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全勝王者アルツール・アブラハムが無敗のラファン・サイモンと激突

IBF世界ミドル級タイトルマッチ

チャンピオン アルツール・アブラハム(アルメニア)
戦績:28戦全勝23KO
挑戦者 ラファン・サイモン(アメリカ)
戦績:24戦21勝12KO2分1無効試合

試合内容

全勝チャンピオンのアルツール・アブラハムが無敗の挑戦者、ラファン・サイモンを迎えて9度目の防衛戦を行います。圧倒的な強さで防衛を重ねるアルツール・アブラハムが、身長185センチのラファン・サイモン相手にどんなボクシングをみせてくれるか楽しみですね。

試合序盤はチャンピオンのアルツール・アブラハムがガードをガッチリ固めて、世界タイトル初挑戦となるラファン・サイモンを観察する予想通りの展開。普段と変わらないアルツール・アブラハムの立ち上がりですね。一方のラファン・サイモンはアルツール・アブラハムのガードを「パンパン」と軽いパンチで叩きます。ガードの上からのパンチなので、ダメージはありませんが、ポイントは取れますね。

「アブラハムは相手がパンチを打っている間はガードを固めて攻撃しない攻防分離のボクサーなので、パンチを出し続けられるスタミナがあれば、サイモンにもチャンスがあるんじゃないかな?」と世界初挑戦ながら、堂々と戦うラファン・サイモンのボクシングを観察する管理人。ところが、3ラウンド開始直後、ハプニングがラファン・サイモンを襲います。

アルツール・アブラハムがラファン・サイモンをロープへ追い詰め、パンチを連打したところで、ラファン・サイモンがアルツール・アブラハムにクリンチ。すると、そのクリンチを振り払おうとしたアルツール・アブラハムがラファン・サイモンを突き飛ばします。「あ、プッシングだ」と思ったのですが、レフェリーの判断はパンチによるダウン!ラファン・サイモンにとってはかわいそうなダウンですね。

気の毒なダウンを奪われたラファン・サイモンですが、4ラウンドに入ると、ポイントを取り返すため、これまで以上に手数を増やします。パンチの威力はありませんが、手数はアルツール・アブラハムの2倍以上ありそうです。「サイモンはパンチの強弱をつけて、上手くスタミナを温存しながら戦っているなあ」と感心していると、チャンピオンのアルツール・アブラハムが反撃開始。

5ラウンド、得意の右フックを叩き込むと、ラファン・サイモンをロープに詰めて左右のフックを連打します。ラファン・サイモンは体が柔らかく、パンチを吸収するボクサーなので、上手く衝撃を逃がしていますが、並のボクサーならダウンを奪われてもおかしくないパンチですね。ガードを固めていたラファン・サイモンが流血しています。

7ラウンドにもアルツール・アブラハムがラファン・サイモンをロープへ追い詰めてパンチを連打します。ラファン・サイモンはブロックしていますが、結構効いている感じですね。「アブラハムは攻撃に移ると、すごい迫力だなあ。そろそろエンジンがかかってきたかな?」とチャンピオンの反撃を予感する管理人。ところが、この試合のアルツール・アブラハムは手数が少なく、決定的なチャンスを作ることができません。ラファン・サイモンがパンチを出し続けて、アルツール・アブラハムをディフェンスに追いやっているのがいいですね。

8ラウンド残り30秒には、攻撃に出てきたアルツール・アブラハムに対して、カウンターの左フックを打ち込み、アルツール・アブラハムの動きが一瞬止まります。ラファン・サイモンにクリンチして、ピンチを脱出したアルツール・アブラハムですが、最近では一番効いたパンチかもしれません。9ラウンドに入っても、ダメージが抜けないのか、ロープを背負って戦うアルツール・アブラハム。ラファン・サイモンも「チャンス」と感じたのか、これまで以上に攻撃しますが、ときどきアルツール・アブラハムのカウンターをもらってしまいます。我慢比べになってきましたね。

9ラウンド以降も一進一退の攻防が続き、ラファン・サイモンの攻撃が終わるのを待って、アルツール・アブラハムが反撃に転じる展開。試合はこのまま12ラウンド終了を迎え、勝敗は3人のジャッジに委ねられます。3人のジャッジは、手数は少ないが、ときどき「バシ!」っと打ち込むアルツール・アブラハムの重いパンチと、パンチは軽いが、手数の多いラファン・サイモンのパンチのどちらを支持しているでしょうか?

12ラウンド終了のゴングを聞いたとき、管理人は「結構競っているんじゃないかな?」と思ったのですが、結果は3人のジャッジすべてが大差でアルツール・アブラハムを支持。アルツール・アブラハムが9度目の防衛に成功し、全勝記録を29に伸ばしました。3人のジャッジは、アルツール・アブラハムの強烈なパンチを有効と判断したようです。敗れはしましたが、ラファン・サイモンのボクシングは素晴らしかったですね。

アルツール・アブラハムは自分より長身のラファン・サイモンを挑戦者に迎え、近い将来行われる可能性が高い、WBC・WBO世界ミドル級チャンピオンのケリー・パブリックとの統一戦を想定した防衛戦だと思うのですが、思わぬ苦戦でしたね。手数の多いラファン・サイモンに苦しめられ、ガード一辺倒となる攻防分離の弱点を露呈してしまったようです。

今回はパンチ力がないラファン・サイモンが相手でしたが、ケリー・パブリックならアルツール・アブラハムのガードを打ち破るパンチ力、スタミナを兼ね備えています。これまで、「パブリックとアブラハムなら、パブリックが6-4で有利かな」と思っていたのですが、今日の試合を観て、「パブリックが8-2で有利かも」と予想を変えることにしました。アルツール・アブラハムもケリー・パブリックも戦い方がとても正直なボクサーなので、真正面からのぶつかり合いになるでしょう。そうなると、アルツール・アブラハムがちょっと苦しい気がしませんか?統一戦が早く実現しないかな。

試合結果

試合結果 アルツール・アブラハムが12ラウンド判定勝ちで9度目の防衛戦に勝利。管理人の採点は115-112でアルツール・アブラハムの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 118-109
  • 117-110
  • 117-110
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