変幻自在のリードパンチと抜群のスピードを誇る技巧派サウスポー
アメリカ出身のオースティン・トラウトは、多彩なリードパンチとスピードを生かした的確なカウンターを駆使して全勝で世界タイトルを奪取した技巧派のサウスポーです。
オースティン・トラウトの魅力は、何と言っても変幻自在のリードパンチ。サウスポーから繰り出される鋭い右ジャブだけでなく、対戦相手のボクシングスタイルによって、左ストレートや右フックをリードパンチに使いながら臨機応変に戦えるボクサーです。
鋭い右ジャブを中心にリードパンチで対戦相手を突き放しながら、懐の深さを生かせる距離を徹底的に保とうとします。サウスポーで、しかも、半身に構えるので、対戦相手は予想以上の距離に戸惑い、あれよあれよという間に主導権を握られてしまうんです。
めちゃめちゃ好戦的というわけではないので、初めてボクシングを観戦する人にとっては少し物足りなさを感じるかもしれませんが、ボクシング関係者やファンの評価は高く、特に、試合運びのうまさは超一級品です。どちらかと言えば、玄人好みのボクシングですね。
アマチュアで200戦以上の戦績を誇るオースティン・トラウトは2005年9月にプロデビュー。デビュー戦を白星で飾ると、そこから8連続KO勝利を含む怒涛の21連勝で、初の世界タイトル挑戦のチャンスを手にします。
ターゲットはWBA世界スーパーウェルター級暫定チャンピオンのリゴベルト・アルバレス。世界的な人気を誇る「メキシコの至宝」サウル・アルバレスを兄弟に持つサウスポーです。
結果は、オースティン・トラウトがサウスポー対決を制して、初の世界タイトルマッチで悲願の世界タイトル奪取に成功。技巧派サウスポーの底力を見せつけ、誇らしげにベルトを腰に巻くオースティン・トラウトの姿が印象的な初戴冠でした。
全勝のまま世界タイトルを奪取し、堅実なボクシングで防衛を重ねるオースティン・トラウトに大きな転機が訪れます。3階級制覇の実績を誇るミゲール・コットが再起戦のターゲットとして、オースティン・トラウトを指名したのです。
舞台はニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン。オースティン・トラウトは、ミゲール・コットが過去に9戦全勝の完璧な結果を残している完全アウェイのニューヨークで、防衛戦を行うことになりました。
結果は、オースティン・トラウトが多彩なリードパンチとカウンターでミゲール・コットの攻撃を封じ込め、12ラウンド判定勝ち。「勝てば、サウル・アルバレス戦が実現か?」と言われていたミゲール・コットの夢を打ち砕く完璧な試合運びでした。
ミゲール・コットから主役の座を奪ったオースティン・トラウトは2013年4月、王座統一をかけてサウル・アルバレスと激突。しかし、結果は12ラウンド判定負け。7ラウンドに奪われたダウンのダメージが最後まで影響し、プロ初黒星で無念の王座陥落となりました。
復活を目指すオースティン・トラウトは2013年12月にWBA暫定世界スーパーウェルター級チャンピオンのエリスランディ・ララに挑戦。しかし、結果は無念の12ラウンド判定負け。復活を目指したオースティン・トラウトでしたが、エリスランディ・ララに主導権を握られる苦しい展開が続き、11ラウンドにダウンを奪われる完敗でした。
変幻自在のリードパンチと的確なカウンターを武器に主役の座を奪ったオースティン・トラウト。世界中のファンが注目したビッグマッチで「ノーダウト」なボクシングを証明したテクニシャンは、逆境をバネに、再びメガファイトへ出場するチャンスを虎視眈々と狙っています。
オースティン・トラウトのプロフィール
ニックネーム | No Doubt(疑いのない逸材) |
誕生日 | 1985年9月18日 |
戦績 | 28戦26勝14KO2敗 |
獲得タイトル |
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