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スピード対パワー!ポール・マリナッジとラブモア・ヌドゥの再戦

IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ

チャンピオン ポール・マリナッジ(アメリカ)
戦績:25戦24勝5KO1敗
挑戦者 ラブモア・ヌドゥ(南アフリカ共和国)
戦績:56戦46勝31KO9敗1分

試合内容

わずか20%のKO率にも関わらず、アメリカ東海岸を中心に人気を誇るポール・マリナッジ。パンチ、動きのスピードを武器に、キビキビしたボクシングを展開するチャンピオンです。しかも、負けん気が強い!パンチ力はありませんが、ボクシングの醍醐味を感じさせてくれるボクサーです。

マリナッジは今回の挑戦者、ラブモア・ヌドゥと2007年6月にアメリカで一度戦っています。その時はチャンピオンがヌドゥで、マリナッジが挑戦者。試合はマリナッジが大差の判定で勝利し、現在防衛中のIBF世界スーパーライト級タイトルを獲得したんです。つまり、今回のタイトルマッチはチャンピオンと挑戦者の立場を入れ替えた再戦。舞台を中立国イギリスへ移した両者の約1年ぶりの再戦は予想外の立ち上がりとなりました。

1ラウンドに、挑戦者ヌドゥの強烈な右ストレートがマリナッジの顔面をとらえたのです。マリナッジはダウンこそしませんでしたが、一瞬腰が落ちるほどの破壊力。スピードのマリナッジに対して、パワーのヌドゥが対抗するには「先制攻撃が必要だろうなあ」と考えていたところに、このパンチですから、期待通りの展開です。

並みのボクサーなら、ダウンするほどのパンチですが、チャンピオンのマリナッジはタフなんですよね。それほど体が大きいわけではありませんし、柔らかいとも思わないのですが、相手の強打に耐えるんです。もしマリナッジが打たれ弱いボクサーだったら、いくらスピードがあったとしても、総合力が求められる階級、スーパーライト級の世界チャンピオンになっていないと思います。スピード豊かで、タフなので、対戦相手にとって厄介なボクサーなんですよね。

前半は1ラウンドのクリーンヒットのダメージもあり、ヌドゥのペースで進みますが、試合が進むにつれてチャンピオンのマリナッジが反撃。前半はいきなり打ちこんでくるヌドゥの右ストレートに戸惑っていたマリナッジですが、徐々に慣れてきたのか、持ち前のフットワークでかわしながら、回転の速い連打でポイントを奪い返します。

8ラウンド終了時には、編み込んだ長髪を束ねて戦っているマリナッジに対して、セコンドがインターバル中に髪を切る、珍しいシーンがありました。長髪のボクサーも珍しいのですが、試合中にセコンドがボクサーの髪を切るシーンは初めて観ましたね。髪を切られた後の「ふてくされている」マリナッジを観て、思わず笑ってしまいました(ちなみに、マリナッジはファッションモデルもしているそうです)。

試合中に髪を切らなければならないほど、ポイントが競っている試合だったので、マリナッジサイドからすると、余裕がなかったんでしょうね。髪を切った効果があったかどうかはわかりませんが、9ラウンド以降はマリナッジのペースを握り、疲れで足が止まり始めたヌドゥからポイントを奪取。結局、12ラウンド判定の結果、2-1のスプリットデシジョンでマリナッジが防衛に成功しました。

防衛に成功したものの、この試合のマリナッジはっきり言って出来が悪いです。1ラウンドのダメージを抱えたままの戦いで、どうしても劣勢な部分があったと思いますが、ヌドゥが強打者にも関わらず、正面に立ちすぎて、右ストレートをまともにもらう場面が何度かありましたし、全体的に手数が少なく、スタミナ不足のヌドゥに助けられた防衛戦と言えるでしょう。ただ、調子が悪いなりに、きっちりとポイントを奪い返し、防衛に成功するところは曲者ですね。

先日再起戦に勝利したリッキー・ハットンとの対決が噂されるマリナッジですが、今回のような試合内容だと一方的に押し込まれて苦しいでしょうね。ただ、マリナッジとハットンの相性を考えれば、勝つチャンスが全くないどころか、勝つチャンスは十分にあると思います。ハットンが飛び込んできたところに、カウンターの右ストレート、右アッパーを叩き込み、左フックで体を入れ替えて連打するパターンに持ち込めれば、マリナッジの持ち味が十分活かせる試合になるでしょう。最近苦戦続きのマリナッジですが、本来の力を発揮できれば、ハットンを苦しめる可能性は高いと思いますよ。マリナッジ対ハットン、楽しみだなあ。

試合結果

試合結果 ポール・マリナッジが2-1のスプリットデシジョンでラブモア・ヌドゥに僅差の判定勝ち。管理人の判定は114-114のドローでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 116-112(マリナッジ)
  • 116-113(マリナッジ)
  • 114-115(ヌドゥ)
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