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ホルヘ・アルセ

メキシコ人ボクサー初の5階級制覇を達成した「やんちゃ坊主」

メキシコ出身のホルヘ・アルセは、真正面から打ち合う勇敢なボクシングを武器にメキシコ人ボクサー初の5階級制覇を達成した超攻撃型のファイターです。

「攻撃こそ最大の防御」をモットーに、接近戦の打ち合いを好み、KOを狙うホルヘ・アルセのボクシングは、母国メキシコだけでなく、世界中のボクシングファンから支持され、絶大な人気を誇ります。

負けん気の強さを押し出すアグレッシブなファイトスタイルから付いたニックネームは「やんちゃ坊主」。黒いカウボーイハットをかぶり、アメを舐めながら花道を進み、リングインする姿はホルヘ・アルセの人柄をよく表しています。エンターテインメント性の高いプロ向きのボクサーですね。

ド派手な入場シーンと並び、ホルヘ・アルセの代名詞と言えば「捨てパンチ」のない、一発一発に力を込めて放つ連打です。コンビネーションを上下に打ち分けながら前進を続け、手数で対戦相手を守勢に追い込むと、最後は得意の左ボディーブローで対戦相手をリングに沈めます。

決してスタイリッシュなボクサーではありませんが、波に乗ると、凄まじい破壊力を発揮し、手が付けられなくなるボクサーがホルヘ・アルセなんです。観客の声援を受け、一段と力を発揮する典型的なタイプで、実戦を重ねて着実に力を蓄え、世界の頂点に登りつめた代表的なボクサーですね。

そんなプロ向きな性格のホルヘ・アルセが初の世界タイトルを獲得したのは1998年12月。わずか19歳で、チャンピオンのファン・ドミンゴ・コルドバに12ラウンド判定勝ちをおさめ、WBO世界ライトフライ級タイトルを手にします。プロデビューから約3年、22戦目の戴冠でした。

1999年7月にマイケル・カルバハルに11ラウンドTKO負けを喫して、世界タイトルを失いますが、2001年10月、ファニト・ルビリアルに12ラウンド判定勝ちを飾り、WBC世界ライトフライ級暫定タイトルの獲得に成功。

復権から9か月後、チャンピオンの崔堯三と王座統一戦を行い、6ラウンドTKO勝ちをおさめます。王座統一後、8度の防衛に成功。「ライトフライ級にホルヘ・アルセあり」を証明すると、2階級制覇を目指してフライ級へ転向します。

2005年7月、ホルヘ・アルセはアンヘル・アントニオ・ピリオロとWBC世界フライ級暫定王座決定戦を行い、3ラウンドTKO勝ちで2階級制覇に成功。勢いに乗るホルヘ・アルセは2007年4月、3階級制覇をかけてWBC世界スーパーフライ級チャンピオンのクリスチャン・ミハレスに挑戦しますが、12ラウンド判定負けで約8年ぶりの黒星を喫してしまいます。

再起をかけ、3階級制覇を狙うホルヘ・アルセは2008年9月、WBA世界スーパーフライ級暫定チャンピオンのラファエル・コンセプションに挑戦。9ラウンド終了TKO勝ちで見事に3階級制覇を達成し、ホルヘ・アルセの名前を世界に大きくアピールしました。

2008年11月、イシドロ・ガルシアに4ラウンドTKO勝ちで初防衛に成功したホルヘ・アルセは2009年2月「スーパーフライ級最強」の座をかけてビック・ダルチニャンと3団体統一世界戦を行います。

世界中のボクシングファンが注目する軽量級屈指の強打者対決でしたが、結果は11ラウンド終了TKO負け。苦手のサウスポーを攻略することはできず、ビック・ダルチニャンの強打を浴び続けた完敗でした。ビック・ダルチニャン戦の黒星を機に、調子を崩したホルヘ・アルセは本来のボクシングを見失い、限界説、そして引退がささやかれ始めます。

しかし、メキシコ人ボクサー初の4階級制覇に執念を燃やす「やんちゃ坊主」は2011年5月、バンタム級を飛び越え、ウィルフレド・バスケス・ジュニアが持つWBO世界スーパーバンタム級タイトルに挑戦します。

全勝の若きチャンピオン、ウィルフレド・バスケス・ジュニアに4ラウンド終了間際ダウンを奪われます。しかし、試合が進むにつれて盛り返し、迎えた最終12ラウンド。代名詞の連打でウィルフレド・バスケス・ジュニアを打ち破り、下馬評を覆して見事にメキシコ人ボクサー初の4階級制覇を達成します。「やんちゃ坊主」がボクシングの歴史に、その名を刻んだ瞬間でした。

メキシコ人ボクサー初の4階級制覇を達成したホルヘ・アルセの野望はまだ終わりません。階級をバンタム級へ下げて、5階級制覇を狙います。2011年11月、空位のWBO世界バンタム級タイトルをかけ、アンキー・アンコタと激突。12ラウンド判定勝ちを飾り、見事に5階級制覇の野望をかなえます。

偉業を成し遂げたホルヘ・アルセは2012年12月「軽量級最強」の称号を誇るノニト・ドネアと激突。世界中のボクシングファンが注目した人気ボクサー対決でしたが、結果は無念の3ラウンドTKO負け。試合後のインタビューで引退を表明し、リングに別れを告げました。

一度は引退を決意したホルヘ・アルセですが、6階級制覇を目指してカムバック。復帰後3連勝を飾り、迎えた2014年10月、WBC世界フェザー級チャンピオンのジョニー・ゴンサレスに挑戦するチャンスを手にします。しかし、結果は無念の11ラウンドTKO負け。メキシコ人ボクサーとして初めての6階級制覇を目指したホルヘ・アルセですが、3度のダウンを奪われる完敗でした。

ボクシング王国メキシコのボクサーが誰も成し遂げることができなかった壁を突破したホルヘ・アルセ。真っ向勝負のボクシングで世界中のボクシングファンに歓喜の瞬間をプレゼントしてくれた「やんちゃ坊主」の闘争心に大きな拍手を送りたいです!

ホルヘ・アルセのプロフィール

ニックネーム やんちゃ坊主(El Travieso)
誕生日 1979年7月27日
戦績 75戦64勝49KO8敗2分1無効試合
獲得タイトル
  • WBC世界ライトフライ級タイトル
  • WBC世界ライトフライ級暫定タイトル
  • WBC世界フライ級暫定タイトル
  • WBA世界スーパーフライ級暫定タイトル
  • WBO世界スーパーフライ級タイトル
  • WBO世界スーパーバンタム級タイトル(メキシコ人ボクサー初の4階級制覇を達成)
  • WBO世界バンタム級タイトル(メキシコ人ボクサー初の5階級制覇を達成)
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