WBC世界ウェルター級タイトルマッチ
チャンピオン | フロイド・メイウェザー(アメリカ) 戦績:38戦全勝24KO |
挑戦者 | リッキー・ハットン(イギリス) 戦績:43戦全勝31KO |
試合内容
パウンド・フォー・パウンドの呼び声が高いアメリカ出身のフロイド・メイウェザーと、ボクシング界を代表する人気を誇るイギリス出身のリッキー・ハットンが激突する全勝ボクサー同士のWBC世界ウェルター級タイトルマッチです。世界中のボクシングファンが実現を期待したビッグマッチですね。
メイウェザー対ハットンがどれだけ注目されているかは数字を見れば一目瞭然です。1万6,000席のチケットは発売からわずか1時間で完売し、前日軽量に集まったファンはなんと5,000人。ひと目軽量を見るために、5,000人のファンが集まるなんてボクシング史上初の出来事でしょう。メイウェザー、ハットンが全勝の人気ボクサーだということはもちろん、米英対決だということも注目を集める要因となっているようです。
爆発的な突進力を誇る2階級制覇チャンピオンのハットンが、圧倒的なスピードを武器に5階級制覇を達成したメイウェザー相手にどれだけ自分のボクシングができるのか?タイガー・ウッズさん、デビッド・ベッカムさん、デンゼル・ワシントンさん、ブラッド・ピットさん、ブルース・ウィリスさん、シルベスター・スタローンさんなど世界的なVIPが会場に足を運んだ究極の全勝対決は2007年を代表する名勝負になりました。
1ラウンド開始と同時に挑戦者のハットンが前へ出てプレッシャーをかけます。試合前、「メイウェザーに比べてビッグマッチの経験が少ないハットンは緊張するかもしれないなあ」と心配していたのですが、緊張しているどころか、やる気が全身からみなぎっていて、めちゃめちゃ調子が良さそうです。
一方、チャンピオンのメイウェザーも負けていません。自慢のスピードを活かしてハットンのラッシュをかわしながら、逆に左フック、右ストレートのカウンターを狙って試合を終わらせるつもりです。左ジャブだけでは、ハットンの突進を止められないと判断し、左フック、右ストレート主体の攻撃に切り替えるところはさすがメイウェザーですね。
1ラウンドを観る限り、両者の作戦は一目瞭然。懐に入って打ち合いたいハットンに対して、メイウェザーは入っているところをカウンターで仕留める作戦ですね。メイウェザーとハットンは全く違うタイプのボクサーですが、両者の持ち味が十分に発揮されている素晴らしい立ち上がりです。
試合が動いたのは3ラウンド。挑戦者のハットンがメイウェザーとの距離を詰めるため、さらにプレッシャーを強めます。ハットンのプレッシャー、突進力、踏み込みの速さにはさすがのメイウェザーも戦いにくそう。下がりながらカウンターを打ち込むのですが、お構いなしにハットンが突っ込んでくるため、最後は体をくっつけての押し合いになり、このままの展開が続くと、お互いにかなりの体力を消耗しそうです。
5ラウンドに入ると、ハットンがメイウェザーをコーナーを押し込み、クリーンヒットこそ奪えないものの、ガードの上からパンチを打ち込みながら、ペースを握ろうとします。メイウェザーのカウンターをもらいながら、これだけ前進したボクサーがいたでしょうか?おそらくハットンの踏み込みの速さがわずかながら、クリーンヒットを外す役目を果たしているのだと思いますが、とてつもない勇気がないとできない戦法ですね。
5ラウンド、6ラウンドは、メイウェザーの手数が減ったこともあり、ハットンが上手く乱戦に持ち込んでいます。ハットンとしては願ったり叶ったりの展開です。「ハットンの突進力、踏み込みの速さがメイウェザーの予想をはるかに上回っているよ。このままハットンがメイウェザーの攻撃を我慢できれば、メイウェザー危ないよ」と思ったボクシングファンは管理人だけではないでしょう。
しかし、この時点で管理人は「なぜメイウェザーがパウンド・フォー・パウンドと呼ばれるのか」という理由に気付いていませんでした。メイウェザーはハットンの猛攻に耐えながら、ハットンを一番近くで観察していたのです。踏み込みの速さ、押し合いの力、パンチの強さ。最も速く、最もクレバーなボクサー、メイウェザーはハットンの戦力をインプットし、ついに逆襲を開始したのです。