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ファン・マヌエル・マルケス対マイク・アルバラードの新旧テクニシャン対決

WBO世界ウェルター級挑戦者決定戦

元4階級制覇チャンピオン ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
戦績:63戦55勝40KO7敗1分
前WBO世界スーパー
ライト級チャンピオン
マイク・アルバラード(アメリカ)
戦績:36戦34勝23KO2敗

ファン・マヌエル・マルケス対マイク・アルバラードの試合内容

4階級制覇の実績を誇る40歳のファン・マヌエル・マルケスが数々の激闘を演じたマイク・アルバラードと激突する注目の新旧テクニシャン対決。どちらにとっても再起戦となる負けられない戦いは、WBO世界ウェルター級チャンピオンのマニー・パッキャオへ挑戦するためのサバイバルマッチです。再起戦を勝ち抜き、ビッグマッチへ進出するボクサーはどちらでしょうか?

試合は、左ジャブを突きながら右ストレートのカウンターを打ち込むファン・マヌエル・マルケスに対して、マイク・アルバラードがガードをガッチリと固め、ディフェンスを大事に戦う展開で始まります。予想していたより、はるかに静かな立ち上がりです。

「アルバラードが全く手を出さないね。出さないっていうより出せないのかな?かなり緊張してるみたい。逆に、マルケスは、いつも通りの立ち上がりだね。ビッグマッチの経験の違い出てる1ラウンドだなあ」と立ち上がりに興味津々の管理人。マイク・アルバラードが予想以上にファン・マヌエル・マルケスのパンチを警戒している印象です。

3ラウンドに入ると、マイク・アルバラードがプレッシャーを強め、反撃を開始しようとしますが、ファン・マヌエル・マルケスが真っ向から力強いパンチで応戦。マイク・アルバラードはもっとパンチを出したいと思うのですが、ファン・マヌエル・マルケスの攻撃をめちゃめちゃ警戒しているので、ガードから手が離せません。リズムを作る意味でも、もっと左ジャブがほしいですね。

静かな立ち上がり
【Photo:HBO

中盤以降は、ファン・マヌエル・マルケスがパンチを浴びせるワンサイドな展開。ファン・マヌエル・マルケスは左ジャブで距離を測定しながら、マイク・アルバラードが飛び込んでくると、回転の速い連打を打ち込み、ダメージを与え続けます。ファン・マヌエル・マルケスの多彩なコンビネーションブローがおもしろいように、マイク・アルバラードに決まっています。

一方、マイク・アルバラードは全く元気がありません。ガードを固めて距離を詰めようとするのですが、パンチを出すこともなく、踏み込むスピードもないため、打たれて、サイドに逃げられる苦しい展開が続きます。マイク・アルバラードは迷いながら戦っている印象です。

ファン・マヌエル・マルケスのペースで進み、迎えた8ラウンド終了間際、強烈な右ストレートを顔面に打ち込み、ダウンを奪います。フェイントを入れて、マイク・アルバラードのタイミングを外し、完璧な右ストレートを打ち込みました!さすがは、百戦錬磨のファン・マヌエル・マルケスです。ダウンから立ち上がったマイク・アルバラードですが、ダメージはかなり深そうですね。

「マルケスが一気に決めるかな?」と思った9ラウンド40秒。勝負に出たマイク・アルバラードがファン・マヌエル・マルケスの打ち終わりを狙って、右ストレートを打ち込み、ダウンを奪い返します。「マルケスの名前に負けていたアルバラードだけど、ダウンを奪われたことで、逆に、スイッチが入ったかも。アルバラードは千載一遇のチャンスだよ」と大興奮してしまうダウンの応酬です!

ヒートアップ
【Photo:HBO

ダウンを奪われたファン・マヌエル・マルケスですが、試合が再開されると、打ち合うことでピンチを脱出。10ラウンドに入ると、ファン・マヌエル・マルケスが左ジャブを突き、ダメージを回復させながら、確実にポイントを奪います。苦戦慣れ、ダウン慣れしているファン・マヌエル・マルケス。ピンチを乗り切る最善策を的確に選択できる判断力は、大きな強みですね。

逆に、マイク・アルバラードはリングをサークルしてパンチをかわすことに専念してしまい、絶好のチャンスを逃してしまいます。「いやー、もったいない。アルバラードは、ダメージが蓄積して追撃できなかったのかな?逆に、手数で押し返しながらカウンターを警戒させたマルケスはすごいよ」と勝負の終盤を振り返る管理人。ダメージの差と経験の差を感じたヤマ場でした。

11ラウンド終盤、マイク・アルバラードがバランスを崩したファン・マヌエル・マルケスに右ストレートを打ち込みますが、ファン・マヌエル・マルケスがギリギリで踏ん張り、ダウンを回避。最終ラウンドは、ファン・マヌエル・マルケスがマイク・アルバラードの反撃を許さず、試合終了のゴングが鳴り響きます。

勝敗は3人のジャッジに委ねられ、結果は、3人のジャッジすべてが大差でファン・マヌエル・マルケスを支持。ベテランのファン・マヌエル・マルケスがマイク・アルバラードに12ラウンド判定勝ちを飾り、新旧テクニシャン対決に快勝しました。

百戦錬磨
【Photo:HBO

ファン・マヌエル・マルケスの的確なパンチと経験がマイク・アルバラードの持ち味を上回った試合でしたね。40歳のファン・マヌエル・マルケスですが、まだまだトップ戦線で戦えることを証明した見事な再起戦だったと思います。ダウンを奪われながらも耐え抜く戦術眼や試合運びのうまさに、改めてファン・マヌエル・マルケスの底力を感じた復活劇でした。

一方、マイク・アルバラードは大きく後退する痛恨の黒星になるかもしれません。9ラウンドにダウンを奪い、一矢報いた印象のマイク・アルバラードでしたが、素人ファンには、マイク・アルバラード陣営の狙いがよくわからなかったので、見かけたら、ぜひご教授くださいませ。序盤にもらったロングの左ボディブローで前進をためらった感じはあったのですが、どうしたんだろう?

我慢して距離を詰めて打撃戦に持ち込もうとするわけでもなく、アウトボクシングをするわけでもなく、元気のなさが心配になる再起戦でした。特に、アメリカのファンは、ルスラン・プロポドニコフ戦で続行を拒否した理由を知っているので、再起戦に期待していたと思うんです。マイク・アルバラードに対する拍手が全くなかった事実がファンの失望感を物語っていましたね。

終盤の大激闘を勝ち抜き、復活をアピールしたファン・マヌエル・マルケス。「宿命のライバル」マニー・パッキャオと再び拳を交える日はやってくるのでしょうか?通算成績は、ファン・マヌエル・マルケスの1勝2敗1分で、しかも、5階級制覇をかけた大一番なので、第5戦が実現するかもしれませんね。まもなく41歳を迎えるファン・マヌエル・マルケスの決断に注目しましょう。

ファン・マヌエル・マルケス対マイク・アルバラードの試合結果

試合結果 ファン・マヌエル・マルケスが12ラウンド判定勝ち。注目の再起戦に快勝しました。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 119-108
  • 117-109
  • 117-109
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WBC世界スーパーフェザー級チャンピオンの三浦隆司選手も同じイベントに登場します。

テレビ放送日時 11月21日(土)HBOでPPVライブ中継(アメリカ)
11月22日(日)WOWOWで11時から生中継(日本)
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