パワフルな連打と勇敢なハートを持つ好戦的なファイター
メキシコ出身のアブネル・マレスは、回転の速いパワフルな連打を武器に真っ向から勝負するボクシングで無敗のまま世界チャンピオンに輝いた人気ボクサーです。
アマチュア出身のボクサーらしく、基本に忠実なボクシングをベースに、負けん気の強さを押し出した好戦的なボクシングで、世界中のボクシングファンを魅了しています。
鋭い左ジャブと回転の速いコンビネーションを兼ね備えたアブネル・マレスは、2004年にアテネで行われたオリンピックに弱冠18歳でメキシコ代表として出場。初戦で敗れてしまいましたが、アマチュアのキャリアが豊富で、アマチュア時代のKO率が7割を誇るボクサーとして、早くから注目されていました。
アブネル・マレスのボクシングはとてもシンプル。左ジャブを突いて距離を詰め、右ストレートと左右のフックを上下に打ち分ける基本に忠実なボクシングです。
特筆すべきは、いろいろな角度から体重を乗せてパンチを打つことができる強靭な足腰と体幹の強さ。連打の回転を上げながら、土台のしっかりしたパンチを上下に打ち分けてくるので、対戦相手は耐え切れなくなっちゃうんです。
アマチュアエリートながら、プロ向きの性格とボクシングスタイルを持つアブネル・マレスは2005年1月にプロデビュー。ルイス・マラブを相手に2ラウンドTKO勝ちを収め、デビュー戦で白星を飾ります。
評判通りの活躍をみせるアブネル・マレスはデビューから20連勝を記録し、迎えた2010年5月。初の世界タイトル挑戦のチャンスを手にします。ターゲットは強打とタフネスを誇るIBF世界バンタム級チャンピオンのヨニー・ペレス。打ち合いを制して世界の頂点に輝いた全勝のファイターです。
世界中のボクシングファンが注目する全勝ファイター対決は、立ち上がりからパンチの応酬が繰り広げられる壮絶な打撃戦。一進一退の我慢比べが最初から最後まで続いた激闘は、両者一歩も譲らずドロー。アブネル・マレスの初の世界戦はヨニー・ペレスに善戦しながらも引き分けに終わり、悲願の世界タイトルを獲得することはできませんでした。
世界タイトル奪取へ向けて再び走り始めたアブネル・マレスは、ヨニー・ペレス、ジョセフ・アグベコ、ビック・ダルチニャンのバンタム級トップボクサーが参加して「バンタム級最強」の称号を争うトーナメントに参戦を表明。準決勝で2階級制覇の実績を誇るビック・ダルチニャンと激突します。
軽量級屈指の強打者であるビック・ダルチニャンに対して、アブネル・マレスはパワフルな連打を上下に打ち分け、真っ向勝負を挑みます。激闘の末、アブネル・マレスがビック・ダルチニャンに2-1の判定勝ちを飾り、バンタム級トーナメントの決勝進出を決めます。
決勝で待ち受ける相手は、IBF世界バンタム級チャンピオンのジョセフ・アグベコ。アブネル・マレスにとって、「バンタム級最強」の称号と悲願の世界チャンピオンベルトがかかるビッグマッチです。
結果は壮絶な打ち合いの末、アブネル・マレスがジョセフ・アグベコに2-0の僅差の判定勝ち。レフェリーがジョセフ・アグベコのスリップ気味のダウンをノックダウンと判断したり、アブネル・マレスのローブロー気味のパンチをノックダウンと判定したり、物議をかもす内容でしたが、アマチュア出身のエリートがプロの世界で頂点に輝いた瞬間でした。
物議をかもした試合から4か月、アブネル・マレスはジョセフ・アグベコと再戦。初戦と違い、ディフェンスを大事に戦う作戦に切り替えたアブネル・マレスは、ジョセフ・アグベコの強打を封じ込め、持ち味のスピードとパンチの的確さで圧倒。大差の判定勝ちで初防衛に成功します。
初防衛に成功したアブネル・マレスは2012年4月、2階級制覇を目指して激戦のスーパーバンタム級へ参戦。西岡利晃選手の名誉チャンピオン昇格に伴い、空位となった世界タイトルをエリック・モレルと争います。結果は12ラウンド大差の判定勝ち。無敗のまま2階級制覇を成し遂げました。
2階級制覇に成功したアブネル・マレスは2012年11月、初防衛戦でWBA世界バンタム級タイトルを10度防衛しているサウスポーのテクニシャンのアンセルモ・モレノと激突します。
信じられないような手数でアンセルモ・モレノにプレッシャーをかけたアブネル・マレスは5ラウンドにダウンを奪い、激闘を制して初防衛に成功。アブネル・マレスの驚異の手数とスタミナに度肝を抜かれた内容でした。
激闘を演じたアブネル・マレスは2013年5月、3階級制覇をかけて、ダニエル・ポンセ・デ・レオンの持つフェザー級タイトルに挑戦します。結果は、9ラウンドTKO勝ちでタイトル奪取に成功。ダニエル・ポンセ・デ・レオンの強打に苦しめられましたが、無敗で3本目のベルトを手にしました。
3階級制覇を達成したアブネル・マレスは2013年8月の初防衛でジョニー・ゴンサレスと激突します。「マレス有利」の声が圧倒的でしたが、結果は、1ラウンドTKO負けでまさかの王座陥落。ジョニー・ゴンサレスの強打に沈んだ無念のプロ初黒星でした。
再起をかけるアブネル・マレスは2014年7月、ジョナサン・オケンドと10回戦のノンタイトルマッチで対戦します。結果は、アブネル・マレスの10ラウンド判定勝ち。持ち味の連打はあまり見られませんでしたが、ディフェンスを大事に戦い、確実に勝利を手にした再起戦でした。
回転の速いコンビネーションと一歩も引かない真っ向勝負のボクシングで無敗のまま3階級制覇を成し遂げたアブネル・マレス。7歳でボクシングを始め、プロの世界で頂点に輝いたエリートは、軽量級の主役に躍り出ることができるでしょうか?アブネル・マレスの飽くなき挑戦に注目ですね。
アブネル・マレスのプロフィール
誕生日 | 1985年11月28日 |
戦績 | 29戦27勝14KO1敗1分 |
獲得タイトル |
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