歴史的な王座統一戦が浮き彫りにした日本ボクシング界の未来図
日本列島を感動の渦に巻き込んだ井岡一翔(いおか・かずと)選手と八重樫東(やえがし・あきら)選手の王座統一戦。史上初めて行われた日本人の世界チャンピオン対決は、ボクシングの歴史に残る名勝負で幕を閉じました。
2012年6月20日、井岡一翔選手と八重樫東選手はどちらも完璧なヒーローでした。子どもたちが憧れ、大人たちが熱狂し、歴史的な王座統一戦を観戦した人の視線は「2人のヒーロー」に注がれました。
勝者と敗者が宣言される勝負の世界は時として残酷です。しかし、史上初の王座統一戦は「敗者なき」名勝負でした。大きな拍手が井岡一翔選手と八重樫東選手に降り注ぎました。勝敗を超越した「かっこよさ」が大きな感動となって、試合を観戦した人の胸に「2人のヒーローの勇姿」が刻まれたのです。
井岡一翔選手と八重樫東選手は試合前から「強い相手と戦いたい。もっともっと強くなりたい」と言い続けていました。2人の心意気や決意が、何より頼もしく、何よりうれしかったボクシングファンは管理人だけではないと思います。
日本ボクシング界を背負う西岡利晃選手の海外防衛をきっかけに、日本ボクシング界に歓迎すべき大きな変化が生まれています。日本人の世界チャンピオンが「各階級で誰が一番強いのか」という最強説の原点に決着をつけるため動き始めたのです。
井岡一翔選手と八重樫東選手の王座統一戦は、日本ボクシング界の未来図を大きく変える岐路になると思います。ボクシングファンが期待する未来図を体現した井岡一翔選手と八重樫東選手。プロボクサーとボクシングファンの心をつないだ「2人のヒーロー」の功績は時が経つにつれて、大きくなると思います。
ボクシングファンを獲得する最大のチャンスを逃したテレビ中継
大きな感動を与えてくれた「2人のヒーロー」とは対照的に、テレビ中継は残念な結果に終わってしまいました。数字(視聴率)は取れたかもしれませんが、ボクシングファンを獲得する大きなチャンスを逃してしまったと思います。
管理人が何より残念だったことは、解説者が曖昧なコメントを連発したことです。「ボクシング解説者がファンを育てる」で触れていますが、解説者の力量はボクシングファンの獲得、結果的にボクシング界全体の底上げに大きな影響力があると思います。
民放のボクシング中継を観戦していると、ボクシング解説者が「試合の分析をすること」を避け、なぜか応援してしまっているケースがあまりにも多いことが気がかりでなりません。
ボクシングに限らず、サッカーでも同じことが言えるのですが、きちんとした解説がないと、ファンの数も質もアップせず、結果的に「盛り上がったね」で終わってしまう可能性が高くなります。
ビッグマッチになればなるほど、解説するプレッシャーは大きくなると思います。中継するテレビ局に対する視聴者の風当たりも強くなるでしょう。しかし、解説者が曖昧なコメントを連発してしまうと、ボクシングに興味を持とうとしている人が「???」となってしまうので、ぜひ断言してほしいです。
ボクシングはサッカーと並んで、世界各地で行われているワールドワイドなスポーツです。しかし、日本では「世界タイトル」こそ意識すれど、「世界の檜舞台」を意識する風潮はありませんでした。
その閉鎖的な風潮が大きく変わりつつあります。ボクサーもボクシングファンも期待に胸を膨らませるボクシングの未来図。さらなるビッグマッチ、さらなる感動が待ち受けている栄光の未来図でありますように。