ボクシングの本場アメリカの期待を背負う強打の「ゴースト」
アメリカ出身のケリー・パブリックは、自慢の強打でKOを積み重ねる中量級期待の人気ボクサー。身長189センチ、リーチ190センチの恵まれた体格を生かして、序盤からKOを狙う攻撃的なボクシングがケリー・パブリックの持ち味です。
21世紀に入って脚光を浴びる機会の多い中量級ですが、長い間、アメリカ出身の白人チャンピオンは誕生しませんでした。そのため、ケリー・パブリックは世界チャンピオンになる前から「ホワイトホープ」と呼ばれ、「ニューヒーロー」としての大きな期待を背負っていたんです。
デビュー当初こそ、注目されるために「ホワイトホープ」のイメージが先行していました。しかし、試合を重ねるにつれて評価を上げ、今では「ケリー・パブリック」の名前だけでお客さんを呼べる人気ボクサーのひとりです。
ニックネームは「ゴースト」。一般的に「背が高くて、とらえどころのないボクサー」に「ゴースト」というニックネームがつけられることが多いのですが、ケリー・パブリックのボクシングは気持ちが良いほど単純明快です。
左ジャブで相手を起こして、強烈な右ストレートを叩き込み、KOを狙う本当にわかりやすいボクシング。乱暴な言い方をすると「当たれば勝ち」のボクシングです。8割を超えるKO率は、世界中のボクシングファンを熱狂させるケリー・パブリックの大きな魅力ですね。
強打を誇るケリー・パブリックは2000年6月にプロデビュー。3ラウンドTKO勝ちでデビュー戦に快勝すると、ここから怒涛の31連勝を記録。31勝全勝28KOという驚異的なレコードで一躍世界のトップ戦線へ躍り出ます。
自慢の強打を武器に連勝を重ねるケリー・パブリックは2007年9月、初の世界タイトルに挑戦。元4団体統一世界ミドル級チャンピオンのバーナード・ホプキンスを2度撃破したジャーメイン・テイラーが持つWBC、WBO世界ミドル級タイトルに挑戦します。
2ラウンドにテイラーの連打を浴び、ダウンを喫したケリー・パブリック。「このまま決まりそうだなあ」と思わずにいられない強烈な連打を浴びたケリー・パブリックですが、ここから驚異の粘りを発揮します。
追撃を狙うジャーメイン・テイラーに対して、真っ向から打ち合って応戦。守るのではなく、攻撃をしながらダメージの回復に努めます。結果として、この作戦が見事に的中!ジャーメイン・テイラーにパンチを打ち込みながら、ダメージ回復に成功します。
ケリー・パブリックが打ち合ってピンチを乗り切ろうとしたことで、ジャーメイン・テイラーに「パブリックのパンチはまだ生きてる」と思わせることができたのは大きかったと思います。
ジャーメイン・テイラーは不用意に追撃することができず、結果的にケリー・パブリックは体力を回復することができました。もしケリー・パブリックが守ってダメージを回復しようとしていたら、ジャーメイン・テイラーが一気に試合を決めていたと思います。ケリー・パブリックは決してディフェンスが上手いボクサーとは言えないですからね。
序盤の攻撃でスタミナを使いすぎたこと、追撃をするときにケリー・パブリックの強打をまともにもらってしまったことが影響したのか、試合中盤に入ると、チャンピオンのジャーメイン・テイラーが一気に失速。
最終的に、ケリー・パブリックが7ラウンド逆転のTKO勝利を飾り、初の世界タイトル挑戦で悲願の世界チャンピオンベルトを腰に巻きました。アメリカ期待の「ホワイトホープ」が全勝で頂点に輝いた瞬間でした。
勢いに乗るケリー・パブリックは2008年2月、ジャーメイン・テイラーと再戦で激突。プライドをかけ、リベンジに執念を燃やすジャーメイン・テイラーを再び粉砕し、12ラウンド判定勝ちを飾ります。
ジャーメイン・テイラーに連勝したことで、ケリー・パブリックの人気と評価は最高潮へ!攻撃的なボクシングで連勝を34に伸ばし、「ゴースト時代」の到来を強烈にアピールしました。
しかし、2008年10月、全勝の快進撃を続けるケリー・パブリックの前に「戦う伝説」バーナード・ホプキンスが立ちはだかります。老獪なボクシングで、強打を空回りさせられたケリー・パブリックは12ラウンド大差の判定負けで勝利をプロ初黒星を喫してしまいます。
バーナード・ホプキンスの主戦場であるライトヘビー級の試合を受け入れ、自信満々で勝負を挑んだケリー・パブリック。しかし、真っ向勝負で真っ正面から相手をねじ伏せていたボクシングの弱点を露呈してしまう結果となりました。
ライトヘビー級でプロ初黒星を喫したケリー・パブリックですが、その後は本来の階級であるミドル級タイトルの防衛を重ね、復活をアピールします。「ミドル級に敵なし」を印象付ける勝利を重ねるケリー・パブリックですが、2010年4月、再び苦杯をなめることになります。
スーパーウェルター級チャンピオンのセルヒオ・マルチネスから挑戦状を叩き付けられ、勝負を受けたケリー・パブリック。しかし、結果は12ラウンド判定負けで王座陥落。セルヒオ・マルチネスのスピードとテクニックに自慢の強打を封じ込められた苦い敗北でした。
その後、ケリー・パブリックは、度重ねるケガとアルコール依存症に悩まされ、長くリングを離れることになります。飛ぶ鳥を落とす勢いで一気にスターダムにのし上がった人気ボクサーが最大の困難に直面した時期でした。
13か月リングから遠ざかっていたケリー・パブリックは2011年5月、全勝のアルフォンソ・ロペスと再起戦で激突。全盛期のボクシングに程遠い内容でしたが、10ラウンド判定勝ちを飾り、再起戦を勝利で飾ります。
2012年に入ると、短いペースで試合を重ね、2012年3月にアーロン・ジャコ、2012年6月にスコット・シモン、わずか1か月後の2012年7月にウィル・ロジンスキーに勝利し、再起からの連勝を4に伸ばします。
再起へ向けて本格的に始動し始めたケリー・パブリック。自慢の強打でアメリカを熱狂させた「ゴースト」は困難を乗り越え、世界中のボクシングファンに復活をアピールすることができるでしょうか?2階級制覇を目指す人気ボクサーの再起ロードに注目ですね。
ケリー・パブリックの試合観戦レビュー
2012年07月 | ケリー・パブリックがウィル・ロジンスキーと激突 |
2011年05月 | ケリー・パブリックが再起戦でアルフォンソ・ロペスと激突 |
2010年04月 | ケリー・パブリック対セルヒオ・マルチネスの王者対決 |
2009年12月 | ケリー・パブリックがミゲール・エスピノを迎えた防衛戦 |
2009年02月 | 再起へ!ケリー・パブリック対マルコ・アントニオ・ルビオ |
2008年10月 | 全勝王者ケリー・パブリックがバーナード・ホプキンスと激突 |
2008年06月 | KO決着必至!ケリー・パブリック対ゲイリー・ロケット |
2008年02月 | ケリー・パブリック対ジャーメイン・テイラーの再戦 |
2007年09月 | 無敗対決!ジャーメイン・テイラー対ケリー・パブリック |
ケリー・パブリックのプロフィール
本名 | ケリー・パブリック |
誕生日 | 1982年4月5日 |
ニックネーム | ゴースト |
戦績 | 42戦40勝34KO2敗 |
獲得タイトル |
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