幕之内一歩が小橋健太と激突!鷹村守は日本タイトルに挑戦
ボクシング漫画「はじめの一歩」の第6巻のレビューです。
第5巻で東日本新人王トーナメントの1回戦を突破した幕之内一歩。続く2回戦は、一歩と正反対の特徴を持つテクニシャンの小橋健太と拳を交えます。
強打を武器にKO勝利を重ねる幕之内一歩に対して、小橋は左ジャブとクリンチを使ってポイントを奪うボクシングに徹するテクニシャン。一発の破壊力はありませんが、パンチ力不足をテクニックで補うことができるクレバーなボクサーです。
もちろん、小橋もKOに対する憧れを持っています。最初から判定勝ちを狙うボクシングに心から納得しているわけではありませんが、ボクシングの世界で生き残るため、左ジャブでポイントを奪い、クリンチで相手の攻撃を回避するボクシングに徹しています。
小橋を指導するベテランの安田トレーナーは「パンチ力は天分。ある程度までは鍛えてモノにできるが、その上に行けるのは天分を与えられた者だけ」と言って愛弟子を諭します。
安田トレーナーは続けて、元世界ライトヘビー級チャンピオンのマキシー・ローゼンブルームの話をします。209勝して、KO勝ちはわずか19しか記録されていないボクサーです。確かに「KOはボクシングの華」ですが、KOがボクシングのすべてではないですからね。
漫画「はじめの一歩」第6巻に登場するボクシング用語
ボクシング用語 |
|
管理人もボクシングを観戦し続けて、安田トレーナーの言葉の意味がやっとわかるようになりました。ボクシングって奥が深くて、本当に難しいスポーツです。競技の内容はシンプルなんですけどね。だからこそ、ボクシングが大好きなんですよ。
それぞれの思いを胸に秘め、ボクシングに人生を捧げる一歩と小橋の試合は、予想外の展開で進みます。立ち上がりから強打を振り回す一歩に対して、小橋は左ジャブと左フックを巧みに操り、一歩の攻撃を防ぐため、サイドへ回り込みます。
そして、一歩が懐へ飛び込んできたところでクリンチ!小橋は試合前のプランを完璧に実行し、ポイントをリードしたまま試合は最終ラウンドを迎えます。逃げ切りを狙う小橋ですが、ガードを忘れて突進してくる一歩に右ストレートを叩き込んだ瞬間、大きな手応えを感じます。
「効いてる!今なら倒せる」
逃げ切り作戦だった小橋が攻めに転じたことで、一歩に大きなチャンスが訪れます。耐えて耐えて、小橋が大振りになったところへ起死回生の右ストレート!小橋の見果てぬ夢を打ち砕く、天から与えられた才能でした。
ボクシング漫画「はじめの一歩」第6巻に登場するボクサー
登場するボクサー |
|
一歩と小橋の死闘は、ボクシングの奥深さが詰まっていました。ボクシングは決して平等な競技ではありません。体重のリミットはありますが、生まれ持つ運動能力やトレーニング環境、所属ジムの資金などが、リングの上で、大きな差となって出てしまうスポーツです。
だからこそ、敗戦を喫した小橋健太に安田トレーナーが投げかけた言葉はすごく重みがありました。「あんまりいいのが入っちゃったもんだから、夢見ちゃいましたよ。本当にバカですよね」と語った小橋健太に「KO勝ちがほしくないボクサーなんていない。最終ラウンドのワンツーは見事だったぞ。いい夢なら何度でも見ようじゃないか」を優しく声をかけました。
安田トレーナーの言葉は、ボクシングの美学が詰まった言葉ですね。ボクシングが持つ美しさや感動は、勝敗と関係ないところにも存在すると思うんです。もちろん、プロボクシングは勝敗が大きな意味を持つので、勝ちにこだわる姿勢は大切です。でも、ボクサーを応援しているファンは勝ち負け以上に、雄姿や生き様を語り継ぐものですからね。
一歩が小橋に逆転KOを飾り、次は鷹村守の出番です。序盤にダウンを奪われた鷹村ですが、一歩の「立ってえ、鷹村さん。負けちゃヤダよ」の声に奮起。逆転KO勝ちを飾り、鴨川ジムに10年ぶりの日本タイトルをもたらしました。
それぞれのボクサーが背負っている人生を体感できるボクシング漫画「はじめの一歩」第6巻。ボクシングの美学が詰まった、すばらしい1冊でした。最長36分の戦いに、人生を捧げるボクサーを感じることができる名作です!ボクシングって、すごいなあ。
コミック検索 |