WBC・WBO世界ミドル級タイトルマッチ
チャンピオン | ケリー・パブリック(アメリカ) 戦績:37戦36勝32KO1敗 |
挑戦者 | セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン) 戦績:48戦44勝24KO2敗2分 |
試合内容
アメリカで絶大な人気を誇るWBC・WBO世界ミドル級チャンピオンのケリー・パブリックが、圧倒的なスピードを誇るWBC世界スーパーウェルター級チャンピオンのセルヒオ・マルチネスと激突します。持ち前のパワーで対戦相手を撃破してきたケリー・パブリックの強打が炸裂するのか?圧倒的なスピードで対戦相手の良さを消してきたセルヒオ・マルチネスのテクニックが上回るのか?世界中のボクシングファンが注目するチャンピオン対決です。
立ち上がり、試合の主導権を握ったのはケリー・パブリック。自慢の強打を武器にセルヒオ・マルチネスにプレッシャーをかけます。サウスポーのセルヒオ・マルチネスは右ジャブを突きながら距離を取り、右フック、左ストレートのカウンターを狙っているようです。前に出て打ち合いたいケリー・パブリックに対して、セルヒオ・マルチネスは中間距離からカウンターを狙う予想通りの展開ですね。
2ラウンドに入ると、セルヒオ・マルチネスがガードを下げて、パンチを出しやすい本来の構えに切り替えます。「ケリー・パブリックのパンチはある程度わかったので、動きやすいスタイルに切り替えようかな」というところでしょうか?セルヒオ・マルチネスはポール・ウィリアムスとのサウスポー対決でもガードを下げて戦うなど、ディフェンスには絶対の自信を持っているようです。
セルヒオ・マルチネスが本来のスタイルに切り替え、スピードを一段上げたことで、ケリー・パブリックはますますセルヒオ・マルチネスを捕まえることができなくなってきました。ケリー・パブリックは打ち合うと無類の強さを発揮するボクサーですが、決して器用なタイプではないので、サウスポーで常にポジションを変えながら戦うセルヒオ・マルチネスのようなボクサーとは相性が悪いようです。
「このまま進むと、パブリックは厳しくなるよ」と思い始めた7ラウンド中盤。ケリー・パブリックの右フックがセルヒオ・マルチネスのテンプルをとらえ、ケリー・パブリックがセルヒオ・マルチネスからダウンを奪います。ケリー・パブリックの突進を右サイドに逃げようとしたセルヒオ・マルチネスの右足が、ケリー・パブリックの左足に引っかかったように観えましたが、確かにパンチも当たっているのでダウンですね。ただ、ダメージはそれほどないと思います。
8ラウンドもケリー・パブリックのペースで進み、「さあ、パブリックの反撃が始まるかな?」と思ったのですが、9ラウンドに入ると、セルヒオ・マルチネスが開始直後から回転の速いパンチを連打し、主導権を奪い返しに行きます。セルヒオ・マルチネスのパンチはケリー・パブリックと比べて軽いのですが、手数が多く、しかも回転が速いため、ケリー・パブリックは防ぎきることができず、被弾してしまいます。
タイトル防衛へ執念をみせるケリー・パブリックですが、両目の目じりから出血し、苦しい状況に追い込まれてきました。出血により距離が上手くつかめないケリー・パブリックは、圧倒的なスピードとディフェンス技術を誇るセルヒオ・マルチネスに良さを消され、本来の攻撃的なボクシングができません。
試合はこのままセルヒオ・マルチネスのペースで進み12ラウンド終了。判定の結果、3人ジャッジすべてがセルヒオ・マルチネスを支持し、セルヒオ・マルチネスがケリー・パブリックに12ラウンド判定勝ちでWBC・WBO世界ミドル級タイトルを獲得、2階級制覇を達成しました。
セルヒオ・マルチネスのテクニック、スピードがケリー・パブリックのパワーを完全に封じ込めた試合でしたね。セルヒオ・マルチネスのボクシングは玄人好みですが、対戦相手からすると本当に戦いづらいタイプだと思います。セルヒオ・マルチネスはケリー・パブリックに完勝したことで、一躍ミドル級の主役に躍り出ましたね。個人的には、ポール・ウィリアムスとの再戦が観たいです。
一方、ケリー・パブリックはプロ初黒星を喫したバーナード・ホプキンス戦に続き、再び老獪なボクシングの前に苦杯を喫することになりました。ケリー・パブリックは真っ向からの打ち合いを得意とするボクサーですが、バーナード・ホプキンスやセルヒオ・マルチネスのように意図的に打ち合わず自分のペースを守って試合を進めるボクサーにもろい一面があるようです。ただ、人気、実力は申し分ないので、少し休養してリングに戻ってきてほしいですね。
試合結果
試合結果 | セルヒオ・マルチネスが判定勝ちでタイトル奪取に成功。階級の壁を打ち破り、2階級制覇を達成しました。管理人の採点は117-110でセルヒオ・マルチネスの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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