WBO世界クルーザー級暫定王座決定戦
チャンピオン | エンゾ・マカリネリ(イギリス) 戦績:31戦29勝22KO2敗 |
挑戦者 | オラ・アファラビ(アメリカ) 戦績:17戦13勝5KO1敗3分 |
試合内容
2008年3月、デビッド・ヘイとの3団体統一世界クルーザー級王座決定戦に完敗し、タイトルを失ったエンゾ・マカリネリが、世界タイトル再奪取に向けて、オラ・アファラビとWBO暫定世界クルーザー級タイトルを争います。実力者のエンゾ・マカリネリが再び世界チャンピオンに返り咲くのでしょうか?それとも世界タイトル初挑戦のオラ・アファラビが頂点を極めるのでしょうか?
試合は序盤からエンゾ・マカリネリが前へ出て、左ジャブから右ストレート、左ボディーブローをオラ・アファラビに打ち込む予想通りの展開。エンゾ・マカリネリはさすがに力がありますね。一方のオラ・アファラビは右ストレートのカウンターを狙っているようです。エンゾ・マカリネリはガードを高く構える正統派タイプ、オラ・アファラビは左ガードを下げる変則タイプ。ボクシングスタイルが全く正反対で、おもしろい試合になりそうです。
管理人はオラ・アファラビの試合を初めて観たのですが、体が本当に柔らかいですね。エンゾ・マカリネリの強烈なパンチが結構入っているのに、「ケロ」っとしています。「マカリネリがバテるのが先か、アファラビが倒れるのが先か、我慢比べになりそうな展開だなあ」と思っていると、3ラウンド序盤、エンゾ・マカリネリがオラ・アファラビをロープに詰めて、強烈な左フック!オラ・アファラビの顔が反対を向くほどの威力ですが、その後、オラ・アファラビが反撃開始。「え?うそ!首をひねってダメージを逃がしたのかな?」と驚く管理人。
3ラウンド残り20秒には、ロープを背負いながら、オラ・アファラビが強烈な右フックをエンゾ・マカリネリのテンプルへ叩き込みます。エンゾ・マカリネリはオラ・アファラビの体とロープにしがみつき、何とかこらえましたが、ものすごいカウンターです。リング中央だったら、ダウンしているパンチですね。「オラ・アファラビは、クネクネして捉えどころのないボクサーだけど、すんごいカウンターを打つなあ」とオラ・アファラビの当て勘に感心する管理人。
「ここからアファラビのペースになるかな?」と思ったのですが、オラ・アファラビは「のらりくらり」と戦い、ダメージを抱えながらも手を出しているエンゾ・マカリネリがポイントを奪う展開が続きます。「さすが、マカリネリ。苦しい中、ポイントを取ってるよ。アファラビは自分から攻めるのが苦手なのかな?もしかすると、KO率が低いのは自分から攻撃するタイプじゃないからなのかも。攻め込めばマカリネリを倒せそうなのに」と思っていると、9ラウンド、管理人の目の前に衝撃の光景が広がります。
9ラウンドに入ると、オラ・アファラビが左ジャブから右ストレートを積極的に出し、満身創痍のエンゾ・マカリネリに攻撃を仕掛けます。1分には、オラ・アファラビの強烈な右ストレートがエンゾ・マカリネリのテンプルをとらえ、エンゾ・マカリネリがズルズルと後ろへ下がります。このパンチが効いたというより、これまでの蓄積したダメージが限界に来ている感じです。
「マカリネリ、危ないよ。逃げ切れれば判定勝ちできそうだけど、耐えられるかな」と思った瞬間、エンゾ・マカリネリの左ジャブを右に避けたオラ・アファラビが渾身の右ストレートのカウンターをエンゾ・マカリネリのアゴへ叩き込みます!決まった瞬間、その場に崩れ落ちるエンゾ・マカリネリ。とんでもないカウンターです!
エンゾ・マカリネリは何とか立ち上がりましたが、足元がおぼつかず、レフェリーが試合をストップ。オラ・アファラビが大逆転の末、9ラウンドTKO勝ちでWBO暫定世界クルーザー級タイトルを手にしました。エンゾ・マカリネリは早いラウンドにダメージを負いながら必死に耐えたのですが、ラウンドが進むにつれて足と体が動かなくなっちゃいましたね。エンゾ・マカリネリ、大丈夫かな?
もしエンゾ・マカリネリが判定勝ちを狙って、自分から攻めなければ、違った結果になっていたかもしれません。そう思うほど、オラ・アファラビは自分から攻めることが苦手なタイプだと思います。しかし、カウンターのタイミングと体の柔らかさは超一流で、前に出てくるボクサーには脅威となりそうですね。「大物食い」を続けそうなチャンピオンの誕生です。
試合結果
試合結果 | オラ・アファラビが9ラウンドTKO勝ちでタイトル奪取に成功。 |