カナダで絶大な人気を誇るルーマニア出身のサウスポー
ルーマニア出身でカナダを拠点に戦うルシアン・ビュテは長いリーチを生かした頭脳的な戦術と相手の急所を打ち抜く的確なカウンターを武器に戦う技巧派のサウスポーです。ニックネームは「ミスターKO」。抜群のタイミングで放たれる左アッパーのカウンターはルシアン・ビュテの代名詞です。
高いKO率を誇るルシアン・ビュテですが、パワーで倒すタイプではなく、タイミングで仕留めるタイプです。序盤は無理をせず相手の様子を見ながらダメージを与え、中盤以降、相手が弱ったところで伝家の宝刀「左アッパーのカウンター」で勝負を決めるボクシングが特徴ですね。
ルシアン・ビュテが後半勝負に持ち込むことができる理由は、鋭い右ジャブを駆使して序盤でポイントをリードし、相手にダメージを与えているからだと思います。対戦相手は序盤でポイントを失い、ポイントを取り返しに行ったところでカウンターをもらってしまう流れです。
最大の武器であるカウンターを生かすため、ガードやブロッキングに頼るのではなく、上半身を小刻みに動かして的を絞らせないディフェンスで相手のパンチをかわします。リーチが長く、しかも半身に構えるので、対戦相手は予想以上に距離を感じるのではないでしょうか?
サウスポーの特徴を最大限に生かして戦うルシアン・ビュテが初の世界タイトルに挑戦したのは2007年10月。強打を誇るチャンピオンのアレハンドロ・ベリオに対して、的確でコンパクトなパンチを集め、11ラウンドTKO勝ちで全勝のまま世界タイトル奪取に成功します。
悲願の世界タイトル獲得に成功したルシアン・ビュテは2008年2月にウィリアム・ジョッピーと対戦し、10ラウンドTKO勝ちで初防衛に成功。2009年11月には、2度目の防衛戦で大苦戦したリブラド・アンドラーデと再戦し、左ボディブローのカウンターを叩き込み、4ラウンドKO勝ちで4度目の防衛に成功します。
防衛を重ねるにつれて安定感を増すルシアン・ビュテは2010年4月に強豪のエディソン・ミランダと対戦。接戦が予想されましたが、左アッパーのカウンターで仕留めて5度目の防衛に成功します。タフなエディソン・ミランダが前のめりに崩れ落ちるシーンはめちゃめちゃ印象的でした。
勢いの止まらないルシアン・ビュテは2011年3月にブライアン・マギーと対戦し、3度のダウンを奪う快勝で7度目の防衛に成功。格の違いを見せつけ「スーパーミドル級にルシアン・ビュテあり」を強烈にアピールします。
母国ルーマニアに凱旋を果たしたルシアン・ビュテは2011月7月、ジャン・ポール・メンディと激突。結果は、ルシアン・ビュテが強烈な左ストレートでジャン・ポール・メンディをリングに沈め、4ラウンドKO勝ちで8度目の世界タイトル防衛に成功します。
全勝の快進撃を続けて迎えた2011年11月、ルシアン・ビュテは大ベテランのグレン・ジョンソンと対戦。結果はルシアン・ビュテがテクニックでグレン・ジョンソンの馬力を封じ込め、大差の判定勝ちで9度目の防衛に成功します。テクニックだけでなく、パワーでもルシアン・ビュテが上回った試合でした。
向かうところ「敵なし」のルシアン・ビュテは2012年5月、敵地イギリスへ乗り込み、10度目の防衛戦を行います。挑戦者は強豪のカール・フロッチです。結果はルシアン・ビュテの5ラウンドTKO負け。カール・フロッチの強打を浴び、プロ初黒星を喫してしまった屈辱の敗戦でした。
プロ初黒星を喫したルシアン・ビュテはスーパーミドル級からライトヘビー級へ階級を上げ、2012年11月、デニス・グラチェフに12ラウンド判定勝ちを飾り、再起戦に勝利。次戦で同じカナダを主戦場にする人気ボクサーのジャン・パスカルと対戦することが決まります。
当初、ルシアン・ビュテ対ジャン・パスカルは2013年に開催されるはずでしたが、ルシアン・ビュテのケガの影響で2014年1月に延期されます。結果はルシアン・ビュテの12ラウンド判定負け。ジャン・パスカルのスピードに、持ち味のテクニックを封じ込まれた無念の敗戦でした。
卓越したボクシング技術と抜群のタイミングから放たれるカウンターで世界中のボクシングファンを魅了するルシアン・ビュテ。屈辱の敗北を喫した「ミスターKO」は敗戦を糧に再び世界チャンピオンに返り咲くことができるでしょうか?ルシアン・ビュテの逆襲に注目しましょう。
ルシアン・ビュテのプロフィール
ニックネーム |
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誕生日 | 1980年2月28日 |
戦績 | 33戦31勝24KO2敗 |
獲得タイトル |
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