ファン・マヌエル・マルケスに勝っても評価が分かれるティモシー・ブラッドリー

世界中のボクシングファンが注目した無敗チャンピオンのティモシー・ブラッドリーと4階級制覇チャンピオンのファン・マヌエル・マルケスの新旧対決。マニー・パッキャオに勝利したボクサー同士の激突は、ティモシー・ブラッドリーに軍配が上がりました。

勝ったティモシー・ブラッドリーが抜群のスピードと卓越したテクニックを見せつけたことは間違いありません。2対1の判定でしたが、ティモシー・ブラッドリーの快勝だったことも明らかでした。しかし、ティモシー・ブラッドリーの評価は今もなお二極化しています。

ティモシー・ブラッドリーに対する評価はとてもシンプルで、ボクシング関係者や評論家、マニアの皆さんの評価が高く、ファンの皆さんの評価が低い特徴があります。「フロイド・メイウェザー信奉者」として有名なティモシー・ブラッドリー。ファンの評価に関して言うと、フロイド・メイウェザーに通じる部分があると思いますが、両雄の評価は大きな違いがあります。

ファンがフロイド・メイウェザー戦で期待する内容は、極論すると、2つしかありません。ひとつは、フロイド・メイウェザーのテクニックを堪能すること。もうひとつは、フロイド・メイウェザーが負ける姿を目撃することです。つまり「芸術的なテクニックを駆使して負けないこと（勝ち続けていること）が、メイウェザーが絶対的な存在である理由」です。

スーパースターゆえの膨大な数のファンとアンチ。フロイド・メイウェザーに限らず、スーパースターと呼ばれるボクサーは、ファンが試合を観戦したくなる「明らかな基準」が確立されています。ファンの「期待値」と「実際の戦い」にズレが少ないボクサーほど、プロボクシングの世界では「人気ボクサー」「スーパースター」と呼ばれる傾向があります。

一方、ティモシー・ブラッドリーは試合によって、内容に大きなバラつきがあり「絶対的な基準」がまだ確立されていません。「強いけど、信念が伝わりにくいボクサー」。ティモシー・ブラッドリーは、なぜビッグネームに勝ち続けながら、正当な評価を得られないのでしょうか？

管理人は、ティモシー・ブラッドリーが、マニー・パッキャオ、ファン・マヌエル・マルケスのスーパースターを連破したのに、今もなお、評価が低い原因は「絶対的な基準の欠如」にあると思っています。「絶対的な基準」は「個性」と言い換えることができるので「ブラッドリーらしさが足りない」と考えているファンや関係者が多いのかもしれません。

例えば、熱烈な「フロイド・メイウェザー信奉者」と知られるエイドリアン・ブローナー。メディアで「メイウェザー二世」と表現されることがよくありますが、エイドリアン・ブローナーとフロイド・メイウェザーのボクシングは「決定的な違い」があります。

フィニッシュできる内容でも、無理にKOを狙わないフロイド・メイウェザー。一方、エイドリアン・ブローナーはフィニッシュできる内容なら、必ずKOを狙います。エイドリアン・ブローナーは「ファンがメイウェザーに足りないと感じているKOに対する情熱」を満たし「ブローナーだけの個性」に変えることで、スーパースターの階段を最短距離で駆け上がりました。