IBOスーパーライト級タイトルマッチ
チャンピオン | リッキー・ハットン(イギリス) 戦績:45戦44勝31KO1敗 |
挑戦者 | ポール・マリナッジ(アメリカ) 戦績:26戦25勝5KO1敗 |
試合内容
イギリスだけでなく、世界的な人気を誇る攻撃的なファイター、リッキー・ハットン。2007年12月、フロイド・メイウェザーとの全勝対決に敗れてプロ初の黒星を喫しましたが、攻撃的なボクシングは健在で、その人気はとどまることを知りません。この試合もマイナー団体のタイトルマッチながら、約3000人のイギリス人ファンが海を越えてニューヨークまで応援に駆けつけています。すごい数ですね。
圧倒的な人気を誇るリッキー・ハットンに挑戦するのは、前IBF世界スーパーライト級チャンピオンのポール・マリナッジ。パンチ力こそありませんが、相手の上手さを消してしまう試合巧者です。持ち前のスピードとテクニックで強打のリッキー・ハットンを空回りさせることができるでしょうか?
試合は序盤からチャンピオン、リッキー・ハットンのペースで進みます。試合前は、「マリナッジのテクニックにハットンが空回るんじゃないかな?」と思っていたのですが、この試合のリッキー・ハットンは左ジャブで試合の主導権を握る省エネボクシングを披露します。
2ラウンド残り40秒には、チャンピオンの右ストレートが挑戦者にクリーンヒット。ポール・マリナッジがリッキー・ハットンにしがみ付いたため、ダウンにはなりませんでしたが、かなりのダメージです。ポール・マリナッジとしては、自分がやりたいボクシングをチャンピオンにやられている感じですね。
これまで、持ち前のスタミナとタフネスで相手を追い回し、自慢の強打で試合を決めてきたリッキー・ハットンですが、ボクシングが粗い一面もあり、大振りのパンチをかわされて簡単にカウンターを打ち込まれる場面も多かったんです。しかし、この試合は左ジャブで試合をコントロールし、チャンスと見るや打ち込むコンパクトな右ストレートが面白いように決まります。
最近はあまりジャブを打たず、相手の懐へ飛び込むことが多かったリッキー・ハットン。しかし、この試合から新しいトレーナーに就任したフロイド・メイウェザー・シニアの指示なのか、体を上下左右に振って左ジャブを打ちながら前へ出ることで、相手に的を絞らせないだけでなく、的中率が大幅に上昇しています。ただでさえスタミナ抜群で手数が多いリッキー・ハットンがスタミナを温存しながら戦うのですから、相手にとってはたまりませんね。
ポール・マリナッジはリッキー・ハットンがこれだけ左ジャブを突いてくるとは思わなかったのでしょう。パンチを出さず、ただ突進してくるだけなら、ポール・マリナッジの技術があれば、カウンターを合わせることはそれほど難しくないと思うのですが、リッキー・ハットンが体を振り、しかもパンチを打ちながら入ってくるため、すごく戦いにくそうです。
試合は終始、チャンピオン、リッキー・ハットンのペースで進み、7ラウンドには、クリンチの離れ際にパンチを連打。得意の左フックがポール・マリナッジの顔面をとらえます。9ラウンドにも左フックを挑戦者の顔面に打ち込み、迎えた11ラウンド。チャンピオンが攻勢に出ます。
開始30秒、左フックから左ボディーの鮮やかなコンビネーションを打ち込み、ポール・マリナッジの体が沈みます。さらに、上下にパンチを打ち分け、追い打ちをかけたところで、ポール・マリナッジのセコンドがタオルを投げ入れて試合終了。「ヒットマン」、リッキー・ハットンが、「マジックマン」、ポール・マリナッジに圧勝しました。
管理人は試合前、「ポール・マリナッジのテクニックがリッキー・ハットンの良さを消す可能性もあるかな」と思っていたのですが、結果はリッキー・ハットンの一方的なペースでした。普段なら、勝っても負けても顔面がはれ上がっているリッキー・ハットンですが、試合後も綺麗な顔をしています。パンチを当てることが上手いポール・マリナッジ相手に、ほとんど打たれていない証拠です。「打たせながら打ち勝つハットン」から「打たせずに打ち倒すハットン」へ変貌を遂げようとしています。
試合結果
試合結果 | リッキー・ハットンが11ラウンドTKO勝ちでタイトル防衛に成功。 |