WBA世界バンタム級タイトルマッチ
チャンピオン | ウラディミール・シドレンコ(ウクライナ) 戦績:23戦21勝7KO無敗2分 |
挑戦者 | アンセルモ・モレノ(パナマ) 戦績:23戦21勝8KO1敗1分 |
試合内容
2008年1月、池原信遂選手に判定勝ちを収め、6度目の防衛を果たしたウラディミール・シドレンコ。シドニーオリンピックで銅メダルを獲得後、プロデビューし、ドイツを主戦場に無敗を続けるチャンピオンです。体格的にはそれほど恵まれていないシドレンコですが、鉄壁のガードで相手の攻撃を防ぎ、驚異的なスタミナと圧倒的な手数で反撃する「自分の型」を持ったボクサーですね。
今回が7度目の防衛戦となるシドレンコの相手はランキング1位のアンセルモ・モレノ。パンチを当てるのが上手い、長身の技巧派サウスポーです。32歳の安定チャンピオン、シドレンコに対して、22歳の若いモレノが敵地ドイツでどれだけ戦えるのか?シドレンコ7度目の防衛戦は一進一退の攻防になりました。
序盤、ペースを握ったのは挑戦者のモレノ。ガードを固めて突進してくるシドレンコに対して、軽いながらも的確な右ジャブ、左ストレートを顔面へヒットさせ、ポイントを積み重ねます。パンチ力はそれほどでもありませんが、当てるのは本当に上手いです。まだ若いのに、自分の戦い方を知っているクレバーなボクサーですね。ロープへ追い詰められても慌てることなく、右フックを当ててポジションを入れ替え、ロープから脱出するテクニックは超一級品です。
モレノが常に動いてポジションを変えるので、シドレンコは戦いにくそう。シドレンコにとって、モレノは明らかに苦手なタイプですね。もしモレノが思い切りパンチを打ち込んでくるボクサーなら、鉄壁のガードで攻撃をしのいで、打ち終わりを待って反撃するシドレンコ得意のパターンに持ち込めるでしょう。しかし、軽いパンチを当てながら左右へ常にポジションを変える戦い方をされると、ガードをガッチリ固めて戦っているシドレンコは反撃するまでにどうしても時間がかかってしまい、逃げられてしまうんです。
敵地ドイツにも関わらず、モレノがペースを握り、試合の前半は完全にモレノのペースで進みます。しかし、後半に入ると、シドレンコが底力を発揮。モレノのボディーに照準を定め、体力的に苦しい中、ボディーブローの連打で反撃します。8ラウンドには、この試合一番のボディーブローがモレノをとらえ、試合のペースは完全にシドレンコへ傾きます。
10ラウンドを終わった時点で、管理人の採点はドロー。ラスト2ラウンドの勝負となり、お互いに最後の力を振り絞りますが、ここまでより大きなダメージを受けているシドレンコの動きが鈍り始めます。反対に、省エネボクシングに徹したモレノのパンチが精度、手数ともシドレンコを上回ります。結局、12ラウンド判定の末、モレノがシドレンコを下し、見事、世界チャンピオンに輝きます。
プロ初黒星を喫したシドレンコですが、後半の頑張りはさすがだったと思います。序盤にもっとボディーを攻撃して、モレノの足を止めることができれば、試合展開は変わっていたかもしれませんが、シドレンコにとって、モレノは相性がとても悪い相手でしたね。長身のサウスポーで、体が柔らかく、パンチを当てるのが上手いモレノは、どんなボクサーにとっても戦いにくいタイプです。玄人好みのボクシングですが、長期政権を築く可能性が高いと思います。
試合結果
試合結果 | アンセルモ・モレノが敵地ドイツに乗り込み、3-0の判定勝ちでタイトル奪取に成功。管理人の判定は116-112でアンセルモ・モレノの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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