マニー・パッキャオ対ファン・マヌエル・マルケス第4戦の試合内容（後編）

禁断の第4戦！マニー・パッキャオ対ファン・マヌエル・マルケス（前編）を読む

ダウンを奪い返したマニー・パッキャオは攻勢を強め、ファン・マヌエル・マルケスに襲いかかります。しかし、ファン・マヌエル・マルケスが強烈なフックをマニー・パッキャオの顔面へ叩き込み、追撃を回避。紙一重のところで、ファン・マヌエル・マルケスが耐え抜いています。

クリーンヒットをもらいながらも攻撃の手を緩めないマニー・パッキャオ。残り45秒、強烈な右フックをお返しすると、一気にファン・マヌエル・マルケスをロープへ詰め、強烈な連打を浴びせます。会場のファンが総立ちになる、すさまじいラウンドです！

「パッキャオの攻撃はすごいなあ。足が少しもつれていたんで、ダメージはまだ抜けてないと思うんだけど、完全にKO狙いだよ。マルケスはよく耐えたね。並のボクサーなら『パックマン』に飲み込まれていた展開だよ。マルケスは反撃できるかな？」と両者のダメージに注目する管理人。

【Photo:The Ring Magazine】

6ラウンドに入ると、マニー・パッキャオが踏み込んで左ストレートを狙い、ファン・マヌエル・マルケスも距離を取りながらカウンターの右ストレートで応戦。どちらも一歩も引かない壮絶な我慢比べになってきました。

「ダメージはマルケスのほうが深そうだけど、パッキャオもかなり疲れてるね。明らかにスピードが鈍ってるよ。パッキャオはマルケスが回復する前に仕留めたいね」と思っていると、6ラウンド終了間際、世界中のボクシングファンが言葉を失う光景が目の前に広がります。

ガムシャラに攻撃を続けるマニー・パッキャオはファン・マヌエル・マルケスをロープへ詰め、数々の強豪を飲み込んできた「パックマン」の代名詞である左ストレートを打ち込むため、思い切りよく踏み込みます。

次の瞬間、ファン・マヌエル・マルケスが狙い澄ました右ストレートをマニー・パッキャオのアゴに一閃！意識を失い、前のめりに崩れ落ちるマニー・パッキャオ。満員の会場に歓声と悲鳴がこだまします。

【Photo:The Ring Magazine】

マニー・パッキャオの状態を確認したレフェリーが試合をストップし、勝負あり。「三部作」で終わらなかった宿命のライバル対決は、ファン・マヌエル・マルケスがマニー・パッキャオに衝撃の6ラウンドTKO勝ちを飾り、禁断の第4戦で悲願の初勝利を手にしました。

世界中のボクシングファンが期待する以上の結末で宿命のライバル対決が幕を閉じましたね。リスクを覚悟でガムシャラにKOを狙ったマニー・パッキャオ。最後まで冷静にカウンターを狙い続けたファン・マヌエル・マルケス。両雄のプライドが詰まった名勝負に胸が熱くなりました。

いつもホームページで公言しているように、管理人はファン・マヌエル・マルケスの大ファンです。熱烈に応援しているファン・マヌエル・マルケスが悲願の勝利を手にしたことはすごくうれしいのですが、禁断の第4戦に限って言えば、マニー・パッキャオの姿に心を打たれました。

「KO勝利がすべて」のマニー・パッキャオ。「初勝利がすべて」のファン・マヌエル・マルケス。正直なところ、第4戦を迎えるにあたって、マニー・パッキャオとファン・マヌエル・マルケスの置かれている立場は全く違ったものでした。

【Photo:The Ring Magazine】

ファン・マヌエル・マルケスはマニー・パッキャオとトレーナーのフレディ・ローチが認める「世界で最もパッキャオを知り尽くした最強のライバル」です。しかも、世界屈指のカウンターの名手。マニー・パッキャオはガムシャラに攻めれば攻めるほど、倒されるリスクが高くなることを知っていたはずです。

それでも「パックマン」はリスクとオーバーペースを覚悟で、ファン・マヌエル・マルケスからKOを狙おうとしました。理由は「世界中のボクシングファンが完全決着を期待していたから」です。頂点に立つスーパースターだけが背負う宿命でした。

今回のKO負けで、マニー・パッキャオの評価は確実に下がると思います。ボクシングの世界で最も大切な評価基準である「強さ」に陰りが見え始めたことも否定できないと思います。でも、マニー・パッキャオの「かっこよさ」は何ひとつ変わりません。

どんな偉大なボクサーも「強さ」を維持することはできません。しかし、ファンの期待に応えようとするボクサーの「かっこよさ」は勝敗に関係なく、いつまでもファンの記憶に残り、語り継がれます。

ファンに夢を与えるプロスポーツだからこそ「強さ」だけでなく「かっこよさ」が評価の基準になると思うんです。もちろん、プロの世界なので、勝利は最優先事項だと思います。でも、プロの世界だからこそ、勝利がすべてじゃないと信じています。

負けたときにファンから「かっこいい」と思われるアスリートこそ、真のスーパースターじゃないかな？衝撃のKO負けでリングに沈んでしまったマニー・パッキャオですが、ボクシング界を背負うスーパースターだからこその勇気ある決断に特大の拍手を送りたいです！

ファン・マヌエル・マルケスがマニー・パッキャオに悲願のリベンジを果たし、幕を閉じた禁断の第4戦。スーパースターの美学が詰まったボクシングの歴史に残る名勝負に胸が熱くなった管理人でした。禁断の第4戦は新時代の幕開けを告げる第一歩になったかもしれませんね。

マニー・パッキャオ対ファン・マヌエル・マルケス第4戦の試合結果