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ライト級転向のファン・マヌエル・マルケスがホエル・カサマヨルと激突

ライト級12回戦

2階級制覇
チャンピオン
ホエル・カサマヨル(アメリカ・キューバ出身)
戦績:40戦36勝22KO3敗1分
2階級制覇
チャンピオン
ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
戦績:53戦48勝35KO4敗1分

試合内容

パウンド・フォー・パウンドの呼び声が高いアジアの星、マニー・パッキャオと2度に渡る激戦を演じたファン・マヌエル・マルケス。フェザー級、スーパーフェザー級の2階級を制覇した、コンビネーションブローを得意とする万能型のボクサーです。今回の試合はライト級転向後、初試合で、1-2の判定で惜しくも敗れた2008年3月のパッキャオ戦以来の復帰戦となります。ミゲール・コットと並んで、管理人が大好きな現役ボクサーです。

マルケスのライト級初戦の相手はホエル・カサマヨル。バルセロナオリンピック(1992年開催)で金メダルを獲得、プロ転向後はスーパーフェザー級とライト級の2階級を制覇しているサウスポーのテクニシャンです。2008年3月に行われたWBO暫定世界ライト級タイトルマッチでは全勝チャンピオンのマイケル・カチディス相手にTKO勝ちを収めています。ライト級初戦のマルケスにとっては厳しい相手ですね。

ノンタイトル戦ですが、世界的な人気と知名度を誇るマルケスとカサマヨルの対戦ということもあり、リングサイドにはオスカー・デラホーヤ、リッキー・ハットン、マイク・タイソン、ロナルド・ライトなど、数多くのボクシング関係者の顔が並び、注目の高さがうかがえます。2階級制覇を達成した全くタイプの異なるボクサー同士の戦いを制するのはマルケスか、カサマヨルか?注目の一戦は序盤から息詰まる主導権争いになりました。

立ち上がりペースを握ったのはカサマヨル。軽いながらも左ストレート、右ジャブをマルケスの顔面にヒットさせポイントを奪取します。特にマルケスが距離を詰めようとする瞬間に打ち込む左ストレートが効果的で、マルケスのペースを狂わせます。また、この試合のカサマヨルはマルケスの強打を警戒し、いつも以上に距離を取って大事に戦っているため、マルケスが距離の長さに戸惑っている感じです。

パッキャオ戦を観る限り、マルケスは決してサウスポーを苦手とするボクサーではないと思いますが、マルケスにとって同じサウスポーでもパッキャオよりカサマヨルのほうが戦いにくそうですね。パッキャオは自分から踏み込んで攻撃してくるタイプですが、カサマヨルは相手(マルケス)が出ているのを待ってカウンターを打ち込むタイプです。いつも自分の距離を保って戦うカサマヨルのほうがマルケスの良さ(コンビネーションブロー)を消しやすく、たとえ攻撃を受けても単発で終わらせることができるため、マルケスのリズムにならないのでしょう。

カサマヨルのボクシングはまさに職人芸です。対戦相手は攻撃ができないわけではないんです。ある程度は攻撃できるのですが、「あれ?微妙に空回っているなあ」と思わせるようなボクシングをするんですよね。常に相手との距離を大事に戦い、相手が近付くとノーモーションの左ストレートを打ち込み、距離が詰まると右フックで相手をいなして回り込み、懐に飛び込まれるとクリンチで攻撃を許さないんです。

序盤上手く戦ったカサマヨルですが、4ラウンドに思わぬアクシデントが襲います。偶然のバッティングで右のまぶたをカットしてしまいます。4ラウンドが終わってカサマヨルがコーナーに戻るまで全く気がつかないほどのカットでしたが、管理人は、一見何でもないような、このカットが試合の流れを大きく左右したと思います。

このカット以降、これまで予想以上に距離を保って戦ってきたカサマヨルが自分からプレッシャーをかけ始め、カサマヨルとマルケスの距離が詰まります。カットの傷自体それほど大きくなかったのですが、カサマヨルがグローブで血を拭くシーンがときどき観られ、出血が気になる様子。5ラウンド以降は、クリーンヒットこそ奪えないものの、これまで以上にマルケスのパンチが当たるようになります。もしかすると、カットがなくてもカサマヨルは自分から仕掛けていたかもしれませんが、両者の距離が詰まったことで試合は少しずつ動き出します。

そして、迎えた10ラウンド。ラウンド序盤、的確な左ストレートのカウンターでマルケスにダメージを与えていたカサマヨルですが、1分30秒過ぎに放った左ストレートをスウェイバックでかわされ、お返しのワンツーをもらってしまいます。カサマヨルの体が流れたところに、マルケスはこの試合一番の右ストレートを打ち込み、カサマヨルの動きが一瞬停止します。「効いてないよ」と両手を広げるカサマヨル。この試合一番のガッツポーズをするマルケスファンの管理人。

観客の大歓声に包まれて迎えた11ラウンド。これまでのラウンドと違い、足の動きが鈍いカサマヨルに対して、じわりじわりと攻撃を仕掛けるマルケス。残り1分には得意の左ボディブローがクリーンヒットし、カサマヨルの生命線である足の動きを止めます。そして、迎えた残り30秒、「ディナミタ(ダイナマイト)」の異名を持つマルケスの強打がついに火を噴きます。

カサマヨルとの距離を詰め、左右のフックから右ストレートでダウンを奪います。尻餅をつくカサマヨル。カウント8で立ち上がったものの、かなりのダメージです。残り20秒弱で仕留められるか?フラフラとマルケスへしがみつき、クリンチで乗り切ろうとするカサマヨルを振りほどき、左右のフックを中心に十数発のパンチを連打するマルケス。何とか耐え続けたカサマヨルですが、マルケスの渾身の右ストレートをまともにもらって崩れ落ち、試合終了。

マルケスはライト級転向初戦を見事なTKO勝利で飾り、その強さをアピールしました。正直なところ、管理人は「マルケスと言えど、カサマヨルはさすがに分が悪いんじゃない」と思っていただけに、この勝利には驚きました。しかも、これまでKOで負けたことがないカサマヨルをマットに沈めるのですから、あっぱれです。敗れはしましたが、カサマヨルのボクシングも素晴らしいです!マルケスとカサマヨルのかけ引きの緊張感が伝わっている試合でした。両者に拍手ですね。

マルケスのターゲットは間違いなくパッキャオだと思いますが、パッキャオ以外にも3団体統一チャンピオンのネート・キャンベル、元チャンピオンのファン・ディアスとマイケル・カチディス、日本の小堀佑介選手、さらにスーパーフェザー級からの転向するホアン・グスマンと転向が噂されるエドウィン・バレロの両スーパーフェザー級チャンピオンなど、誰と戦ってもすごい試合になりそうです。ライト級はウェルター級と並んで屈指の激戦区ですからね。カサマヨルがカムバックすれば再戦の話が出るかもしれませんし、どの組み合わせも楽しみですね。

試合結果

試合結果 ファン・マヌエル・マルケスが11ラウンドTKO勝ちで見事ライト級転向初戦を飾りました。
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