WBO世界フェザー級王座決定戦

オルランド・サリド対ワシル・ロマチェンコの試合内容

北京五輪とロンドン五輪を連覇し、プロ転向を表明したワシル・ロマチェンコがプロ2戦目で世界タイトルへ挑戦する注目の大一番。アマチュア戦績397戦396勝1敗の「スーパーエリート」ワシル・ロマチェンコが世界タイトル奪取の最短記録の更新をかけて、タフな「雑草チャンピオン」のオルランド・サリドに挑戦する大一番となるはずでした。

ところが、前日の計量で、チャンピオンのオルランド・サリドが体重超過！タイトルのはく奪が決定し、挑戦者のワシル・ロマチェンコが勝った場合のみ、チャンピオンと認められる変則マッチになりました。減量苦が伝えられていたオルランド・サリド。大一番で痛恨の失態です！

管理人はオルランド・サリドの熱烈なファンですが、試合前の減量も含めたボクシングが好きなので「計量をクリアできないボクサーは応援しないポリシー」に従って、ワシル・ロマチェンコの大偉業達成の瞬間を期待しながら、歴史的な大一番を楽しみたいと思います。いやー、悲しいなあ。

【Photo:HBO】

試合は、サウスポーのワシル・ロマチェンコが上半身を振りながらプレッシャーをかけ、オルランド・サリドが距離を取って戦力を分析する展開で始まります。ワシル・ロマチェンコがオルランド・サリドにプレッシャーをかける予想外の立ち上がりです。

「サリドはロマチェンコのプレッシャーを感じて前に出られないね。ボディコンタクトが増えたほうが、ロマチェンコは嫌だと思うんだけどなあ。もしかすると、サリドもスタミナが心配なのかな？それとも、後半勝負を狙っているのかな？」と静かな立ち上がりに興味津々の管理人。オルランド・サリドが、1ラウンドで、これだけ静かに立ち上がった試合は初めて観戦しました。

2ラウンドに入ると、オルランド・サリドが体を振りながら、飛び込んでパンチを打ち込む回数が増えます。一方のワシル・ロマチェンコは、オルランド・サリドが頭から飛び込んでくるので、バッティングを警戒して距離を取り、ディフェンスを大事に戦っています。

ワシル・ロマチェンコがうまく距離を取って戦う展開が続き、迎えた6ラウンド。オルランド・サリドがプレッシャーを強め、パンチを打ち込みながらワシル・ロマチェンコを追い回します。序盤をセーブしていたオルランド・サリドが明らかにギアを上げてきましたね。

【Photo:HBO】

「サリドが本格的に攻撃にシフトしてきたよ。サリドは、わざと休む時間を作って、後半勝負にかけてきたね。逆に、ロマチェンコはサリドのプレッシャーをかなり感じてるみたい。サリドの手数とクリンチが増えると、ロマチェンコは厳しくなりそうだなあ」と試合の大きなヤマ場に注目する管理人。ワシル・ロマチェンコは後手後手になって、手数が減ってきましたね。

ラスト2ラウンドに入り、ワシル・ロマチェンコが手数を増やし、ポイントを奪いに行きます。一方、オルランド・サリドは疲れの影響でしょうか？クリンチでワシル・ロマチェンコの攻撃を止めようとします。どちらも苦しい状況で、一進一退の攻防が続きます。

勝負の最終ラウンド、ワシル・ロマチェンコが強烈な左ストレートを顔面に叩き込み、ボディブローからアッパーを突き上げます！タフなオルランド・サリドがフラフラになった瞬間、ワシル・ロマチェンコが一気に攻勢を強め、力強いパンチを連打！オルランド・サリドがギリギリで耐え抜き、12ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。

【Photo:HBO】

歴史的な大一番の勝敗は3人のジャッジに委ねられ、2人がオルランド・サリド、1人がワシル・ロマチェンコを支持。大接戦の末、オルランド・サリドがワシル・ロマチェンコに12ラウンド判定勝ちを飾り、ワシル・ロマチェンコの大偉業達成は実現しませんでした。

いやー、大接戦でしたね。オルランド・サリドの粘り強いボクシングと後半勝負が成功し、ワシル・ロマチェンコのテクニックを封じ込めた試合でしたが、個人的に「ロマチェンコも疲れていたけど、サリドもめっちゃ疲れていたんじゃないかな？ギリギリの戦いだったね」と感じるくらい、ワシル・ロマチェンコのすばらしさも十分に実感することができる内容でした。

ワシル・ロマチェンコの大偉業を魂のファイトで阻止したオルランド・サリド。「プロの意地を見せつけた結果だっただけに、サリドの体重超過はめちゃくちゃ残念だよ」と感じた切なすぎる歴史的な大一番でした。世界タイトル奪取の最短記録更新を目指した1度しかない夢の挑戦が、めっちゃ後味の悪い形で終わったことが本当に残念です！ワシル・ロマチェンコが気の毒だったなあ。

オルランド・サリド対ワシル・ロマチェンコの試合結果