WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
チャンピオン | ウィルフレド・バスケス・ジュニア(プエルトリコ) 戦績:21戦20勝17KO1分 |
挑戦者 | ホルヘ・アルセ(メキシコ) 戦績:64戦56勝43KO6敗2分 |
ウィルフレド・バスケス・ジュニア対ホルヘ・アルセの試合内容
プエルトリコが誇る親子チャンピオンのウィルフレド・バスケス・ジュニアが、メキシコ人ボクサーとして初の4階級制覇を目指すホルヘ・アルセを迎えて3度目の防衛戦を行います。好戦的なボクサー同士が激突する楽しみの新旧対決ですね。
ボクシング王国メキシコで、これまで3階級制覇を達成したボクサーは7人。引退したフリオ・セサール・チャベスを除き、エリック・モラレス、マルコ・アントニオ・バレラ、ファン・マヌエル・マルケス、フェルナンド・モンティエル、ウンベルト・ソト、そしてホルヘ・アルセの6人は現役で、「誰が最初に4階級制覇を達成するのか?」が世界中のボクシングファンの間で大きな話題になっています。
メキシコが誇る超好戦的なファイターの「やんちゃ坊主」ホルヘ・アルセは先人が打ち破れなかった壁を突破し、ボクシングの歴史に名前を刻むことができるでしょうか?それとも無敗のウィルフレド・バスケス・ジュニアがメキシコのビッグネームを撃破して新しい伝説の第一歩とするのでしょうか?運命のゴングが鳴り響きます。
試合は4階級制覇を狙う挑戦者のホルヘ・アルセが左ジャブを突きながらガンガン前進し、チャンピオンのウィルフレド・バスケス・ジュニアが距離を取りながらカウンターを狙う予想通りの展開で始まります。どちらも手数が多く、スリリングな攻防が続いていますね。
2ラウンドに入ると、ホルヘ・アルセの突進に対して、ウィルフレド・バスケス・ジュニアがこれまでよりパンチを強く打ち込んで応戦。ウィルフレド・バスケス・ジュニアは顔面へ右ストレートと左フック、ホルヘ・アルセは顔面へ左右のフック、そして得意の左ボディーブローを連打してペースを握ろうとしていますね。
「バスケス・ジュニアもアルセも立ち上がりからめちゃめちゃハイペースで飛ばしてるよ。手数で負けたほうがペースを失ってしまう壮絶な我慢比べになりそうだぞ」と思いながら戦況を見守っていると、4ラウンド終了間際、試合が大きく動きます。
残り3秒、ウィルフレド・バスケス・ジュニアとホルヘ・アルセが同時に返しの左フックを狙い、リーチ差で上回るウィルフレド・バスケス・ジュニアの左フックがホルヘ・アルセのアゴを直撃!ホルヘ・アルセからダウンを奪います。タフなホルヘ・アルセはすぐに立ち上がりましたが、ダメージは深そうです。
5ラウンドに入ると、ダウンを奪われたホルヘ・アルセが追撃を防ぐため、自分からパンチを打ってウィルフレド・バスケス・ジュニアにプレッシャーをかけます。ウィルフレド・バスケス・ジュニアはホルヘ・アルセの一撃を警戒しながら慎重に戦っていますね。ダウン後のラウンドでしたが、比較的静かな展開が続きました。
「バスケス・ジュニアはチャンスだったんだけどな。序盤の接近戦の打ち合いでアルセの攻撃力を体感して、かなり警戒してるみたいだね」と試合の行方を見守る管理人。6ラウンドに入ると、少しずつダメージが抜けてきたホルヘ・アルセが再び得意の接近戦を仕掛け、ウィルフレド・バスケス・ジュニアが応戦します。
7ラウンドに入ると、息を吹き返したホルヘ・アルセがウィルフレド・バスケス・ジュニアの懐に入るシーンが目立つようになってきます。このままホルヘ・アルセの前進を許すと、ウィルフレド・バスケス・ジュニアは苦しくなるので、中間距離からパンチを打ってホルヘ・アルセの前進を止めたいところですね。
「バスケス・ジュニアもアルセも体力的、精神的に相当苦しい打ち合いが続いているよ。中間距離ならバスケス・ジュニア、接近戦ならアルセが主導権を握りそうだぞ」と終盤の戦術に注目する管理人。4階級制覇を目指して前進を続けるホルヘ・アルセに対して、ウィルフレド・バスケス・ジュニアはクリンチをする場面が増えてきました。
「あれ?スタミナはバスケス・ジュニアのほうが苦しいのかな?アルセも相当苦しいと思うんだけど、アルセのほうが元気な印象だよ」と思っていると、11ラウンド終盤、ウィルフレド・バスケス・ジュニアが急激に失速。ホルヘ・アルセも相当苦しいと思うのですが、細かいパンチを連打してウィルフレド・バスケス・ジュニアに休む時間を与えません。
11ラウンドが終わってフラフラしながらコーナーへ戻るウィルフレド・バスケス・ジュニア。セコンドに肩を抱えられながらコーナーへ戻るホルヘ・アルセ。どちらも体力的にギリギリの状態で迎えた最終ラウンド、壮絶な死闘は衝撃の結末で幕を閉じます。
4階級制覇を狙うホルヘ・アルセは12ラウンド開始と同時に勝負を仕掛け、ウィルフレド・バスケス・ジュニアをロープへ押し込みます。そして、強烈な左アッパーを顔面へ打ち込んでアゴを跳ね上げ、さらに得意の左ボディーブローをウィルフレド・バスケス・ジュニアのみぞおちにめり込ませます。
ウィルフレド・バスケス・ジュニアは何とかダウンを拒否し、フラフラ状態で耐えますが、ここからホルヘ・アルセが怒涛の40連打!タイトル防衛に執念をみせるウィルフレド・バスケス・ジュニアは全身全霊をかけてダウンを拒否しますが、最後はセコンドがギブアップ!
