IBF世界ライトヘビー級タイトルマッチ
チャンピオン | アントニオ・ターバー(アメリカ) 戦績:31戦27勝19KO4敗 |
挑戦者 | チャド・ドーソン(アメリカ) 戦績:27戦26勝17KO無敗1無効試合 |
試合内容
IBF世界ライトヘビー級チャンピオンのアントニオ・ターバーが無敗の前WBC世界ライトヘビー級チャンピオン、チャド・ドーソンを迎えて初防衛に挑みます。ターバーが39歳、ドーソンが26歳とひと回り以上違うボクサー同士の対決で、ターバーがスーパースター候補のドーソンに初黒星を付けられるかどうかが見どころですね。
ターバーは、ロイ・ジョーンズを2度破った唯一のボクサー。ここ数年は不活発でしたが、2008年4月、クリントン・ウッズが持つIBF世界ライトヘビー級タイトルに挑戦し、世界チャンピオンに返り咲いています。相手を一撃で倒すことができる左ストレート、クリーンヒットをもらわないブロッキングの上手さなど、実力は誰もが認めるボクサーです。
一方、挑戦者のドーソンは将来を期待される元チャンピオン。自身が保持していたWBCタイトルを返上して、ターバーとのタイトルマッチに挑みます。前回のグレンコフ・ジョンソン戦で評価を落としているだけに、実力者ターバーに勝利して、再びドーソン旋風を巻き起こすことができるでしょうか?
試合は序盤からドーソンのペースで進みます。ターバー、ドーソンともに長身のサウスポーで、中間距離のボクシングを得意とするボクサーですが、ドーソンに比べてターバーはスロースターターです。ガードを固めて様子を伺うターバーに対して、ドーソンが積極的にパンチを集めて、ポイントを奪います。
3ラウンドからターバーも反撃を開始するのですが、ドーソンのスピードがターバーを上回り、ターバーのパンチが届きません。試合前は、「ドーソンが苦戦するんじゃないかな?」と思っていたのですが、全く予想が外れてしまいました。パンチと動きのスピード、パンチ力、ディフェンスの上手さ、体格的なアドバンテージ、どれを取ってもドーソンがターバーを上回っています。
特に、ドーソンのハンドスピードは素晴らしく、鉄壁のディフェンスを誇るターバーのブロックを回転の速い連打で打ち破ります。試合前、ドーソンの友人である、元5階級制覇チャンピオン、フロイド・メイウェザーが「スピードでかき回せば勝てるよ」とアドバイスをしたそうですが、全くその通りの展開になりました。
12ラウンドにはカウンターの右フックでダウンを奪うなど、一方的なドーソンのペースで進み、3-0で大差の判定勝ち。スーパースター候補、ドーソンが、ビッグネームのターバーに快勝し、世界チャンピオンに輝くと同時に、自らの評価を急上昇させる白星を掴みました。
管理人はこの試合を観るまで「ドーソンの実力は本物かどうかまだ微妙だな」と疑問を持っていましたが、ターバー戦を観て「すごいボクサーになるんじゃないかな」と考えを改めました。これまで、ドーソンは相手をかわしてながら戦うことが多かったのですが、前へ出たほうがドーソンの良さが際立ちますね。
身長191センチ、リーチ194センチとライトヘビー級でも恵まれた体格を持ち、さらに、動きのスピード、パンチのスピードもライトヘビー級ナンバーワン。乱暴な言い方をすれば、「デカくて速いボクサー」です。活字にすると、なんてことない感じがしますが、ボクシングファンなら「デカくて速いボクサー」がどれほどのアドバンテージを持っているか、おわかりいただけると思います。
ターバーが勝てないなら、ドーソンに中間距離で勝てるボクサーはいないでしょう。あとは、苦戦したグレンコフ・ジョンソンのような前へガンガン出てくるインファイター対策を身に付ければ、ものすごいスーパースターになる気がします。ドーソンの潜在能力がここまですごいとは思いませんでした。将来が本当に楽しみなボクサーですね。
試合結果
試合結果 | チャド・ドーソンが3-0大差の判定でタイトル奪取。管理人の採点は118-109でチャド・ドーソンの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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