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最年長戴冠なるか?バーナード・ホプキンスがジャン・パスカルに挑戦

WBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ

チャンピオン ジャン・パスカル(カナダ・ハイチ出身)
戦績:27戦26勝16KO1敗
挑戦者 バーナード・ホプキンス(アメリカ)
戦績:58戦51勝32KO5敗1分1無効試合

試合内容

重量級離れしたスピードを誇り、主戦場のカナダで絶大な人気を誇るジャン・パスカルが、元4団体統一世界ミドル級チャンピオンのバーナード・ホプキンスをカナダに迎えて4度目の防衛に挑みます。チャド・ドーソンに快勝して、評価が急上昇中のジャン・パスカルが、大ベテランの「死刑執行人」バーナード・ホプキンスと激突する究極の新旧対決です。

なお、挑戦者のバーナード・ホプキンスが勝てば、ボクシング史上最年長の45歳11か月で世界タイトルを奪取するという新記録を達成します。「死刑執行人の」異名を持つバーナード・ホプキンスはジャン・パスカルを打ち破り、ジョージ・フォアマンが持つボクシング史上最年長の45歳9か月の記録を塗り替えることができるでしょうか?

試合は1ラウンドから超満員の会場がヒートアップする展開で幕を開けます。スピードを活かしてかき回そうとするジャン・パスカルに対して、バーナード・ホプキンスはフェイントをかけながらプレッシャーをかけて距離を詰めます。どちらもパンチを打ち込むタイミングを狙っていますね。

驚きの光景が目の前に広がったのは1ラウンド残り10秒。バーナード・ホプキンスがジャン・パスカルをロープへ詰めてパンチを連打しようとした瞬間、ジャン・パスカルが体を入れ替え、右フックをバーナード・ホプキンスの後頭部付近に打ち込むと、バーナード・ホプキンスが前のめりにダウン!

管理人は「ラビットパンチじゃない?」と思ったのですが、レフェリーはダウンと判断。ジャン・パスカルのファンで超満員となった会場は大歓声に包まれます。苦笑いを浮かべながらダウンから立ち上がったバーナード・ホプキンスにとっては別の意味で「痛い」ダウンですが、ジャン・パスカルにとってはポイント的にも精神的にも大きなダウンですね。

大観衆の後押しを受けて勢いに乗るジャン・パスカルは、3ラウンド残り30秒にも左フックでバーナード・ホプキンスから2度目のダウンを奪い、一気に試合の主導権を握ります。さらに畳みかけるジャン・パスカルは、4ラウンドにも右フックをバーナード・ホプキンスに叩き込み、バーナード・ホプキンスが3度目のダウン!

「うぎゃ、さすがのホプキンスも3度のダウンは挽回できないんじゃない?」と思ったのですが、レフェリーが3度目のダウンをスリップと判断。そして、このスリップダウンをきっかけに、百戦錬磨のバーナード・ホプキンスがベテランの味を発揮し、奪われた主導権を少しずつ自分の元へたぐり寄せます。

5ラウンドに入ると、バーナード・ホプキンスがジャン・パスカルの「打っては離れるボクシング」に慣れてきたのか、飛び込んで一気に距離を詰め、手数を増やしてジャン・パスカルのリズムを崩す作戦を実行します。ジャン・パスカルはバーナード・ホプキンスのパンチをかなり警戒しているようです。

7ラウンドが始まると、バーナード・ホプキンスがいきなり飛び込んで右フックをジャン・パスカルのテンプルへ叩き込み、前半で失ったポイントを奪い返そうと攻勢をかけます。バーナード・ホプキンスはパワー重視のボクシングでジャン・パスカルにプレッシャーをかけて、試合の流れを引き寄せています。

試合中盤以降、スタミナが切れ、スピードが落ち始めたジャン・パスカルに対して、バーナード・ホプキンスがジャン・パスカルのパンチを空振りさせ、すかさずパンチを集めてポイントを奪い返す展開が続きます。バーナード・ホプキンスもジャン・パスカルもスタミナに不安を抱えるボクサーですが、バーナード・ホプキンスはスタミナの使い方が上手いですね。

9ラウンド中盤には、バーナード・ホプキンスの肩ごしの右ストレートがジャン・パスカルのテンプルをとらえ、ジャン・パスカルの足元が少しフラフラする場面があるなど、試合終盤はバーナード・ホプキンスが主導権を奪い返し、12ラウンド終了のゴング。勝敗は3人のジャッジに委ねられます。

結果は1人のジャッジがバーナード・ホプキンス、2人のジャッジがドロー。劣勢に追い込まれながらチャンピオンのジャン・パスカルが大ベテランのバーナード・ホプキンスと辛くも引き分け、4度目のタイトル防衛に成功しました。バーナード・ホプキンスは2度のダウンを挽回しましたが、ボクシングの歴史に新しい1ページを刻むことはできませんでした。

バーナード・ホプキンスが凄まじい気迫でタイトル奪取の執念を見せてくれた試合でした。ジャン・パスカル相手に序盤で2度のダウンを奪われ、しかも敵地で、これだけ挽回できるボクサーがいるでしょうか?言葉は悪いですが、「とんでもないオヤジだな」と改めてバーナード・ホプキンスの試合運びの上手さに敬服する管理人です。

辛くもタイトルを防衛したジャン・パスカルと大記録樹立を逃したバーナード・ホプキンス。試合後に笑顔のなかったタイトルマッチはリマッチという形で、バーナード・ホプキンスにボクシング界の新しい1ページを作るチャンスを与えるかもしれません。ぜひ再戦で決着をつけてほしいですね。

ジャン・パスカル対バーナード・ホプキンスの試合結果

試合結果 ジャン・パスカルが12ラウンド引き分けで4度目のタイトル防衛に成功。バーナード・ホプキンスの新記録樹立は次回に持ち越しとなりました。管理人の採点は114-112でバーナード・ホプキンスの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 114-112(バーナード・ホプキンス)
  • 114-114
  • 113-113
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