WBC世界ウェルター級タイトルマッチ
チャンピオン | アンドレ・ベルト(アメリカ) 戦績:23戦全勝19KO |
挑戦者 | ルイス・コラーゾ(アメリカ) 戦績:32戦29勝14KO3敗 |
試合内容
激戦区ウェルター級において、次世代のスーパースターとして大きな期待を集めるアンドレ・ベルト。デビューから全戦全勝、8割を超える高いKO率を誇る攻撃的なボクサーです。相手との距離を一瞬で詰め、打ち終わるとすぐに離れる出入りのスピードは驚異的ですね。
デビューから順調に経験を積み、全勝で世界チャンピオンに輝いたエリートボクサー、アンドレ・ベルトの2度目の防衛戦の相手は、ランキング1位のルイス・コラーゾ。元WBA世界ウェルター級チャンピオンのルイス・コラーゾは、手数の多いタフなサウスポーです。全身にタトゥーを入れているので、一見すると、荒っぽいボクシングをするように見えるルイス・コラーゾですが、実際はテクニシャンで、パンチを当てるのが上手いんですよね。
次世代のスーパースター、アンドレ・ベルトが元チャンピオンを打ち倒して、スター街道を歩むのか?それとも、技巧派サウスポー、ルイス・コラーゾがアンドレ・ベルトの大きな試練となるのか?新旧チャンピオン同士のタイトルマッチは手に汗握る熱戦になりました。
試合は1ラウンドから驚きの展開。試合開始から1分、リング中央で挑戦者のルイス・コラーゾが右ジャブから左ストレートのワンツーをアンドレ・ベルトの顔面に打ち込み、アンドレ・ベルトがロープまで吹っ飛びます!アンドレ・ベルトの重心が後ろにかかっていたので、見た目ほど肉体的なダメージはないと思いますが、精神的なダメージはありそうですね。
2ラウンドに入ると、チャンピオンのアンドレ・ベルトが反撃に出ますが、ルイス・コラーゾがコンパクトな左ストレートを上下にちらし、主導権を渡しません。一発のパンチ力こそ、アンドレ・ベルトに及びませんが、パンチを当てる上手さは見事ですね。特に、ルイス・コラーゾの左ボディーブローが効果的で、アンドレ・ベルトが嫌がっています。「アンドレ・ベルトのパワーとスピード」対「ルイス・コラーゾの技術と手数」という図式になってきましたね。
これまでの挑戦者はアンドレ・ベルトが打ってくると、迫力に負けて防戦一方になるケースが多かったのですが、ルイス・コラーゾは必ず打ち返します。しかも、的確にパンチを当ててくるので、アンドレ・ベルトが本当に戦いづらそうです。ルイス・コラーゾがサウスポーであることも戦いにくい原因なんでしょうね。
3ラウンドは目が覚めるような凄まじい打ち合い。両者が足を止めて打ち合います。チャンピオンのアンドレ・ベルトは回転の速い力強い連打、挑戦者のルイス・コラーゾはインサイドからコンパクトな連打を打ち込みます。「すごい打ち合いだなあ、この調子だと、12ラウンドもたないよ」と心配になるほどの激しい主導権争い。アンドレ・ベルト、ルイス・コラーゾ、どちらもすごい気迫です。
4ラウンドも足を止めての打ち合いが続きます。どちらかと言うと、体の大きなルイス・コラーゾがアンドレ・ベルトを打ち合いに巻き込んでいる感じです。アンドレ・ベルトはルイス・コラーゾの前進を止めようと大振りが目立つようになり、インサイドからルイス・コラーゾの連打をもらう苦しい展開。さらに、ラウンド中盤にホールディングで減点をとられるなど、試合のリズムが作れません。
「このまま打ち合いが続くと、苦戦慣れしているコラーゾのほうが、ベルトより有利に試合を進めそうだなあ。ベルトは減点も取られちゃったし、このあたりで反撃しないとズルズル行っちゃうかも」と思い始めた5ラウンド。アンドレ・ベルトが距離を取って、フットワークを使いながら、リズムを作ろうとします。左ジャブを中心にパンチの威力よりパンチの的中率を重視した戦いに切り替えたようです。
「お、いい作戦」と思ったのですが、6ラウンドに入ると、ルイス・コラーゾが積極的に前へ出て、アンドレ・ベルトとの距離を潰し、再び打ち合いになります。「コラーゾも苦しいはずなのにすごいなあ」と感心する管理人。アンドレ・ベルトは右アッパー、ルイス・コラーゾは回転の速い左右のフックとボディーブローでペースを握ろうと必死です。まさに手に汗握る熱戦ですね。