アメリカで厳しい洗礼を受けながらプロの頂点を極めたタフな技巧派サウスポー
キューバ出身のエリスランディ・ララは、サウスポーのメリットを最大限に生かしたボクシングで世界タイトルを獲得したテクニシャンです。アマチュアのボクシング王国キューバで培ったボクシング技術をベースに「打たせずに打つボクシング」を得意としています。
めちゃくちゃ基本に忠実なサウスポーで、右ジャブから左ストレートのワンツーがすごくコンパクトなんです。しかも、当て勘がすばらしい!さらに、半身に構えるので、対戦相手はめっちゃ距離を感じてしまうと思います。「届かないと思う距離からパンチが届く」典型的なサウスポーですね。
ボクシングのスタイルは、アマチュア出身のエリートらしく「無理をして攻めるタイプ」ではありません。相手のパンチが届かない距離とポジションをキープしながら、攻守のバランスを大事にしながらパンチを打ち込むタイプです。一撃で「ガツン!」と倒すタイプじゃありませんが、「あ、効いた!絶妙なパンチだったなあ」とうなってしまうシーンが多いボクサーですね。
【Photo:Showtime】
キューバからメキシコへ亡命したエリスランディ・ララは、戦いの舞台をヨーロッパに求め、2008年8月にトルコでプロデビュー。デビュー戦で白星を飾ったエリスランディ・ララはプロ2戦目をドイツで戦い、勝利を手にしたあと、アメリカ参戦を果たします。
アメリカ進出を果たしたエリスランディ・ララは抜群のテクニックを武器に15連勝を記録。16戦目で、カルロス・モリーナと引き分けますが、続く試合で、2階級制覇の実績を誇るポール・ウィリアムスと対戦するチャンスを手にします。
長身で懐がめちゃめちゃ深いポール・ウィリアムスに対して、エリスランディ・ララはインサイドへ飛び込み、的確なパンチをヒットさせ、主導権を握ります。ところが、12ラウンド判定の結果、プロ初黒星。エリスランディ・ララがアウェイの洗礼を浴び、まさかの黒星がカウントされました。
無念のプロ初黒星を喫したエリスランディ・ララは、ポール・ウィリアムス戦の直後から少しずつ攻撃的なボクシングへシフトします。再起戦で1ラウンドKO勝利を飾ったエリスランディ・ララは20戦目でWBCの挑戦者決定戦に出場。無敗のバーネス・マーティロスヤンと対戦します。結果は、9ラウンド負傷判定で引き分け。初の世界タイトル挑戦は遠のいたかに思われました。
しかし、次戦でアルフレド・アングロとWBA暫定ウェルター級タイトルをかけて戦うチャンスを手にし、大激闘の末、10ラウンド判定勝ちでタイトル奪取に成功。2度のダウンを奪われる苦しい展開でしたが、粘り強く戦いながら勝利を引き寄せた大逆転劇でした。
暫定タイトル獲得に成功したエリスランディ・ララは2013年12月、元世界チャンピオンのオースティン・トラウトと対戦。「技巧派サウスポー対決」として接戦が予想されましたが、結果はエリスランディ・ララの大差の判定勝ち。11ラウンドに左ストレートでダウンを奪う圧勝劇でした。
オースティン・トラウトに圧勝したエリスランディ・ララは2014年7月に若きスーパースターのサウル・アルバレスと激突します。しかし、結果は12ラウンド判定負け。持ち味の打たせないボクシングでサウル・アルバレスを苦しめますが、待望のビッグマッチで、プロボクサーとしての真価を証明することはできず、無念の黒星を喫してしまいました。
アメリカでアウェイの洗礼を受けながら逆境に立ち向かい、プロのリングで頂点をつかんだエリスランディ・ララ。攻撃にシフトしながら、アメリカのボクシングに適応し始めた技巧派サウスポーはビッグマッチを実現し、でっかいアメリカンドリームを手にすることができるでしょうか?派手なタイプじゃありませんが、めちゃめちゃ技術の高いテクニシャンです!
エリスランディ・ララのプロフィール
誕生日 | 1983年4月11日 |
ニックネーム | アメリカンドリーム |
戦績 | 23戦19勝12KO2敗2分 |
獲得タイトル |
|
関連リンク | エリスランディ・ララの関連ニュースと試合観戦レビュー |