ボクシングファンが期待するティモシー・ブラッドリーの「個性」とは?
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ティモシー・ブラッドリーはファン・マヌエル・マルケス戦の3ラウンド以降「フロイド・メイウェザーのコピー」に徹していました。スピード勝負に徹したことで、確実にポイントアウトした一方、勝ったティモシー・ブラッドリーの将来に暗雲がたれ込める判定勝ちでした。
ここからはめっちゃ個人的な意見ですが、おそらく、ボクシング関係者やボクサーを除き、試合を中継したHBO、ビッグマッチを楽しみにしていたファンの多くは「あれ?そっちの方向に行っちゃった?」と首をかしげたのではないでしょうか?
日本に比べて「2番手」に対する評価が厳しい「フロンティア・スピリッツ」を重んじるアメリカで、ティモシー・ブラッドリーが出した答えは、ファン・マヌエル・マルケスに快勝した経験を持つ「メイウェザーのコピーに徹すること」でした。
管理人が思うティモシー・ブラッドリーの「決定的な弱点」は「自分で自分を過小評価しすぎていること」です。その結果、ファンが求めるベクトルの正反対に飛び出して「大きくステップアップできるビッグマッチで負けることを極度に嫌い、結果だけを求めてしまう悪循環」に陥っている気がします。手を伸ばせば届く「正当な評価」は再び遠のいてしまいました。
ティモシー・ブラッドリーの実力は世界中の誰もが認めています。だからこそ、トップランクもマニー・パッキャオ戦、ファン・マヌエル・マルケス戦を実現させて「名勝負」を期待したはずです。特に、ファン・マヌエル・マルケス戦は、ルスラン・プロボドニコフと名勝負を演じた直後の試合だったので「新しいPPVスター」の誕生の可能性を秘めていました。
ところが、ティモシー・ブラッドリーは勝利を最優先し、「スーパースター」の称号より「無敗チャンピオン」の肩書きを選びました。プロボクサーが勝利を最優先する姿勢は間違っていないと思います。でも、PPVを視聴したファンは、ティモシー・ブラッドリーの「スピードとテクニックだけ」を観戦したかったわけじゃなく「勇姿」も観戦したかったはずです。
最終的に、今回のPPVの売り上げとマーケティングの結果次第ですが、今後、ティモシー・ブラッドリーのビッグマッチがセットアップされる回数は減るかもしれません。すでに世界のトップで戦っている人気ボクサーも積極的にティモシー・ブラッドリーと戦いたいと思わないはずです。
ティモシー・ブラッドリーのボクサーとしての能力はずば抜けています。ティモシー・ブラッドリーの才能や技術に疑いの余地はありません。でも、あらゆる意味で、絶対的に「うまみ」が足りない気がするファンは管理人だけでしょうか?正直なところ「あ、今週末はブラッドリーの試合だ。急いでPPVを申し込まなきゃ」と張り切る理由が見当たりません。
最近のHBOは、めちゃめちゃシビアです。ノニト・ドネア戦で「激闘を予告しながら、勝負に徹した」ギジェルモ・リゴンドーは試合に快勝しましたが、「ドル箱スターを裏切ったコストパフォーマンスが最も悪いボクサー」の烙印を押されてしまい、ビッグマッチから除外される大きな代償を払うことになりました。
ティモシー・ブラッドリー対ファン・マヌエル・マルケスを観戦した直後、管理人は各方面から「ブラッドリーは人気ボクサーと戦うより伸び盛りのホープとマッチメイクしたほうが使命感に燃えて名勝負になるんじゃない?強いボクサーと戦うと、アウトボクシングするよ」と思われて、今後、ティモシー・ブラッドリーがPPVから外されるかもと思いました。
ティモシー・ブラッドリーは実力も実績も申し分のないボクサーです。プロボクサーが勝利を最優先する姿勢は絶対的に正しいと思います。でも、今のまま「ビッグマッチで個性のない戦い」を続けていると、ティモシー・ブラッドリーが希望する正当な評価は永遠に手に入らない気がします。
チャンピオンベルトと同じで、正当な評価も与えられるものじゃなくて、奪いに行くものだと思うんですよね。ティモシー・ブラッドリー対ファン・マヌエル・マルケスの熱戦は改めて「超一流って本当に難しい立場だなあ」と思える結果でした。ティモシー・ブラッドリーが行動さえ起こせば「スーパースター」の称号に手が届く位置にいることは間違いないんだけどなあ。