WBA世界バンタム級タイトルマッチ
チャンピオン | アンセルモ・モレノ(パナマ) 戦績:26戦24勝8KO1敗1分 |
挑戦者 | ウラディミール・シドレンコ(ウクライナ) 戦績:24戦21勝7KO1敗2分 |
試合内容
2008年5月に拳を交えたアンセルモ・モレノとウラディミール・シドレンコがチャンピオンと挑戦者の立場を入れ替えて再び拳を交えます。前回はアンセルモ・モレノがウラディミール・シドレンコに判定勝ちを収めましたが、今回の再戦ではどんな結末が待っているでしょうか?
試合は、ガードを固めながら距離を詰めて接近戦で勝負したい挑戦者のウラディミール・シドレンコに対して、チャンピオンのアンセルモ・モレノがフットワークを使いながらカウンターでコツコツとパンチを当て、距離を保つ予想通りの展開。前回のタイトルマッチは、上半身の振りが少なく、出鼻を狙い打たれたウラディミール・シドレンコですが、今回の再戦は体を振りながら的を絞らせず距離を詰める作戦のようです。
「シドレンコは前回より上半身を振りながら上手く距離を詰めているよ。ボディー攻撃が効果的で、続けることができれば、後半モレノが失速するかも。ただ、モレノは少しでもシドレンコの動きが止まると、右ジャブ、左ストレート、右フックを的確にヒットさせて出鼻をくじいてくるなあ。23歳とは思えない老獪なボクシングだよ」というのが序盤の印象です。
試合中盤になると、アンセルモ・モレノがウラディミール・シドレンコの動きに慣れてきたのか、前に出てくるウラディミール・シドレンコの出鼻をカウンターでとらえる場面が増えてきます。ガードを固めて相手のパンチをブロックするウラディミール・シドレンコに対して、アンセルモ・モレノはフットワークを使って相手のパンチを空振りさせ、自分のスタミナを温存しながら、相手のスタミナを奪う理想的な展開です。
ウラディミール・シドレンコは普段以上に手数が多く、時々クリーンヒットを奪うのですが、アンセルモ・モレノが常に頭の位置を変えながら戦うので、攻撃が単発で終わってしまい、畳みかけることができません。ラウンドが進むにつれて、ウラディミール・シドレンコのボディー攻撃が減り、アンセルモ・モレノのテクニックがウラディミール・シドレンコの突進力を上回り始めた印象です。
「前回と同じような展開になってきたよ。ダメージが深く、スタミナを奪われたシドレンコは、できるだけ早いラウンドで勝負したいなあ」と前チャンピオンの奮起に期待する管理人ですが、10ラウンドには、前へ出てくるウラディミール・シドレンコに対して、現チャンピオンのアンセルモ・モレノが的確な右フックと左ストレートのカウンターで攻撃の芽を摘み取り、反撃のチャンスを与えません。
その後も同じような展開が続き、最後までウラディミール・シドレンコがアンセルモ・モレノをとらえることができないまま12ラウンド終了のゴング。結果は2人のジャッジがアンセルモ・モレノ、残り1人のジャッジがウラディミール・シドレンコを支持し、アンセルモ・モレノが2-1のスプリット・デシジョンでウラディミール・シドレンコとの再戦に勝利しました。
意外に競った判定でしたね。試合は全体を通して、アンセルモ・モレノが丁寧にウラディミール・シドレンコのパンチを外し、コツコツと任務を遂行した印象です。1人のジャッジがウラディミール・シドレンコを支持したように、ウラディミール・シドレンコの出来は決して悪くなかったと思うのですが、相性の問題でしょうか、どうしてもウラディミール・シドレンコの良さが消されてしまいます。
アンセルモ・モレノはパンチが手打ちで、省エネボクシングのため、破壊力や派手さを感じないボクシングですが、攻防のバランスが良く、特に相手のパンチを空振りさせるディフェンスは絶品!「シドレンコがもっとボディー攻撃にこだわっていたら、どうなっていたんだろう?」と思わず考えてしまいますが、全体的に「ニックネームのゴーストがピッタリ当てはまるボクシングだなあ」とアンセルモ・モレノのテクニックに唸ってしまう試合でした。
試合結果
試合結果 | アンセルモ・モレノが12ラウンド判定勝ちで再戦に勝利。管理人の採点は116-112でアンセルモ・モレノの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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