スーパーウェルター級10回戦
WBA世界スーパー ウェルター級1位 |
ジェームス・カークランド(アメリカ) 戦績:24戦全勝21KO |
前WBOラテンアメリカ スーパーウェルター級王者 |
ホエル・フリオ(コロンビア) 戦績:36戦34勝31KO2敗 |
試合内容
24戦全勝21KOのジェームス・カークランドと36戦34勝31KOのホエル・フリオが激突するハードパンチャー対決です。KO率が高く、攻撃的なボクシングが魅力的なボクサー同士の対決ですね。WBAスーパーウェルター級1位にランクされるジェームス・カークランドは、世界挑戦経験を持つホエル・フリオ相手にどんなボクシングをみせてくれるのでしょうか?
試合は序盤からジェームス・カークランドが前へ出て、ホエル・フリオが下がりながらカウンターを狙うスリリングな展開。ジェームス・カークランドはサウスポーですが、サウスポーの良さを活かすボクシングではなく、相手を力でねじ伏せる接近戦を得意とするファイターです。
一方のホエル・フリオも本来は接近戦を得意とするファイターですが、ジェームス・カークランドのプレッシャーが強烈なのか、この試合は下がりながらカウンターを狙う作戦のようです。1ラウンド40秒すぎには、前へ出てくるジェームス・カークランドに対して、カウンターの右フックでクリーンヒットを奪うなど、パンチ力だけでなく、技術も高いですね。
「前へ出てパンチを打ち込んでいるのはカークランドだけど、フリオも下がりながらカウンターを入れてるよ。動きを止めたほうが一気に危なくなる展開になるかも。カークランドがパンチを出し続けて攻勢を取れるか、フリオが動き回りながらカウンターを決めてカークランドの突進を止められるか、我慢比べになりそうだな」というのが1ラウンドを観た感想です。
3ラウンド中盤には、ホエル・フリオの右ストレートのカウンターがジェームス・カークランドにクリーンヒット!ジェームス・カークランドが後ろに下がったことを確認すると、ホエル・フリオは左右のフックを連打して前進します。そして、ジェームス・カークランドをロープに追い詰めて、さらに左右のフックを連打!
「うわ、すごい攻撃!カークランド、危ないんじゃない?」と一瞬思ったのですが、ガードを固めていたジェームス・カークランドが突如、渾身の左ストレートと左右のフックで反撃開始!前へ出てくるホエル・フリオをいなして、体を入れかえると、すかさずパンチを連打し、ホエル・フリオをロープへ追い詰めます。そして、得意の接近戦で左ストレート、右フックをホエル・フリオのアゴに叩き込みます。どちらが倒れてもおかしくない、ものすごい打ち合いになってきました。
4ラウンドに入ると、再びフットワークを使ってカウンターを狙うホエル・フリオに対して、ジェームス・カークランドが左ストレートのボディーブローを打ち始めます。一方のホエル・フリオも右アッパーのカウンターなど、強烈なパンチで応戦。壮絶な我慢比べが続きます。
5ラウンドも、徹底的にボディーを攻めるジェームス・カークランドに対して、ホエル・フリオがカウンターを狙う同じような展開ですが、少しずつホエル・フリオがジェームス・カークランドの突進を止めきれなくなってきた感じです。インターバルで休んでいる様子を確認すると、やる気満々のジェームス・カークランドに対して、ホエル・フリオは少し元気がない気がします。ジェームス・カークランドのプレッシャーがすごいんでしょうね。
6ラウンドも同じような展開で、ジェームス・カークランドがホエル・フリオを追い回し、上下にパンチを散らします。スタミナの切れてきたホエル・フリオはクリンチをして休もうとするのですが、ジェームス・カークランドがクリンチを振りほどいて攻撃し続けるので、相当苦しそうです。
「少しずつ体力差が出てきたなあ。後半に行けば行くほどフリオは厳しくなりそうだなあ」と思っていると、6ラウンド終了後、ホエル・フリオが試合放棄。「このまま戦い続けても勝てない」と感じたのでしょうね。注目の強打者対決は、ジェームス・カークランドがホエル・フリオを6ラウンド終了TKOで破り、世界挑戦にまた一歩近づきました。
ディフェンスが甘く、まともに相手のパンチをもらってしまうジェームス・カークランドですが、パンチを出し続けられるスタミナは驚異的ですね。1ラウンドからあれだけ前に出てパンチを出し続けられたら、ホエル・フリオだけなく、どんなボクサーでも嫌になると思います。試合を観る限り、ジェームス・カークランドは器用なボクサーではないので、上手いボクサーを相手にすると、空回る可能性も否定できませんが、ボクシングがわかりやすいので、人気は出そうですね。
おしまいに、今回の試合で驚いたことをひとつ。この試合、インターバル中にジェームス・カークランドに指示を与えていたトレーナーは、2階級制覇を達成した元女性プロボクサーのアン・ウルフさんでした。以前、元ヘビー級チャンピオン、クリス・バードのお母さんが、カットマンとして息子のセコンドについた試合を観たことがあるのですが、インターバル中に女性トレーナーがリングに入って、選手に指示を送る場面を観たのは初めてです。
しかも、アン・ウルフさん、めちゃめちゃ強そうじゃないですか!腕の太さはジェームス・カークランドとほとんど変わらない気がします(笑)。もしジェームス・カークランドがこのまま勝ち続けて、全勝のまま世界タイトルを獲得すれば、「注目の女性トレーナー特集」が組まれる日が来るかもしれませんね。
試合結果
試合結果 | ジェームス・カークランドが6ラウンド終了TKO勝ちで25連勝を記録。 |