全勝全KO勝ちのまま不慮の死を遂げたチャンピオン
全勝しかも全KO勝利を続けるボクサーは世界中にほんのひと握りしかいません。ベネズエラ出身のエドウィン・バレロもそのひとり。2009年5月現在、現役の世界チャンピオンで全勝全KO勝ちの快進撃を続けているボクサーはエドウィン・バレロしかいないんです。
全勝ボクサーの魅力は何と言っても「まだ底を見せていない潜在能力」です。負けたことがないのですから、その実力の限界がどこにあるのか、戦っている本人にもわからないでしょう。全勝ということは、無限の可能性を秘めているということ。さらにエドウィン・バレロの場合、全試合KO勝利を収めているのですから、注目を集めないわけがありませんよね。
管理人が初めてエドウィン・バレロの試合を観たのが2006年。WBA世界スーパーフェザー級チャンピオン、ビセンテ・モスケラに挑戦し、10ラウンドTKO勝ちで見事に世界タイトルを奪取したのですが、このときは「乱暴なボクシングをする選手だな」という印象でした。「攻撃はすごいけど、守備はほとんどしないなあ」というのが第一印象。「攻撃することが防御になっている」典型的なボクサーです。
エドウィン・バレロのボクシングスタイルはまさに攻撃重視。パンチが出しやすいように、左右のガードを下げて戦うので、相手のパンチをもらってしまう危険性があるのですが、前に出る突進力とパンチ力はすさまじく、ほとんどの試合で3ラウンド以内に相手をKOしているんです。エドウィン・バレロの持ち味である攻撃力が最大限に活かせるような戦い方に徹していますね。
ただ、タイトルを獲得したモスケラ戦でダウンを喫したように、エドウィン・バレロは決してディフェンスが上手いボクサーではなく、打たれ強いボクサーでもないので、パンチ力がある相手と戦った場合、一撃でやられてしまう可能性があります。「倒すか倒されるか」のボクシングなので、誰が観てもわかりやすいのは魅力的ですが、スピードで上回るボクサーと対戦すると苦戦を強いられるかもしれませんね。
エドウィン・バレロの打たれ弱さやスタミナ不足を指摘する声があるように、管理人もエドウィン・バレロの真の実力がどの程度なのか全くわからない状態ですが、2009年4月、アントニオ・ピタルアと空位のWBC世界ライト級タイトルを争った王座決定戦で、2ラウンドTKO勝ちを収め、2階級制覇を達成する姿を観て、「めちゃめちゃ強いなあ」と改めて感心しました。
この調子で安定感のあるボクシングを続けることができれば、自然とビッグマッチが用意され、そこでエドウィン・バレロの真の実力を確認することができるのではないかと期待しています。デビューからの連続KO記録はアセリノ・フレイタスが持つ29。エドウィン・バレロがこの記録を更新できるかどうかも大きな楽しみですね。無限の可能性を秘めたハードパンチャーの行方から今後も目が離せません。
追記
2010年4月18日、「エドウィン・バレロ、妻殺害容疑で逮捕」という衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。そして、2010年4月19日、「エドウィン・バレロ、拘置施設内で首吊り自殺」の訃報が流れたのです。わずか2日の出来事でした。全勝、そして全試合KO勝ちの2階級制覇チャンピオンに何があったのでしょうか?エドウィン・バレロが不慮の死を遂げた今となっては知る由もありません。言葉が出てきません…。妻ジェニファーさんとエドウィン・バレロ選手のご冥福をお祈りいたします。
エドウィン・バレロのプロフィール
本名 | エドウィン・バレロ |
誕生日 | 1981年12月3日 |
ニックネーム | ダイナマイト |
戦績 | 27戦全勝27KO |
獲得タイトル |
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