抜群のテクニックでオリンピック2連覇を果たしたキューバの「ジャッカル」
キューバ出身のギジェルモ・リゴンドーは、強靭な足腰が生み出す鋭い踏み込みと急所を的確に打ち抜くテクニックを兼ね備えた技巧派のサウスポーです。最短距離を走る左ストレートを上下に打ち分け、相手を圧倒するボクシングがギジェルモ・リゴンドーの代名詞ですね。
2000年のシドニー、2004年のアテネで開催されたオリンピックを2連覇した実績を誇るギジェルモ・リゴンドーのテクニックは超一級品!特に「すごいなあ」と感心するギジェルモ・リゴンドーの能力は「距離を一瞬で埋める技術」です。
リーチだけを考えると、ギジェルモ・リゴンドーはそれほど恵まれているボクサーではないと思います。ところが、自分よりリーチが長く、懐が深い相手と戦っても、顔面、ボディーに得意の左ストレートをバシバシ叩き込むことができるんです。
秘密は鋭いステップイン。サウスポーの特徴を生かすため、まずは半身になって構え、右サイドに回り込みます。この時点で、お互いのパンチが届かないくらい距離が離れています。
ところが、相手がパンチを打ってきた瞬間、左サイド(インサイド)へよけ、すかさず踏み込んで「あっ」と言う間に距離を埋めてしまうんです。「よける、踏み込む、打ち込む」という一連の動作がめちゃめちゃ速いんです!
しかも、最短距離を走る左ストレートが顔面、ボディーの急所へ飛んでくるので、対戦相手は、たまったものじゃありません。スタイルは全く違いますが、「距離を埋める技術」は同じキューバ出身のユリオルキス・ガンボアにも通じるものがありますね。
アマチュアボクシング大国のキューバで培った経験とテクニックを武器にプロ転向を夢見るギジェルモ・リゴンドー。しかし、2007年にブラジルで亡命を試みますが、失敗に終わり、ボクシングのキューバ代表を外されてしまいます。
窮地に陥ったギジェルモ・リゴンドーですが、2009年に再び亡命を試み、アメリカへ渡ることに成功。アマチュアで輝かしい実績を誇るエリートが、プロボクサーとしての第一歩を踏み出すことになりました。
念願のかなったギジェルモ・リゴンドーは2009年5月にプロデビュー。ファン・ノリエガに3ラウンドTKO勝ちを飾り、デビュー戦で白星を手にします。その後も連勝を重ね、迎えたプロ7戦目。世界タイトル獲得のチャンスを手にします。
WBA世界スーパーバンタム級暫定タイトルをリカルド・コルドバと争い、結果は12ラウンド2-1の判定勝ち。ギジェルモ・リゴンドーは、プロデビューからわずか1年6か月で、プロの世界チャンピオンベルトを腰に巻きました。
その後、初防衛に成功したギジェルモ・リゴンドーは2012年1月、王座統一をかけてチャンピオンのリコ・ラモスと激突。注目の全勝対決で圧巻の6ラウンドKO勝ちを飾り、王座統一に成功します。
圧倒的な強さを見せつけるギジェルモ・リゴンドーは2012年6月、3度目の防衛戦で長身のテオン・ケネディと対戦。懐の深いテオン・ケネディを全く寄せつけず、5度のダウンを奪い、5ラウンドTKO勝ちで防衛に成功しました。
着実に防衛を重ねるギジェルモ・リゴンドーは2012年9月、ロバート・マロクィンを迎えて4度目の防衛を行います。結果は2度のダウンを奪う大差の判定勝ちでしたが、ロバート・マロクィンの左フックでぐらつく場面があり、初めて「危ない」と思った防衛戦でした。
プロの世界でも着実に評価を高めるギジェルモ・リゴンドーは2013年4月、ノニト・ドネアと王座統一戦で激突。圧倒的な攻撃力を誇るノニト・ドネアに対して、抜群のカウンターとディフェンス技術を披露し、12ラウンド判定勝ち。待望のビッグマッチで、大金星を手にしました。
ノニト・ドネアに快勝したギジェルモ・リゴンドーは2013年12月、ジョセフ・アグベコを迎えて統一タイトルの防衛戦を行います。結果は、12ラウンド判定勝ちで防衛に成功。3人のジャッジすべてがギジェルモ・リゴンドーをフルマークで支持する圧勝でした。
圧巻の強さで防衛に成功したギジェルモ・リゴンドーは2014年7月、ソッド・ゴーキャットジムと対戦します。結果は、1ラウンドKO勝ちで防衛に成功。偶然のバッティングによるダメージでフラフラのソッド・ゴーキャットジムに強烈なパンチを叩き込む試合巧者ぶりを見せつけました。
勝負に徹する強さを見せつけたギジェルモ・リゴンドーは2014年12月、日本の天笠尚選手と激突します。7ラウンドに2度のダウンを奪われますが、8ラウンドに強烈なカウンターの左ストレートを連発し、ピンチを脱出。10ラウンドにダウンを奪い返し、最後は、天笠尚選手のセコンドがストップを申し入れ、11ラウンド終了TKO勝ちを飾りました。
アマチュア時代に培った抜群のテクニックをプロのリングで発揮し、頂点に輝いたギジェルモ・リゴンドー。さらなるビッグマッチを狙う「ジャッカル」のテクニックと野望に今後も注目ですね。ボクシング界屈指の技巧派サウスポーです!
ギジェルモ・リゴンドーのプロフィール
ニックネーム | ジャッカル |
誕生日 | 1980年9月30日 |
戦績 | 15戦全勝10KO |
獲得タイトル |
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