両陣営が舌戦!アンドレ・ウォード対ゲンナディ・ゴロフキンは実現しないのか?
27戦全勝のアンドレ・ウォード。30戦全勝のゲンナディ・ゴロフキン。異なる特徴を持つ2人の全勝チャンピオンの対決は数年前から期待され、何度も対戦のウワサが浮上しましたが、ことごとく流れてきました。アンドレ・ウォード対ゲンナディ・ゴロフキンのドリームマッチは、フロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオと同じく、夢のまま終わってしまうのでしょうか?
スーパーミドル級の頂点に君臨する「神の子」アンドレ・ウォードは、世界の人気ボクサー6人が集結したスーパーミドル級ナンバーワンを決めるイベント「スーパーシックス」で優勝を飾り、スーパースターの仲間入りを果たしました。ところが、華々しい活躍のあと、ケガと契約問題が続き、リングに上がる機会を失う試練に直面します。
アンドレ・ウォードが不遇の時代を過ごしている間、ひとつ下のミドル級で圧倒的な存在感を放ち始めたボクサーが「カザフスタンのKOキング」ゲンナディ・ゴロフキンです。アンドレ・ウォードと対照的に、数か月のスパンでリングに上がり続け、KO勝利を積み重ねます。強烈なインパクトを残し、ヨーロッパだけでなく、アメリカや日本でも多くのファンを獲得することに成功しました。
【ダニエル・ギールを圧倒!ゲンナディ・ゴロフキンの強打がさく裂です】
2014年7月、ゲンナディ・ゴロフキンがダニエル・ギールに3ラウンドTKO勝ちを飾り、階級を超越したドリームマッチを期待する声が再燃。でも、交渉は進まず、アンドレ・ウォード陣営が「ゴロフキンはトップ選手に勝った実績がない」と言えば、ゲンナディ・ゴロフキン陣営が「最近のウォードはまともに試合をしていない」と切り返す相変わらずの舌戦がクローズアップされています。
アンドレ・ウォード陣営の言い分もゲンナディ・ゴロフキン陣営の言い分も正論です。でも、両陣営の本音は「ビッグマッチを実現したい」で間違いないと思います。ときどき見え隠れする両陣営の「前向きな発言」が、ファンにきちんと届いてないことが残念でたまりません。もっとシンプルに「やろうぜ」を押し出して、世論を巻き込んじゃうことができれば最高なんですけどね。
飛ぶ鳥を落とす勢いのゲンナディ・ゴロフキンは「次世代のPPVスーパースター」として、テレビ局のHBOが大事に育てています。HBOが描く「マニー・パッキャオやノニト・ドネアに中国(マカオ)の開拓をまかせて、アメリカはゴロフキンにバトンタッチしたい」という世代交代の実現に向けて「ゴロフキンに今つぶれてもらっては困る」という本音もあるでしょう。
また、テレビの視聴率(アメリカの場合は視聴者数を含めた4要素)を解析すると、ゲンナディ・ゴロフキンの人気が、アンドレ・ウォードやダニー・ガルシアと大きな差がないというデータも懸念材料なのかもしれません。ゲンナディ・ゴロフキンが一度ビッグマッチを行うと、元に戻りづらい(通常放送ではなくPPV放送にシフトする可能性が高い)ので、慎重になる気持ちはよくわかります。
プロボクシングはスポーツビジネスです。イベントを主催するプロモーターやテレビ局の利益を優先する考えは間違っていません。でも、アンドレ・ウォード対ゲンナディ・ゴロフキンに限って言うと「ボクサーもファンもプロモーターもテレビ局も喜ぶ『プランB』があるんじゃないかな?メイウェザー対パッキャオより実現の可能性は高いと思うんだけどなあ」と激しく期待しています。
個人的な理想を言うと「ドリームマッチは今すぐじゃなくてもいいと思う。ウォードが久しぶりに戦うところやゴロフキンがミドル級で統一戦をするところが見たいもん。ただ、2人ともそれぞれの階級で『最強』と呼ばれるボクサーなんで、ビッグマッチなしで長居しすぎると、長い目で見て価値を下げちゃうかもしれないね。2015年か2016年に実現してほしいなあ」です。
アンドレ・ウォードに関して言うと、最近は不活発なので、まずは「相変わらずうまいなあ」ってことを証明してほしいです。一方、ゲンナディ・ゴロフキンに関して言うと「王座統一戦でしょ!ミドル級は強いチャンピオンばかりなんで、統一戦が最高のアピールになるんじゃないかな?」と期待しています。それぞれの階級で証明するものがなくなったら、夢の対決を実現してほしいです!