IBF世界ミドル級タイトルマッチ
チャンピオン | アルツール・アブラハム(ドイツ・アルメニア出身) 戦績:25戦全勝20KO |
挑戦者 | エルビン・アヤラ(アメリカ) 戦績:21戦18勝8KO2敗1分 |
試合内容
ケリー・パブリックと並び全勝でミドル級チャンピオンに君臨するアルツール・アブラハム。一発でKOする強打と鉄壁のブロックを誇るアブラハムの人気、評価は日増しに高まっていますね。「攻める時は攻める、守る時は守る」を貫く攻防分離のボクシングスタイルと、強打を力いっぱい打ち込む攻撃姿勢は単純明快で、初めてボクシングを観戦する人から常連ファンまで多くのボクシングファンに支持されています。アブラハムはボクシングの楽しさをストレートに伝えてくれるボクサーですよね。
今回のタイトルマッチがアブラハムにとって7度目の防衛戦になります。対戦相手はアメリカのエルビン・アヤラ。スピードを活かしてフットワークと手数で勝負するボクサーです。パブリックとミドル級最強の称号を分け合うアブラハムが、統一戦実現に向けて「キングの力」を誇示できるのか?試合は、アブラハムがアヤラをじっくり観察しながら戦う予想通りの展開になりました。
序盤ペースを握ったのは、挑戦者のアヤラ。回転の速い左ジャブ、左右のフックに加えて、ときどき放つ右アッパーで「お!これはもしかすると」と思わせてくれる見事な立ち上がりです。いつも序盤はガードを固めて相手をじっくり観察しながら戦うアブラハムですが、この試合はいつも以上にガードに注意を払っていましたね。アヤラの回転の速い連打が、そうさせたのでしょう。
並みのチャンピオンならアヤラのリズムにペースを持って行かれそうになるところですが、そこは「キング」、アブラハム。4ラウンドに入ると、これまで守備的なボクシングから攻撃的なボクシングへシフトします。アブラハムは、アヤラが攻めている間はガッチリとガードを固め、攻め終わると、右ストレートを中心に強烈なパンチでアヤラを威嚇します。
試合のペースが少しずつアブラハムに傾いた5ラウンド。ダッキングで後ろに下がったアヤラに対して、アブラハムの右ストレートが追い打ちをかけ、この試合最初のダウンを奪います。それほどダメージがあるように思えませんでしたが、このダウンをきっかけに試合の主導権は完全にアブラハムへ移ります。6ラウンド以降はアヤラの生命線ともいえるスピードを封じるため、ボディーブローでスタミナと足の動きを奪い、試合は終始アブラハムのペースで最終ラウンドへ突入します。
3ラウンド以降、ポイントを奪われ続けたアヤラが奇跡の逆転を信じて前へ出ようとするのですが、アブラハムが巧みにかわし、迎えたラスト30秒。アブラハムが連打でアヤラをコーナーへ追い詰めて、カウンターの左アッパーをクリーンヒットさせます。前のめりに崩れ落ちるアヤラ。「判定決着かな?」と思った矢先の壮絶なKOでした。
7度目の防衛戦に成功したアブラハム。アヤラのスピードに若干苦しめられた感はありましたが、今回も見事な防衛でしたね。こうなると、いつパブリックと激突するのか注目が集まります。実際、アブラハムに勝てるミドル級ボクサーはパブリックしかいないと思います。早ければ年末、遅くても来年には統一戦が実現するんじゃないかと期待しています。ミドル級最強対決、早く観たいですね。
試合結果
試合結果 | アルツール・アブラハムが12ラウンドKO勝ちで7度目のタイトル防衛に成功。 |