WBC世界フェザー級タイトルマッチ
チャンピオン | オスカー・ラリオス(メキシコ) 戦績:72戦65勝41KO6敗1分 |
挑戦者 | 粟生隆寛(日本・帝拳ジム) 戦績:18戦16勝8KO1敗1分 |
試合内容
2008年10月、WBC世界フェザー級チャンピオン、オスカー・ラリオスに挑戦し、僅差の判定負けでプロ転向後初の黒星を喫した粟生隆寛(あおう・たかひろ)選手。ダウンを奪いながらも、終盤ポイントを奪い返され、僅差の判定で敗れた屈辱を胸に、悲願の世界タイトル奪取を狙います。
試合は1ラウンドから緊張感漂う主導権争い。中間距離、接近戦のどちらでも打ち合えるオスカー・ラリオスに対して、粟生隆寛選手は右ジャブ、右フック、左ストレートを中心に的確にカウンターを奪います。特に素晴らしいパンチが左ストレート。突進力のあるオスカー・ラリオスに対して、右ジャブではなく、切れ味鋭い左ストレートで止める作戦のようです。
前回は接近戦に巻き込まれてしまった粟生隆寛選手ですが、この試合は自分の距離をしっかりと保って、的確なカウンターで試合の主導権を奪っています。田中繊大(たなか・せんだい)トレーナーの指示でしょうか?素晴らしい作戦です!パンチ、動きのスピードでチャンピオンのオスカー・ラリオスを上回る粟生隆寛選手、日本を代表する名伯楽、田中繊大トレーナーのコンビだからこそできる戦術ですね。
前回と同じ体をくっつけた接近戦だと、粟生隆寛選手の良さより、オスカー・ラリオスの良さのほうが出るでしょう。もちろん、接近戦で粟生隆寛選手がオスカー・ラリオスを封じ込める可能性はあります。しかし、粟生隆寛選手も打たれてダメージが蓄積する可能性、押し合いでスタミナを奪われる可能性が高くなります。だからこそ、粟生隆寛選手と田中繊大トレーナーは離れて戦う作戦(特に序盤)を選んだのでしょう。
結果的に、この作戦が見事に的中。プロで72戦のキャリアを誇る、オスカー・ラリオスが本当に戦いづらそうです。10ラウンドの終盤に、オスカー・ラリオスのカウンターをまともにもらい、一瞬ヒヤッとする場面がありましたが、それ以外は危なげない展開で、粟生隆寛選手が完全に試合を支配します。
12ラウンドには、必死に前へ出てくるオスカー・ラリオスに対して、上下にパンチを打ち分け、ダウンを奪います。試合はこのまま判定へ持ち込まれましたが、前回と違って、試合終了のゴングが鳴った瞬間、誰もが粟生隆寛選手の勝ちを確信したでしょう。オスカー・ラリオスを大差の判定勝ちで下し、粟生隆寛選手が悲願の世界タイトル奪取に成功しました。
今回の再戦は粟生隆寛選手、田中繊大トレーナーの完全な作戦勝ちだったと思います。オスカー・ラリオスをこれだけ完璧に封じ込めることができるボクサーは世界中を探しても、ほんのわずかしかいないでしょう。完璧な勝利で、今後の日本ボクシング界を背負う、次世代のエースが世界チャンピオンになりました!本当に嬉しいです。
粟生隆寛選手の世界タイトル奪取で、日本が世界に誇るサウスポーの世界チャンピオンがまた一人誕生しましたね。長谷川穂積選手が日本ボクシング界のエースなら、粟生隆寛選手は日本ボクシング界の次世代のエース。管理人は「長谷川穂積選手、西岡利晃選手、粟生隆寛選手の3人のサウスポー王者なら、世界へ進出しても防衛を重ねることができるんじゃないかな?」と思っています。
日本人がパワー(KO)を武器に世界で活躍することはすでに不可能に近いのが現実です。しかし、パワーを凌駕するスピードと(パンチを打ち込む)タイミングがあれば、世界を席巻することも夢ではありません。特に、まだ24歳と若い粟生隆寛選手はとてつもない可能性を秘めています。オスカー・ラリオスのような勇敢なファイターと対戦して、インサイドからコンパクトなパンチで的確にカウンターを取れる日本人ボクサーが何人いるでしょうか?
粟生隆寛選手の実力はボクシングファンなら誰もが認めるところでしょう。さらに、知名度のあるオスカー・ラリオスに快勝したことで、世界中に「粟生隆寛」の実力を証明しました。粟生隆寛選手には、これまでの日本人チャンピオンがたどり着けなかった領域までボクシングファンを連れて行ってほしいですね。粟生隆寛選手の試合を観ると、期待せずにはいられません。日本ボクシング界を背負う、次世代のエースに今後も注目です。粟生隆寛選手、本当におめでとうございます!
試合結果
試合結果 | 粟生隆寛選手が12ラウンド判定勝ちで悲願の世界タイトル奪取に成功。管理人の採点は118-109で粟生隆寛選手の勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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