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3階級制覇なるか?井岡一翔とアムナット・ルエンロエンの全勝対決

IBF世界フライ級タイトルマッチ

チャンピオン アムナット・ルエンロエン(タイ)
戦績:12戦全勝5KO
挑戦者 井岡一翔(日本)
戦績:14戦全勝9KO

井岡一翔選手とアムナット・ルエンロエンの試合内容

ミニマム級、ライトフライ級の2階級制覇を実績を誇る井岡一翔選手が、日本人ボクサー2人目の3階級制覇をかけて、IBF世界フライ級チャンピオンのアムナット・ルエンロエンに挑戦する注目の大一番。井岡一翔選手はアマチュア時代に敗れている因縁の相手にリベンジを果たし、3階級制覇を達成することができるでしょうか?決戦を告げるゴングが鳴り響きます。

試合は、ガードを高く構え、鋭い左ジャブを突きながら距離を詰めようとする挑戦者の井岡一翔選手に対して、チャンピオンのアムナット・ルエンロエンがフリッカージャブから強烈な右ストレートを上下に打ち分けて、井岡一翔選手を突き放そうとする展開で始まります。

「うわっ!オープニングのアムナットの右ストレートは『近づいたら、強いパンチを浴びせるよ』ってメッセージだね。いやー、アムナットが予想以上に力を込めてパンチを打ってるよ。井岡選手はどうやって距離を詰めるのかな?」と立ち上がりの攻防に興味津々の管理人。井岡一翔選手は真っ向から距離を詰めて、ボディブローから攻撃を組み立てようとしている印象です。

2ラウンドに入ると、井岡一翔選手が左ジャブを突きながら積極的にプレッシャーをかけます。ところが、アムナット・ルエンロエンが井岡一翔選手の左ジャブに合わせて、強烈な右ストレートのカウンターを打ち込み、さらに、アッパーを突き上げ、懐へ入ることを許しません。アムナット・ルエンロエン陣営は、井岡一翔選手のボクシングをかなり研究している印象です。

3ラウンド終了間際には、アムナット・ルエンロエンが右アッパーから右フックを打ち込み、井岡一翔選手の体が流れます。アムナット・ルエンロエンは井岡一翔選手が左ジャブを出すと、右ストレートをかぶせ、飛び込もうとすると、アッパーを突き上げる理想的なボクシングで井岡一翔選手を懐に入れません。しかも、アッパーを打ったあと、フックへつなげてくるので、やっかいですね。

一方、井岡一翔選手は後手後手に回ってしまう苦しい序盤。過去の試合は、先手先手で攻撃を仕掛け、自分のリズムで戦っていた井岡一翔選手ですが、アムナット・ルエンロエンにフリッカージャブで出鼻をくじかれ、リズムが作れません。アムナット・ルエンロエンがオーバーペースを覚悟で勝負に出ているので、ディフェンスに比重を置きながらの戦いが続きます。

5ラウンドに入ると、井岡一翔選手が反撃を開始。アムナット・ルエンロエンの左ジャブをダッキングで回避しながら、距離を詰め、左ボディブローを打ち込みます。一方のアムナット・ルエンロエンは左右にスイッチを繰り返しながら、アッパーで応戦。立ち上がりの4ラウンドに比べて、両雄の距離が詰まってきました!どちらのパンチも当たる距離で激しい主導権争いが続きます。

「序盤はポイントを失っているはず。中盤で絶対に盛り返したいなあ。終盤勝負に持ち込めれば、アムナットはペースが落ちてくるはずなんで、中盤でリズムを作りたい!頑張れ、井岡選手」と応援に力が入る管理人。プレッシャーをかけているボクサーは井岡一翔選手ですが、アムナット・ルエンロエンが下がりながらも先にパンチを当ててくるので、手数で負けないように攻めたいですね。

終盤に入ると、疲れの見え始めたアムナット・ルエンロエンが井岡一翔選手にクリンチする場面が増えます。井岡一翔選手が攻め込む時間は確実に増えているのですが、決定的なパンチを当てることができず、逆に、アムナット・ルエンロエンの手数と強打に、攻撃をかき消されている印象です。井岡一翔選手はもう少しパンチを集めて、パンチで下がらせるシーンを増やしたいですね。

ラスト3ラウンドは、アムナット・ルエンロエンが本来のアウトボクシングを徹底し、井岡一翔選手の攻撃を回避することに専念。懐の深さを生かして、最小限のダメージで切り抜けます。一方、井岡一翔選手は前進を続け、パンチを打ち込もうとするのですが、アムナット・ルエンロエンにクリンチされ、パンチを連打することができません。

試合終盤は、井岡一翔選手がプレッシャーをかけ続け、アムナット・ルエンロエンが必死に攻撃を回避する展開が続き、12ラウンド終了のゴング。日本最速の3階級制覇とアマチュア時代のリベンジを目指した井岡一翔選手の挑戦の勝敗は、3人のジャッジに委ねられます。

結果は、2人のジャッジがアムナット・ルエンロエン、1人が井岡一翔選手を支持。アムナット・ルエンロエンが12ラウンド判定勝ちを飾り、アマチュア時代に勝ったことがある井岡一翔選手にプロのリングでも勝利しました。敗れた井岡一翔選手は無念のプロ初黒星です。

いやー、アムナット・ルエンロエンの懐の深さとチェンジ・オブ・ペースが井岡一翔選手を戸惑わせ続けた試合でしたね。特に、アムナット・ルエンロエンの立ち上がりの攻撃は、全くの予想外で、結果的に、オープニングの右ストレートが井岡一翔選手に終始ガードを意識させ、本来のリズムを奪うきっかけになった印象でした。アムナット・ルエンロエン陣営の作戦はすばらしかったですね。

無念のプロ初黒星を喫してしまった井岡一翔選手は、本来のボクシングができなくて、すごく悔しかったと思うんですよ。まだ25歳と若く、実力は誰もが認めるところなので、ゆっくり休んで、フィジカルだけでなく、メンタルも十分に回復させた状態で、再び3階級制覇に挑戦してほしいです!プロ初黒星をバネに、さらに大きく羽ばたく井岡一翔選手の姿に期待しましょう!

井岡一翔選手とアムナット・ルエンロエンの試合結果

試合結果 アムナット・ルエンロエンが12ラウンド僅差の判定勝ち。3階級制覇に失敗した井岡一翔選手は無念のプロ初黒星です。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 119-108(アムナット・ルエンロエン)
  • 115-112(アムナット・ルエンロエン)
  • 114-113(井岡一翔選手)
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