ウェルター級最強決定戦!ミゲール・コット対アントニオ・マルガリート(前編)はこちら
8ラウンドに入ると、ミゲール・コットが足を使って距離を取りながら体力回復を図ります。「お、いい作戦。これなら体力回復できるかも」と思ったのですが、アントニオ・マルガリートのプレッシャーがそれを許しません。ポイントこそ、コットに取られますが、終始パンチを出し続けてコットに休む時間を与えないのです。
マルガリートは、一体どんなトレーニングをしているのでしょうか?1ラウンドからコットのパンチをまともにもらい、ダメージが蓄積する中、体力的、精神的に苦しい終盤でこれだけ休まずパンチを出せるボクサーはマルガリート以外にいないでしょう。
そして、マルガリートの執念が10ラウンドに実を結びます。残り30秒、足を使って距離を取ろうとするコットをロープへ追い詰めて、左右のフック、右ストレートを連打します。コットはガードを固めて防ごうとするのですが、マルガリートが上下に打ち分けるため、防ぎきれません。残り15秒、マルガリートの左フック、左ボディー、左フックがクリーンヒットし、コットは完全にグロッキー。ゴングに助けられましたが、プロのリングでこれまでに経験したことのないダメージを負ってしまいます。
現役ボクサーで一番応援しているコットのピンチに管理人も思わず熱くなり、「コット頑張れ」と声を出して応援しますが、管理人の願いは「ティファナの竜巻」のニックネームを持つマルガリートに吹き飛ばされてしまいます。
11ラウンドに入ると、マルガリートが勝負をかけます。コットも応戦しようとするのですが、足が全く動かず、マルガリートのパンチをガードするのが精一杯。ロープから脱出することができないまま、マルガリートの連打をもらい続け、左アッパー、右アッパー、右ストレートの打ち下ろしでついにダウン。何とか立ち上がりますが、プエルトリコの英雄、コットを待っていたのは、衝撃の結末でした。
最後の力を振り絞り、立ち上がったコットに対して、マルガリートが会心の右アッパー。ヨロヨロと後退するコットを追いかけ、さらに左右のアッパー、右ストレートを打ち込みます。コーナーに追い詰められたコットはその場にしゃがみ込み、この試合2度目のダウン。コットは意識がもうろうとする中、再び立ち上がりますが、カウントの途中で試合ストップ。コットはプロ初の黒星を喫し、チャンピオンの座をマルガリートに明け渡すことになりました。
勝ったマルガリートも負けたコットも本当に素晴らしかったです。2008年のベストマッチと言っても過言ではないでしょう。お互いの技術、プライド、執念がぶつかり合った、「ウェルター級最強決戦」にふさわしい試合内容です。
これまでビッグマッチに恵まれなかったマルガリートですが、今回の勝利はマルガリートのボクシング人生を大きく変える勝利となるでしょう。陽の当たらない道を歩んできた「最強の男」が世界中の脚光を浴びた瞬間ですね。また、デビューから12戦の戦績が9勝3敗とあまり注目されなかったマルガリートがウェルター級の頂点に輝いたことはボクシング界全体にとって大きな意味を持つでしょう。今後も「ティファナの竜巻」はウェルター級で勢力を拡大しながら猛威を振るいそうですね。
試合結果
試合結果 | アントニオ・マルガリートが11ラウンドTKO勝ちでタイトル奪取。負けたミゲール・コットはプロ初黒星を喫し、王座陥落。 |