WBOインターナショナル・フライ級王座決定戦

ゾウ・シミン対ルイス・デラ・ローサの試合内容

北京とロンドンのオリンピックを連覇したゾウ・シミンがプロ5戦目で世界タイトルに挑戦した経験を持つルイス・デラ・ローサと激突します。ゾウ・シミンは初の10回戦となるルイス・デラ・ローサ戦で進化したボクシングを披露することができるでしょうか？

試合は、上半身を小刻みに動かしながら力強いフックとアッパーを上下に打ち分けるルイス・デラ・ローサに対して、ゾウ・シミンが鋭い左ジャブから回転の速い連打で応戦する展開で始まります。ゾウ・シミンはルイス・デラ・ローサの動きをじっくりと観察しながら戦っていますね。

「パンチの強さはデラ・ローサだけど、パンチの速さは圧倒的にシミンだね。シミンは、パンチだけじゃなくて、動きもめっちゃ速いよ。デラ・ローサは何度もしつこくボディから食いついて、何とか動きを止めたいね。熱戦が期待できる立ち上がりだよ」と両雄に拍手を送る管理人。2ラウンドに入ると、ルイス・デラ・ローサがプレッシャーを強め、手数を増やします。

一方、ゾウ・シミンも手数を増やして回転の速いパンチで応戦。強引に攻め込むルイス・デラ・ローサを手数で押し返しましたね。3ラウンドに入ると、ルイス・デラ・ローサがさらにプレッシャーを強め、リング中央で打ち合いが展開されます。パンチの迫力はルイス・デラ・ローサが上回っていますが、パンチの的中率はゾウ・シミンが圧倒していますね。

【Photo:HBO】

ペースを握り始めたゾウ・シミンは4ラウンド中盤、コンパクトなストレートの3連打を浴びせ、ルイス・デラ・ローサが一瞬フラフラになります。めちゃめちゃコンパクトなパンチが「ポン、ポン、ポン」って感じで放たれましたね。ゾウ・シミンのスピードが、ルイス・デラ・ローサのパワーを封じ込め、ゾウ・シミンが試合の主導権を握る流れになってきました。

後半に入ると、お互いの手数が少し減り、ゾウ・シミンが左ジャブを中心に試合をコントロールする展開が続きます。「デラ・ローサは苦しくなってきたなあ。体にパンチを当てられると、リズムが生まれて、連打につながると思うんだけど、シミンにうまく外されてるね」と思っていると、7ラウンド40秒、ルイス・デラ・ローサの強烈な右フックがゾウ・シミンの顔面をとらえます！

「あ、効いた！デラ・ローサは勝負だよ。追撃したい」と思った瞬間、ゾウ・シミンが足を止めて、力強いパンチを連打！お互いに足を止めて、パンチを上下に打ち分ける打撃戦が続きます。ボクシングファンの皆さんは、3度の世界戦を経験しているルイス・デラ・ローサの強さをご存知だと思うのですが、ゾウ・シミンが真っ向勝負でルイス・デラ・ローサに追撃を許しませんでしたね。

「シミンは足が動かない状態で、よくピンチを乗り切ったなあ。負けん気が強いよ。でも、デラ・ローサのパンチも当たるようになってきたね。デラ・ローサはボディから顔面へ強いパンチでプレッシャーをかけ続けたいよ」と一進一退の攻防に大興奮の管理人。お互い、スタミナはかなり消耗していると思うのですが、どちらも「勝ちたい気持ち」は1ラウンドと全く変わっていませんね。

最終ラウンドは、ゾウ・シミンが距離を詰めてKOを狙い、ルイス・デラ・ローサが応戦する展開が続き、試合終了のゴングが鳴り響きます。勝敗は3人のジャッジにゆだねられ、3人のジャッジすべてが大差でゾウ・シミンを支持。ゾウ・シミンが3度の世界タイトル挑戦の実績を持つルイス・デラ・ローサに10ラウンド判定勝ちを飾り、プロデビューからの連勝を5に伸ばしました。

ゾウ・シミンのスピードが、ルイス・デラ・ローサのパワーを上回った試合でしたね。個人的に、過去の4戦と比べて、スタミナ、タフネスがアップしていると感じました。ルイス・デラ・ローサ戦に限って言うと、結構パンチをもらっていたと思うのですが、すぐに打ち返して帳消しにしていましたね。ポイントの取り方はさすがです。ゾウ・シミンの進化を実感できたプロ5戦目でした。

ゾウ・シミン対ルイス・デラ・ローサの試合結果