IBF世界スーパーミドル級タイトルマッチ
チャンピオン | ルシアン・ビュテ(ルーマニア) 戦績:21戦全勝17KO |
挑戦者 | ウィリアム・ジョッピー(アメリカ) 戦績:44戦39勝30KO4敗1分 |
試合内容
ルーマニア出身のルシアン・ビュテが第二の故郷、カナダで初防衛に挑みます。防衛戦の相手は、なんと大ベテランのウィリアム・ジョッピー!1996年にWBA世界ミドル級チャンピオン、竹原慎二さんをKOで下し、世界チャンピオンになり、2002年には保住直孝選手の挑戦を退けた、日本のボクシングファンの間でもよく知られたボクサーです。
全勝チャンピオンのビュテがジョッピーを対戦相手に選んだと知ったときは「絶対にジョッピー勝てないよ」と思いました。ビュテは長身のサウスポーで、相手をKOできるほどのパンチ力があるにも関わらず、「石橋を叩いて渡る」ボクサーの典型。しかも、アマチュア出身のテクニシャンなんです。勝てば2階級制覇、負ければ引退のジョッピーがどれだけ戦えるのか?ジョッピーの仕上がりに注目が集まります。
試合は序盤から完全にチャンピオン、ビュテのペース。長いリーチを活かして、右ジャブでジョッピーを突き放し、左ストレートを叩き込む理想的な展開。さらに、懐に入ろうとするジョッピーを左アッパーで突き上げ、全く寄せ付けません。
突破口を見つけようと必死に戦うジョッピーですが、WOWOWエキサイトマッチ解説者の浜田剛史さん曰く「どうやって突破口を見つけていいのか、全く分からない状態」。ビュテはパンチ力、スピード、テクニック、リーチのすべてでジョッピーを上回っていて、ジョッピーがかわいそうになるほどです。
結局、9ラウンドにボディーでダウンを奪ったビュテが、10ラウンドに猛攻を仕掛けて、さらに2度のダウンを奪い、TKO勝ち。「油断も隙もない」とはまさにこのことです。自分の距離を大切にキープしながら、徹底的にジョッピーを痛めつけ、反撃できないと確信するまでKOを狙いに行かないビュテのボクシングは、対戦相手にとって本当に脅威だと思います。もしビュテにパンチ力がなければ、何とか接近戦に持ち込んで勝負することもできると思うのですが、パンチも強いんですよね。
先日、リブラド・アンドラーデが挑戦者決定戦に勝利し、ビュテへの挑戦権を獲得しましたが、相当苦しい試合になると思います。卓越したディフェンス力を誇り、自分の距離を大切に戦うビュテが負ける姿はちょっと想像できないです。12ラウンド戦えるスタミナもあるので、下手すると、アンドラーデが一方的に打ちまくられる展開になるかもしれません。
3団体統一世界ミドル級チャンピオンのジョー・カルザゲ、前WBA世界ミドル級チャンピオンのミッケル・ケスラー、元IBF世界ミドル級チャンピオンのジェフ・レイシーなど、チャンピオンクラスのボクサーじゃないとビュテは止められないでしょう(レイシーはたぶん勝てないと思います)。試合運びが冷静で、派手さはありませんが、ビュテは相当強いですよ。
試合結果
試合結果 | ルシアン・ビュテが10ラウンドTKO勝ちで初防衛に成功。敗れたジョッピーは試合後、引退を表明。 |