怒涛のラッシュをみせたホルヘ・アルセが無敗のウィルフレド・バスケス・ジュニアに12ラウンドTKO勝ちを収め、メキシコ人ボクサーとして初の4階級制覇を達成しました。敗れたウィルフレド・バスケス・ジュニアはプロ初黒星を喫し、王座陥落となりました。
いやー、ボクシングの歴史に残る凄まじい打ち合い、そして衝撃の結末でした!お互いのボクシング技術、気迫、執念がぶつかり合い、最後はホルヘ・アルセが勝ちましたが、本当に紙一重の試合だったと思います。
試合終了後、4階級制覇を達成したホルヘ・アルセ、プロ初黒星を喫したウィルフレド・バスケス・ジュニアが対照的な表情で涙を浮かべている姿が強く印象に残っています。2人の表情が、言葉では表すことができない壮絶な試合を物語っていると思います。
メキシコ人ボクサーとして初の4階級制覇を達成したホルヘ・アルセはボクシングの歴史に新しい1ページを刻みました。4ラウンドにダウンを奪われた後も攻撃的なボクシングを貫き、前人未到の快挙を成し遂げた功績は時間が経つにつれて評価されると思います。
一方、敗れたウィルフレド・バスケス・ジュニアにとっても大きな財産となるプロ初黒星ではないでしょうか?結果的にダウンを奪った直後の5ラウンドが、この試合の大きな分岐点になったことは間違いないと思いますが、ウィルフレド・バスケス・ジュニアのボクシングは素晴らしい出来でした。
でも、「あと少し何かが足りなかった」。プロの世界では「あと少し」が勝負を分け、勝者と敗者が誕生します。そして、スーパースターと呼ばれる選手は「少しの差」で勝てる選手なんです。この試合で「あと少し」の感覚を肌で感じたのなら、ウィルフレド・バスケス・ジュニアは一回り強くなってリングに戻ってくると思います。再起戦に期待しましょう。
おしまいに、12ラウンドで試合をストップしたウィルフレド・バスケス・ジュニア陣営の勇気にも感動しました。もしかすると、あと少し耐えることができれば、判定で勝って王座を防衛できたかもしれません。しかし、あと少しストップが遅れたら、選手生命が絶たれたかもしれないんです。
「ギブアップ」は勝者と敗者の明暗がくっきりと分かれる勝負の世界で最も難しい判断だと思います。だからこそ、勇気ある英断に拍手を送りたいです。ウィルフレド・バスケス・ジュニア陣営の英断が、悲願の4階級制覇を達成したホルヘ・アルセと、再起をかけるウィルフレド・バスケス・ジュニアの将来を光り輝かせる大きな分岐点になるかもしれませんね。
世紀のビッグマッチとして期待されたマニー・パッキャオ対シェーン・モズリーのアンダーカードで行われた軽量級のスーパースターが激突した新旧対決。メインイベントに圧倒的な差をつけ、ボクシングの美学をみせつけた激闘に大きな拍手を送りたいです。再戦が実現すると、めちゃめちゃ盛り上がりそうですね。
ウィルフレド・バスケス・ジュニア対ホルヘ・アルセの試合結果
試合結果 | ホルヘ・アルセが12ラウンドTKO勝ちでタイトル獲得に成功。メキシコ人ボクサーとして初の4階級制覇を達成しました。敗れたウィルフレド・バスケス・ジュニアはプロ初黒星を喫し、王座陥落。 |