魂の激突!アミール・カーンとマルコス・マイダナの王座統一戦(前編)を読む
試合前半はアミール・カーンがダウンを奪うなど、ややアミール・カーンのペースで進み、中盤に入ると、少しずつマルコス・マイダナが反撃を開始して迎えた8ラウンド。アミール・カーンが足を止めて強いパンチを打ち込み、マルコス・マイダナの突進を止める作戦に切り替えます。
前へ出て攻撃しようとするマルコス・マイダナに対して、アミール・カーンはどっしりと構えて回転の速い左ジャブから右ストレート、右フックを連打!アミール・カーンは持ち味のスピードを生かして勝負に出てきましたね。
一方のマルコス・マイダナは、序盤から受け続けているパンチによるダメージに加えて、スタミナが切れ始めたことで、なかなか前へ出ることができません。9ラウンドもアミール・カーンのヒット・アンド・アウェイが冴え渡り、ポイントを積み重ねます。
試合終盤の苦しい時間帯で縦横無尽に動けるアミール・カーン。「チャンピオン・メーカー」と呼ばれる世界屈指のトレーナー、フレディ・ローチのもと、濃密なトレーニングを重ねている証拠ですね。8ラウンド、9ラウンドを観る限り、アミール・カーンが再びペースを奪い返した印象です。
「マイダナは体力的に苦しくなってきたなあ。足に力が入らなくなってきたんで、カーンを追い詰められないよ。このままカーンが逃げ切りそうだぞ」と思い始めた10ラウンド。KO率9割を誇るマルコス・マイダナの豪打が火を噴きます。
10ラウンド、左ジャブを突きながらリングをサークルするアミール・カーンに対して、マルコス・マイダナはガードを固めてじっと我慢します。そして、アミール・カーンの攻撃が止まった1分すぎ、マルコス・マイダナが左ジャブでアミール・カーンをロープへ追い詰め、得意の右フックを強振!
マルコス・マイダナの起死回生の一撃はアミール・カーンのアゴを直撃し、アミール・カーンは立っていることが精一杯のフラフラ状態に陥ります。「うわ、めちゃめちゃ効いた!マイダナ、逆転のチャンスだよ」とソファーから立ち上がる管理人。
アミール・カーンはクリンチで追撃を防ごうとしますが、マルコス・マイダナはクリンチを振りほどき、力まかせに左右のフックを振り回します。ロープを使って攻撃を回避しようとするアミール・カーンに対して、マルコス・マイダナは勝負をかけて左右のフック、アッパーを連打します。
「マイダナの連打もすごいけど、カーンもギリギリの状態でよく耐えてるよ」と両者に拍手を送る管理人。マルコス・マイダナはあと一歩のところまでアミール・カーンを追い詰めましたが、倒し切ることはできず、10ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。
「すごいラウンドだったなあ。コーナーに戻るカーンはフラフラだよ。1分間のインターバルで、カーンはダメージ、マイダナはスタミナをどれだけ回復できるかがポイントになりそうだぞ」と運命の11ラウンドに注目する管理人。
11ラウンドが始まると、マルコス・マイダナが左ジャブを突きながら飛び出しますが、アミール・カーンがリングをサークルして思い切り距離を取り、マルコス・マイダナの攻撃を回避します。マルコス・マイダナは10ラウンドの打ち疲れか、アミール・カーンを追うことができません。
「マイダナ、疲れちゃったなあ。パンチも威力がなくなってきたよ」と思ってると、11ラウンド中盤、アミール・カーンが強烈な右アッパー、左フックから右ストレートのコンビネーションブローをマルコス・マイダナに打ち込んで反撃します。
「カーンは苦しい状況で自分の武器を生かしながら本当によく戦っているよ」とイギリス期待の「キング」に拍手を送る管理人。一方、マルコス・マイダナは限界が近いのか、足が止まり、パンチに威力がなくなってしまいましたね。
12ラウンドは、何とかパンチを当てようと、マルコス・マイダナが必死にパンチを出し続け、アミール・カーンにプレッシャーをかけます。どちらもフラフラになりながら、限界ギリギリで戦っています。
会場の大歓声がボクサーの魂を揺さぶり、戦い続けるアミール・カーンとマルコス・マイダナ。どちらも最後までダウンを狙いに行きますが、闘志を拳に伝えきることはできず、12ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。
お互いのプライドが激突した魂の死闘は、3人のジャッジすべてがアミール・カーンを僅差で支持し、アミール・カーンがマルコス・マイダナに12ラウンド判定勝ち。激闘の末、王座統一を成し遂げると同時に3度目のタイトル防衛に成功しました。
王座統一戦にふさわしい壮絶な試合でしたね。結果的には、アミール・カーンが抜群のタイミングとスピードで奪った1ラウンドのダウン、マルコス・マイダナが冷静さを失った結果の減点1ポイントが勝敗を左右した試合だったと思います。
本当に苦しい状況で勝利を手にしたアミール・カーン。やはりボクシング界を背負うスーパースター候補ですね。ボクシングの幅が広がり、パンチ力もアップしています。そして、何よりパンチに耐える打たれ強さが身についてきました。
マルコス・マイダナのパンチをまともにもらって倒れなかった事実は、今後アミール・カーンを加速度的に強くする要因になるかもしれません。どちらもトレーナーがフレディ・ローチなので、実現は難しいですが、「マニー・パッキャオの引退試合の相手はアミール・カーンこそ最もふさわしい」と世界中のボクシングファンに印象付けたのではないでしょうか。
もちろん、勝ったアミール・カーンだけでなく、敗れたマルコス・マイダナにも大きな拍手を送りたいです。ボクシングは「2人のボクサーが戦い、1人の勝者が生まれる」という単純なスポーツでも方程式でもありません。
「2人の勇敢なボクサーがプライドをかけて戦い、1人の勝者を決めようとする過程で、多くの感動が生まれること」こそ、ボクシングの魅力だと思います。そんなボクシングの魅力に改めて気付かせてくれたアミール・カーンとマルコス・マイダナの試合に管理人はただただ感動しています。
試合結果
試合結果 | アミール・カーンが3-0の僅差の判定勝ちで王座統一。タイトルの3度目の防衛に成功しました。管理人の採点は114-111でアミール・カーンの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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