛を続けるサウスポーの山中慎介選手が、2年ぶりのオーソドックス（右構え）となるアルベルト・ゲバラを迎えて5度目の防衛戦を行います。山中慎介選手がフットワークを駆使して戦うアルベルト・ゲバラを追い詰めるプロセスに注目したいタイトルマッチですね。

試合は、ジワリジワリと距離を詰めて、得意の左ストレートを打ち込むタイミングを狙うチャンピオンの山中慎介選手に対して、挑戦者のアルベルト・ゲバラがフットワークを使って大きく距離を取りながら、いきなり飛び込んで右フックを狙う展開で始まります。

「山中選手は普段通りの落ち着いた立ち上がりだね。ゲバラは、山中選手の強打を回避しながらポイントアウトする作戦を練りに練ってきた印象だよ。山中選手は動き回るゲバラをどうやって捕まえるのかな？」と立ち上がりの攻防に興味津々の管理人。KO狙いの山中慎介選手と勝利にこだわるアルベルト・ゲバラの好対照な作戦が印象的な1ラウンドです。

序盤こそ右ジャブが少なかった山中慎介選手ですが、ラウンドが進むにつれて「小さなパンチ」の数が増え、アルベルト・ゲバラの体にパンチがヒットする場面が増えます。山中慎介選手の右ジャブを中心にした「小さなパンチ」が当たるようになったことで、「大砲」を警戒するアルベルト・ゲバラにプレッシャーを与える効果があるようです。

特に、4ラウンド終了後の最初の公開採点が終わり、山中慎介選手がリードしていることが発表されると、両雄のボクシングに違いが生まれるようになります。最大4ポイントのリードを許してしまったアルベルト・ゲバラはパンチを集めるため、山中慎介選手の懐へ飛び込んで戦う時間が増えてきました。

アルベルト・ゲバラにとって、4ラウンドを終えた時点で、1人が40対36、2人が39対36の採点は予定外だったようです。一方、3人のジャッジから支持された山中慎介選手は、さらにプレッシャーをかけ、手数が増える好循環。ラウンドが進むにつれて、山中慎介選手がアルベルト・ゲバラのボクシングに慣れてきた印象です。

山中慎介選手が主導権を握り、迎えた8ラウンド開始直後。プレッシャーをかけて、アルベルト・ゲバラをロープへ追い詰め、左ストレートを振り抜きます！次の瞬間、アルベルト・ゲバラが驚いたような表情を浮かべてダウン。かすったパンチだと思うのですが、ダウンから立ち上がったアルベルト・ゲバラの動きが明らかに鈍っています。

一気にフィニッシュを狙う山中慎介選手は、得意の左ストレートを上下に打ち分け、プレッシャーをかけ続けます。8ラウンド残り40秒、山中慎介選手が再び左ストレートでダウンを奪い、完全に主導権を握ります。アルベルト・ゲバラは生命線のフットワークを奪われ、めっちゃ苦しい状況に追い込まれています。

9ラウンドが始まると、山中慎介選手がすぐに距離を詰めて左ストレートを打ち込み、ロープへ追い詰めます。次の瞬間、山中慎介選手が「伝家の宝刀」左ストレートを一閃！フラフラ状態のアルベルト・ゲバラは力なく崩れ落ち、山中慎介選手が3度目のダウンを奪います。

「決まった！もう立てないでしょ！」と大興奮の管理人。意識もうろうのアルベルト・ゲバラは10カウント以内に立ち上がることができず、勝負あり。山中慎介選手がアルベルト・ゲバラに9ラウンドKO勝ちを飾り、5度目の防衛に成功しました。

山中慎介選手が、倒すことの難しいアルベルト・ゲバラを見事に倒し切った防衛戦でしたね。試合前は「山中選手がゲバラのフットワークに手を焼く展開になると、接戦になるかもしれないなあ。パンチも独特のタイミングだもんね」と予想していたのですが、ラウンドが進むにつれて、山中慎介選手が着実に主導権を握る姿が印象的でした。

再び「伝家の宝刀」で挑戦者の夢を打ち砕いた山中慎介選手。「ゲバラは山中選手の盲点になる可能性もあったと思うんだけど、最後はKO勝ちだもんね。捕まえることができれば、倒せる強みはすごいなあ」と改めて左ストレートの破壊力を実感した防衛戦でした。フィニッシュに持っていくプロセスにますます磨きがかかれば、アメリカでも「鬼に金棒」になりそうですね。

山中慎介選手とアルベルト・ゲバラの試合結果