フロイド・メイウェザーが「唯一無二の天才ボクサー」と呼ばれる理由とは?
時空を超越する圧巻のスピード。連打を許さない鉄壁のディフェンス。空間を支配する熟練の試合運び。ボクシング界で成功をおさめるために必要なあらゆる才能を兼ね備えた5階級制覇チャンピオンのフロイド・メイウェザー。5月2日(日本時間5月3日)伝説の最後のピースを埋めるため、世界中のファンが注目するリングで6階級制覇チャンピオンのマニー・パッキャオと拳を交えます。
2人のスーパースターが歩んだ道のりは正反対でした。マニー・パッキャオは、母国フィリピンを飛び出し「自由の国」アメリカで夢とファンの心をつかんだ「ピープルズ・チャンピオン」。一方、フロイド・メイウェザーは母国アメリカのアンチから「安息の時間」を奪われながらも信念を貫き「世界で最も大金を稼ぐアスリート」へのぼり詰めた「パウンド・フォー・パウンド・キング」です。
世界中のファンが「5年前に実現してほしかった」と願う究極のドリームマッチ。5年前に実現していたら、両雄のファイトマネーは合計で1億ドルの規模でした。5年の月日が、2人のスーパースターを成熟させ、合計3億ドルのファイトマネーが用意される超ド級のメガマッチが実現。フロイド・メイウェザーは記者会見で「試合をするなら、今が最高のタイミングだ」と迷いなく語りました。
【最高の勝利へ!フロイド・メイウェザーが練習を公開です】
ボクシング界の頂点に君臨する2人のスーパースターが対決する夢の大一番は、PPVイベントをPRするためのプレスツアーがありません。理由は、フロイド・メイウェザーが「スポーツを好きなファンなら、誰でもオレとパッキャオの名前を知っている。それぞれがメディアの取材を受ければ十分だろ?必要なら、オレがSNSでPRしてやる」と提案したからです。
ボクシング史上最速のスピードと芸術的なディフェンスを兼ね備えた「天才」フロイド・メイウェザー。リングの中で披露する才能と同じく、リングの外で見せる才能も他の追随(ついずい)を許しません。巧みに「情熱と冷静」を使い分けるマイクパフォーマンス。緻密(ちみつ)に計算された情報開示。ボクサーとしてだけでなく、ビジネスマンとしての才能も突き抜けています。
フロイド・メイウェザーは、メディアによって、話すスピードや内容を巧みに変えています。たとえば、ネットワークのCBSのインタビューを受けるときは「ボクシングファン以外の視聴者も多く、ターゲットも広いので、万人受けする話題を優先する」というイメージです。強調したいセリフは、代名詞の「I」を使わず、固有名詞の「Floyd Mayweather」を使って強く、広く浸透させます。
一方、熱狂的なボクシングファンが中心のShowtimeのインタビューは、ファンの心をくすぐる突っ込んだ話題を盛り込んだり、疑問文を多用して煙に巻いたりします。過激な発言が目立つフロイド・メイウェザーですが、実は「カメラや紙面の向こうにいる視聴者やファンを必ず意識して話す」という基本的なメディア対策に最も忠実で、最も熱心に取り組んでいるボクサーです。
通常はエージェントにまかせる仕事をリングの外で自らこなしながら、リングの中でも47戦全勝の快進撃。「メイウェザーは人生のほとんどの時間を練習とPRに使っているんじゃないかな?」と思ってしまう「誰にもマネできない献身的な努力」が、純粋なファンと強烈なアンチの両方の関心をくすぐり、天文学的なファイトマネーを手にできる理由であることは間違いありません。
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