ミドル級12回戦
元2階級制覇チャンピオン | ポール・ウィリアムス(アメリカ) 戦績:38戦37勝27KO1敗 |
WBC世界スーパー ウェルター級チャンピオン |
セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン) 戦績:47戦44勝24KO1敗2分 |
試合内容
元2階級制覇チャンピオンのポール・ウィリアムスが、WBC世界スーパーウェルター級チャンピオンのセルヒオ・マルチネスと激突するミドル級12回戦です。規格外の体格と多彩なコンビネーションブローを持つ好戦的なポール・ウィリアムスと、圧倒的なスピードと抜群のカウンターを持つセルヒオ・マルチネスのサウスポー対決!いやー、とんでもないカードが実現しましたね。
本来、ポール・ウィリアムスは、WBC・WBO世界ミドル級チャンピオンのケリー・パブリックと対戦する予定でした。しかし、ケリー・パブリックが拳を負傷し、試合が延期になったため、セルヒオ・マルチネスと対戦することになったんです。ポール・ウィリアムスは「対戦相手が嫌がるボクサー」の代表格で、セルヒオ・マルチネスは「実力がありながら過小評価されているボクサー」の代表格。その2人が激突するなんて、ボクシングファンにはたまらない好カードです。
試合は、顔面、ボディーへパンチを連打しながら前進するポール・ウィリアムスに対して、セルヒオ・マルチネスが右フック、左ストレートのカウンターを狙う展開。試合前は「身長185センチ、リーチ208センチのウィリアムスが右ジャブを突きまくって、距離を保つボクシングに徹すると、さすがのマルチネスもパンチが届かないんじゃないかな?」と思っていたのですが、攻撃が好きなポール・ウィリアムスはガンガン前へ出てパンチを打ち込もうとしていますね。
前へ出ているポール・ウィリアムスはもちろん、後ろに下がりながらカウンターを狙っているセルヒオ・マルチネスも右ジャブをよく突いています。一発の破壊力と手数はポール・ウィリアムスが上ですが、クリーンヒットはセルヒオ・マルチネスのほうが多いですね。
「お互いに持ち味を発揮しているなあ」と思っていると、1ラウンド1分すぎ、ポール・ウィリアムスの左ストレートがセルヒオ・マルチネスの頭をかすめ、セルヒオ・マルチネスが尻もちをついてしまいます。下がりながらダッキングしたところへ、ポール・ウィリアムスの左ストレートが飛んできましたね。
「タイミングのダウンで、ダメージはそれほどなさそうだけど、マルチネスの動きはどうだろう?」とダウンから立ち上がったセルヒオ・マルチネスに注目する管理人。すると、セルヒオ・マルチネスは勝負をかけようとするポール・ウィリアムスに強烈な左ストレートのカウンターを叩き込み反撃開始!
さらに、終了間際には、セルヒオ・マルチネスのカウンターの右フックがポール・ウィリアムスのアゴをとらえ、ダウンを奪い返します。「うそ!ウィリアムスがダウンしちゃった。このダウンはダメージあるよ」と思わず口にする管理人。ポール・ウィリアムスがダウンしたシーンを初めて観ました。恐るべし、セルヒオ・マルチネス。
1ラウンド、どちらも1度ダウンを奪いましたが、ダメージはポール・ウィリアムスのほうが深く、序盤はセルヒオ・マルチネスのペースで進みます。特にセルヒオ・マルチネスの右フックがクリーンヒットする場面が目立ちます。これだけ体格差があるポール・ウィリアムス相手にカウンターを決めるなんて、「見事」としか言いようがありませんね。
4ラウンドに入ると、ダメージが抜けてきたポール・ウィリアムスがこれまで打たなかったワンツーを連打し、セルヒオ・マルチネスからクリーンヒットを奪います。パンチの逃がし方が上手いセルヒオ・マルチネスでなければ、ダウンしてもおかしくないほどの威力です。ダメージのせいで、さすがのセルヒオ・マルチネスも少しスピードが落ちてきましたね。
5ラウンドはお互いが左ストレート、右フックを相手の顔面へ叩き込む凄まじい展開。どちらも意識が飛ぶほどのパンチを打ち込んでいます。特にラウンド中盤のセルヒオ・マルチネスの右フックは強烈で、一瞬、ポール・ウィリアムスの動きが止まりましたが、すぐにポール・ウィリアムスが左右のフックを打って反撃。お互いの気迫がぶつかり合う素晴らしい試合になってきました。
その後は、右ジャブから左ストレート、右フックのカウンターを狙うセルヒオ・マルチネスに対して、ポール・ウィリアムスは多彩なコンビネーションブローを打ち込み、セルヒオ・マルチネスを手数で攻略しようとします。「立ち上がりからウィリアムスは打ちっぱなし、マルチネスは動きっぱなしだもんなあ。どちらも驚異的なスタミナだよ」と両雄に拍手を送る管理人。
終盤はどちらもフラフラでしたが、最後まで自分のボクシングを貫き通し、12ラウンド終了。勝敗の行方は3人のジャッジに委ねられます。結果は、ポール・ウィリアムスがセルヒオ・マルチネスに2-0の判定勝ちを収め、サウスポー対決に勝利しました。
採点結果が発表され、腫れあがった顔で勝ち名乗りを受けたポール・ウィリアムスと、ほとんどキズのない顔で首を振りながら苦笑いをしたセルヒオ・マルチネス。ポール・ウィリアムスとセルヒオ・マルチネスの姿がお互いの持ち味を発揮した激闘を物語っていると思います。本当に素晴らしい試合でした!
危ないシーンもありましたが、ポール・ウィリアムスの手数、スタミナ、回復力は本当に驚異的で「次世代のスーパースター」の底力をみせてくれましたね。一方、約10年ぶりの黒星を喫したセルヒオ・マルチネスも超絶テクニックを発揮してくれました。これほどポール・ウィリアムスにパンチを打ち込んだボクサーは初めてではないでしょうか?
一部の報道によると、ケリー・パブリックの次回の防衛戦の相手として、ポール・ウィリアムスとセルヒオ・マルチネスがリストアップされているそうです。ケリー・パブリックは真っ正直なボクサーなので、ポール・ウィリアムスとセルヒオ・マルチネスのどちらが戦っても相性が良く、勝つチャンスが高いと思います。実現すれば、ボクシングファンにとってうれしい好カードですね。
試合結果
試合結果 | ポール・ウィリアムスが12ラウンド2-0の判定勝ちでセルヒオ・マルチネスに勝利。管理人の採点は114-114の引き分けでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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