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ジョー・カルザゲとロイ・ジョーンズの米英スーパースター対決

ライトヘビー級12回戦

元3団体統一世界
S・ミドル級チャンピオン
ジョー・カルザゲ(イギリス)
戦績:45戦全勝32KO
4階級制覇チャンピオン ロイ・ジョーンズ(アメリカ)
戦績:56戦52勝38KO4敗

試合内容

元3団体統一世界スーパーミドル級チャンピオンのジョー・カルザゲが、4階級制覇を達成したロイ・ジョーンズと対戦する米英スーパースター対決です。10年前から実現しそうで、なかなか実現しなかった夢の対決ですね。

ジョー・カルザゲは、1997年10月にWBO世界スーパーミドル級タイトルを獲得し、2008年9月に同タイトルを返上するまで21度の防衛に成功した「ウェールズの誇り」。45戦全勝で、これまでミッケル・ケスラー、ジェフ・レイシーら新時代を担うスーパースター候補を次々と打ち倒し、2008年4月にはバーナード・ホプキンスとのスーパースター対決を制した手数の多いサウスポーです。

一方のロイ・ジョーンズは1988年のソウルオリンピックで銀メダルを獲得後、プロへ転向し、ミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級の4団体のベルトを獲得した「戦う伝説」。ひとつの階級に留まり、21度の防衛を果たしたジョー・カルザゲと、ミドル級出身のボクサーとして100年ぶりにヘビー級の世界タイトルを獲得したロイ・ジョーンズのどちらが強いのか?興味深いスーパースター対決ですね。

試合は序盤からジョー・カルザゲが積極的にパンチを打ち込む予想通りの展開。アーリースターターのジョー・カルザゲに対して、スロースターターのロイ・ジョーンズはガードを高く構え、まずはディフェンスを大事に戦う作戦のようです。

「スーパーミドル級から上がってきたジョー・カルザゲのほうがロイ・ジョーンズより大きく見えるな。ガードを固めてばかりだと、さすがのロイ・ジョーンズも危ないんじゃないかな?」と思っていると、2分過ぎ、ジョー・カルザゲの右ジャブとロイ・ジョーンズの左ジャブが交差。一瞬置いて、ジョー・カルザゲの腰が崩れ、レフェリーがダウンをコールします。

「あれ?何が起きたのかな?」と一瞬わからなかったのですが、リプレイを観ると、お互いのジャブが交差した後にロイ・ジョーンズが放った右アッパーがジョー・カルザゲの顔面にヒットしています。厳密に言うと、ナックルではなく、右の前腕部がヒットしたのですが、レフェリーがダウンをコールしたので、ダウンですね。

「このダウンはジョー・カルザゲがかわいそうだな。でも、これで試合が面白くなったよ」とちょっぴり期待したのですが、ここから「ウェールズの誇り」が本領を発揮します。ダウンから立ち上がると、自分から攻撃を仕掛けて、打ち合いを挑み、1ラウンドをしのぎます。「チャンスなのに、なぜロイ・ジョーンズは攻撃しなかったんだろう」と疑問に思いましたが、ジョー・カルザゲの攻撃力(パンチ力)が想像以上で、行きたくても行けなかったのでしょうね。

2ラウンド以降は、ジョー・カルザゲが1ラウンドのダウンのダメージを全く感じさせず、ものすごい手数のパンチでロイ・ジョーンズを圧倒します。ジョー・カルザゲはロイ・ジョーンズの5倍くらいパンチを出しているのではないでしょうか?圧倒的な手数とスタミナで連勝、連続防衛を重ねてきたジョー・カルザゲの真骨頂ですね。

ロイ・ジョーンズもときどきカウンターでクリーンヒットを奪うのですが、パンチが単発でポイントを奪うことができません。中盤以降になると、ジョー・カルザゲがやりたい放題で、ロイ・ジョーンズをロープに詰めてガードの上からパンチを連打します。かつて「パウンド・フォー・パウンド」と言われ、圧倒的なスピードを武器にやりたい放題だったロイ・ジョーンズが、完全に遊ばれています。不思議なモノを観ている気分です。

7ラウンドには、ジョー・カルザゲの左ストレートで、ロイ・ジョーンズが左目じりをカットし、絶体絶命に追い込まれます。管理人はロイ・ジョーンズがパンチでカットした姿を初めて観ました。その後、ロイ・ジョーンズもジョー・カルザゲの連打を必死にブロックし、何とか逆転のカウンターを打ち込もうとするのですが、手数、スタミナで上回る百戦錬磨の試合巧者、ジョー・カルザゲからペースを奪い返すことはできず、12ラウンド終了のゴング。

1ラウンドにダウンを奪われましたが、その後、すべてのラウンドを支配したジョー・カルザゲが大差の判定勝ちで、米英スーパースター対決に圧勝しました。10年前から「いつか実現しないかな?」と思っていたドリームマッチですが、これほど大差になるとは思わなかったですね。管理人は先日のオスカー・デラホーヤ対マニー・パッキャオ戦に似た感覚を覚えました。

言葉は悪いですが、ロイ・ジョーンズが「ボロ負け」するんですから、いかにジョー・カルザゲが優れたボクサーであるかを証明した試合だと思います。プロ生活15年で大きなダメージを受けることなく、全勝街道を突き進んできたジョー・カルザゲと、プロ生活19年で幾度となく階級を変えながらKO負けを経験したロイ・ジョーンズ。これまでトップ戦線で戦ってきた両者の蓄積されたダメージの差が出たのかもしれませんね。

試合中、WOWOWエキサイトマッチ解説者の浜田剛史さんが「10年前から観たかった試合ですが、もしジョー・カルザゲとロイ・ジョーンズが10年前に戦っていたら、どちらが潰れて、この10年間がなかったかもしれません」とおっしゃっていました。プロボクシングの歴史と宿命を表した至言で、深く深く心に残っています。

試合結果

試合結果 ジョー・カルザゲが大差の判定でロイ・ジョーンズに快勝。管理人の採点は118-109でジョー・カルザゲの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 118-109
  • 118-109
  • 118-109
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